残業明けの早朝のオフィスでふたりは……

ちょうど十二月へとカレンダーがめくれた朝だった。節電だとエアコンも切られたオフィスは、冬の香りがただよって冷えきっていた。かちん、とホチキスをかけながらくしゃみをして、「寒いですね」と私がつぶやくと、「そうですね」と塔塚さんは苦笑してパソコンのキーボードを叩く。まだ日は昇っていない。
「また、コーヒー淹れてきましょうか」
「何かもう人肌が欲しいです」
「奥さんに言ってください」
「えー、けっこう本気なんですけど」
私は息をついて塔塚さんの頭を小突き、ようやくあと少しになった資料をデスクに置いて、「コーヒー淹れてきます」と立ち上がった。…


