Corda Tech Meetup 2021年5月開催のイベントレポート

Tainakam
Corda japan
Published in
May 31, 2021

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SBI R3 Japanが2021年5月14日にオンラインで開催した『Corda Tech Meetup 春の陣』のイベントレポートをお送りします。

今回のイベントでは80名以上の方にご参加いただいた。写真は受付部屋。

『Corda Tech Meetup』は、Corda開発の最前線にいるIT企業から、実ビジネスへのCorda導入に向けた取り組みや課題を学ぶ無料のイベント。Cordaのインフラ、ネットワーク、アプリの構築から性能検証まで盛りだくさんの内容で開催した。講師は日本最先端で活躍される次のIT企業5社が担当。イベントの最後にはオンライン上で、参加者同士で情報交換を行った。

株式会社CAC
株式会社digglue
TIS株式会社
NTTデータ先端技術株式会社
株式会社トリクトラック

(以下株式会社省略)

当日のコンテンツ

0)本イベントは参加者同士でも双方向のコミュニケーションが可能なSpacialChatを用いて行った。はじめてのツールで戸惑う方も多かったが、参加者全員が無事にプレゼンルームに入室することができた。

1)「Cordaロードマップのご紹介」では、2021年4月にリリースされたばかりのCorda4.8の紹介やCorda v4で追加された新機能やインフラ、開発ツールの振り返りが行われた。また、SBI R3 Japanから、今後Corda Docs(公式ドキュメント)を日本語化していく意向が発表された。

「トークンエコノミーにおけるNFTの役割」では、次の2点が強調された。

FT(代替可能トークン)は金融領域でコスト削減に使われる

NFT(代替不可能トークン)は、非金融の世界の差別化戦略 に使われる

ユーザーのニーズからCordaツールが開発されてきた

2)「Cordaインフラの構築」では日本最初のCorda商用化事例「BCPostTradeを開発されたCACの山田様に講演いただいた。講演ではCordaの3つのネットワーク構成が紹介された。各ネットワーク構成において、管理・運用・コントロール・外部ネットワークの接続が必要かがユーザー目線で説明された。特に、ネットワーク管理/運営業務が不要なtCNについては、tCNへの参加手順や稼働状況の確認を、実体験をもとに話された。

Cordaの3つのネットワーク

3)「Corda RPC APIの再接続」では、CACの劉様より説明頂いた。ノードの停止やTCP接続の中断で、RPC接続が切断されることがある。このRPC接続を再接続する方法は、自動的に再接続できるGracefulReconnectと、それ以外の再接続がある。それぞれの方法について、注目すべきパラメーターや機能について紹介した。また、Corda4.6から追加された機能を活用し、client IDからFlowの実行状況(成功・失敗)を確認する方法を説明した。

4)「Cordappの基本理解をする」では、大林組のブロックチェーン技術のPoCを担当されたdigglueの久保様よりお話し頂いた。3大エンタープライズブロックチェーンの比較と大林組がCorda利用に至った経緯が紹介された。Quorumはアプリケーションごと、Hyperledger Fabricはガバナンスごと、Cordaはデータごとに分散管理される。そのため、各ブロックチェーンによって向き・不向きがあることが説明された。大林組のPoCでCorda活用に至った背景に、企業間でリース取引の請求書等を突合する際に、業務システムやデータを他社に依拠できないというニーズがあったことが説明された。

企業間のデータ共有ではプライバシーや信頼性がしばしば問題になる

5)「Cordaの勘所 ~トレーサビリティ編~」では、製造業におけるトレーサビリティについてPoCの経験を複数持つTIS株式会社中地様より講演いただいた。「商流はプライバシーを保ちたい(個社間共有)が、物流は川上から川下まで把握させ(全共有)たい」というニーズをCordaでどのように再現できるか考察された。複数の選択肢の中から、最善の解決策として次のスライドが掲示された。2点目のトレーサビリティのためのステート定義では、モノではなく、製造工程(イベント)にすることで、検査データ等もトランザクションに組み込むことが可能と説明された。

検討している選択肢の多さに驚かされた。

6)「Corda性能ノウハウ検証のご紹介」ではNTTデータ先端技術研究所の木下様にご講演いただいた。Cordaを用いたトークンの発行・転送プラットフォームのシステム基盤としての性能検証の結果が発表された。プロジェクトは基盤チーム、アプリチームそれぞれ5~6人の2チーム体制で行われた。開発はスムーズに進み、設計・構築・検証・レポート作成まで、2.5か月で完了した。基盤チームが行った検証の結果として次の3点が分かった。

単一ノードでの処理と複数ノード間の処理では、パフォーマンスが大きく異なった。

性能のボトルネックは、CordaインスタンスのディスクI/Oとなった。

今回はCordaのチューニング項目の有効性を確認できなかった

7)「Corda NetworkをKubernetesで運用する」では、Corda商用ソリューションの開発経験がある、株式会社トリクトラック澁谷様にご講演いただいた。ビジネスレベルのCordaサービス提供をするためにトリクトラックが行ったアプローチAgile、devOps、Kubernetesの3点が強調した。

アジャイルアプローチによりビジネスからフィードバックを得ながら未知のリスクに対応した

devOpsによって要件の変更や未知の技術へ迅速に対応できるようにした

Kubernetesを採用したことで独立ノードの管理・変更を可能にした

各登壇者講演後には視聴者から温かい拍手がおくられた

8)講演の最後に「Corda開発パートナー制度のご紹介」を行った。Corda開発パートナーになるメリットや、パートナーになるための要件について紹介された。

9)イベントの最後には講演者と参加者、参加者同士をつなぐネットワーキングが行われた。プライベートな話も含め、参加者同士で話が盛り上がり、19時ごろまで情報交換が続けられた。

次回のCorda関連イベントは6月17日「トヨタGのブロックチェーン事例TBLOCK SIGNのご紹介」です。

2021年2月に商用化されたばかりの豊田通商システムズの電子商取引サービス「TBLOCK SIGN」の概要をご紹介します。イベント参加者には最新のホワイトペーパーが提供されますので、奮ってご参加ください。

最後までお読み頂き誠にありがとうございます。
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