Corda4.7概要(2020-Q4リリース)

YuIku
Corda japan
Published in
Dec 16, 2020

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※このブログはこちらの記事の基にした記事です。技術的な詳細は今後日本語版Corda Guideにて紹介する予定です。よろしくお願いいたします。

今年最後のリリースとなるCorda4.7/Corda Enterprise 4.7/ Corda Enterprise Network Manage 1.5のリリースが間近に迫っています。このエントリーでは新しい機能の特徴をご紹介していきます。

今回のリリースでは、以下の3つの課題解決に焦点を当てています。すなわち

  • 過去データのアーカイブ
  • トランザクションの切断
  • Notary の過負荷時応答

の3点です。

過去データのアーカイブ

CorDappsが実用に供されるまでに成熟した後、ノードは時と共により多くの台帳関連データを蓄積していきます。その結果、データセットの増加に伴うコストやパフォーマンスなど、長期的な考慮事項が重要になってきます。Corda Enterprise 4.7では、ノードオペレータが不要になったデータを識別し、安全かつ可逆的な方法で台帳からデータを削除する機能を提供する新しいツールを導入しました。

このツールは、Collaborative Recovery(分散台帳間の一貫性チェックと自動復旧ツール、今年初めに導入)等の現在 Cordaの機能をサポートする一連のエンタープライズユーティリティに追加されます。

トランザクションの切断

第二に、”Chain snipping(チェーンスニッピング)“として知られる、Cordapps開発者はよく知るパターンを公式にサポートしました。現在、CorDapp の開発者はカスタムロジックを書いて、ステートを定期的に終了させ、別のトランザクションで台帳に再発行することができます。(Chain snippingの概要については、こちらのスライドシェアが参考になります。)

開発者はプライバシー上の理由やパフォーマンスの最適化のためにこれを行いたいと思うかもしれません。従来からこの機能は導入可能ですが、以下のような課題を抱えていました。

  • 切断実行時にエラーが発生した場合などを考えると信頼性に不安が残りました。
  • チェーンが一定のサイズに成長したときのパフォーマンスの問題を予測するには、開発者の先見性が必要でした。

Corda 4.7 では、トランザクションを切断する為のプラットフォームレベルのサポートを導入します。ステートの所有者はフローを介してブレークを要求することができ、ステートが代替や重複なしに削除されないことをプラットフォームが保証します。CorDapp開発者は開発コストを最小限またはゼロに抑えて、同じ機能を実現できます。

Notary の過負荷時応答

最後に、Notaryの過負荷時応答を改善しました。Notaryが非常に大量のトラフィックにうまく対応するようにアーキテクチャーを改善しました。これは、リクエストのキューを処理するバックプレッシャー機構を介して行われ、(高トラフィックの期間に典型的な)タイムアウトによるノードのリトライ回数がNotaryのキャパシティの関数となることを保証します。

ノードから見れば、リクエストが確実に処理されて、必要に応じてリトライすればよい事を保証する一方、不必要なリトライで公証人のキューを圧迫し、その有効性を低下させる状況を回避できます。Corda Enterprise 4.7 では、このメカニズムを改良して、高負荷の状況下でより正確で応答性の高いものにし、その結果、リトライの回数を減らし、エンドユーザーのパフォーマンスを向上させました。

その他の機能についても見てまいりましょう。

新しいユーザーインターフェース

ユーザーインターフェイス(UI)を用意しました!GUIを通じてCorda ノードと Corda ネットワークの操作を単純化するという試みが開始されました。

最初のリリースである今回、主要コンポーネントのUIの最初のプレビューを提供します。これは、ノードとネットワークの主要な操作を簡素化することに焦点を絞った開発者プレビューです。

ノード管理コンソール

ノード管理コンソールでは、フローの管理に焦点を当て、オペレータがチェックポイントを監視してフィルタリングし、UIからその情報に安全に対処できるようにしました。

また、ノードのライフサイクルと構成管理もできるようになります。Corda Enterprise Network ManagerのQ3リリース(ver1.4)から提供されたネットワーク管理用UIをベースに、以下のような機能を持つUIも提供します。

  • CSR/CRRライフサイクル監視
  • Flag Day管理(Flag Dayとは新しいNotaryの導入などネットワークパラメータの変更を意味します )
  • ノードの構成管理

今回のリリースは今のところ単なるプレビューに過ぎません。R3は、製品のUXをシンプルにしたいと思っており、コミュニティにこれらの機能を提供し、皆様のフィードバックを聞きたいと考えています。

その他の機能

上記の重点分野に加えて、以下のような改善もなされます。

HSM API

外部ツール開発者が Corda Enterprise の持つHSM(Hardware Support Module)のサポートを拡張するために使用できるAPIを用意しました。

Confidential IdentityをHSM内に格納可能

Securosys Primus X、AWS CloudHSM、Azure Key Valut、nCipher、Future XがConfidential Identity(とアカウントの秘密鍵)をHSM内に保存できるようになりました。

Corda Enterprise Network ManagerがAADをサポート

CENM RBACサービスのSSOとしてAzure Active Directoryを利用可能になりました。

Business Network Expansion機能強化

前回のリリースから導入されたBNEですが、今回も新しい機能が追加されています。アクセス制御グループのレポート、自動オンボーディング、メンバーシップグループの検索、メンバーシップ認証に関するログとレポートの提供などが実現しています。

12月中旬のリリースを楽しみにしていてください。あなたが気に入ったものや今後の Corda リリースに対する要望があれば、productfeedback@r3.com までメールでお知らせください。英語がしんどい、、という事であればSBI R3 Japan(info-srj @ sbir3japan. co. jp、スペースは取ってください)でも結構です。R3のリードPMであるGabeへ直接展開させていただきます。

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YuIku
Corda japan

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