クニトコタチの「トの教え」

Japanese philosophy

修理固成
Cre888
6 min readJan 1, 2022

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❝ 天地人 三つ巴なる 圀づくり ❞

『ホツマ』に伝わる
クニトコタチの「トの教え」とは、

国の指導者アマカミが
宇宙の大きなエネルギーを

「和(やわ)す」ことで国をととのえ、
世のため人のために「尽くす」という

2つの大方針を指す。

各論も膨大に記されてあるが、

その核心は「和す・尽くす」という
シンプルな2wordのみである。

「和す」とは、

天の心や宇宙のエネルギーを
人が感性で受け止めることであり、

地と一体となり、
自然の理に従うことを意味する。

天地人が一体となり
調和する生き方が

「和(やわらぎ)の道」の根本である。

天から受け止めた心(詔)を
生活の中で行動として実現し、

世のため人のために
具体的に役立てる奉仕行為が

「尽くす」の意味である。

従って、「トの教え」とは、

天と地と「和す」ことで
人々に「尽くす」という行為、

即ち「Harmony & Service」であり、

人と自然の調和を基礎とした
人と人との互恵的調和を育む

「天地人の原理」である。

永らく平和な世が続いた縄文時代の
国づくり・人づくりの理念こそ

クニトコタチの「トの教え」である。

「トの教え」は、クニトコタチが
クニをおさめるために教えた理念だから、

大きなことだと捉えるかもしれないが、
彼が教えたことはとてもシンプル!

どう人間性をつくっていくか、

人としての基本的なあり方が
まずはじめに示されていたのだ。

人としてのおもいやりの心をどう育み、
次の世代へとつなげていくか、

それに従い具体的な国の方針を、
対話で形づくっていったのだ。

人と自然との一体感を重視する
「和す」という日本思想は、

個人の自我の発揮を基本とする
西欧の主体性とは質的に異なり、

自然との関係性の中で、
天地の理に従う生き方を選択するという、

独自の主体性を持つことを要請している。

明治時代後半に英語”nature”の
訳語として定着した「自然」という言葉は、

外的世界として分離された自然界という意味合い。

その前は「じねん」と読まれ
「おのずから」という意味で使われるのが
元来の用法であった。

道家の思想の中心にある
「無為自然」は、

自然の理に従い、
不自然な行為を少しもしない

そういう意味だから、
この場合の「自然」は

「じねん」に近い。

その道家の哲学においては、
大自然を貫く根本的真理は

「道(tao)」と呼ばれる。

「道」は、
大自然のあり様を説明する真理であると同時に、
生き方の理想となる真理をも含意する。

「道」は自然と一体となる
生き方が真理として求められ、

そのような
「おのずからなるあり方」が
「じねん」と尊ばれた。

人と自然を明確に分離する
キリスト教的な西欧の自然観と、

人と自然の間に明確な境界のない
東アジアの自然観の違いである。

言い換えれば、

西欧においては、

人間と分離された外的世界としての
自然が重視され、自然に逆らい、

日本においては、

自然との無境界な関係性を元に
天地の声に従い一体となる

「天人合一」が重視されてきた。

人と自然の調和を基礎とした
人と人との互恵的調和こそ、

トの教えが唱える「和する道」である。

天皇(アマカミ)は古来より、
この「トの教え」に従い国をおさめ、

「和の道」によって天地を結び
繁栄へ導こうと尽力したのだ。

神代より豊受大神をはじめ、
天照や瀬織津姫が代々受け継いでいたという記録が
『ホツマツタヱ』に残っている。

縄文時代の「和」の文化的伝統が、

意識的、あるいは無意識的に
受け継がれていたとすれば、

聖徳太子が、
「十七条憲法」の第一条の冒頭に
「和」を書いた理由もよく覚るし、

単なる人間関係の上での平和という意味以上に
深い意味がこめられていたのではないか、

そういう推察も成り立つ。

また、一君万民の思想も、
すべて儒教に由来しているわけではなく、

縄文時代に思想的土台が
既に形成されていた可能性が高いのである。

❝ 天地人 三つ巴なる 圀づくり ❞

いま行われているまつり(祀・政)は、
一番大切な「天地の声」が欠落している。

形骸化してしまった祭祀政道に
大いなる意志を取り戻すのが急務だ。

だからこそ今、

天地の声を聴き、
人々で談じ合いながら

新たなクニを形づくる流れにある。

祀りは天地をつなぎ、
政りは天地に従う人をつくる。

祀りと政りを
結びなおすことで、

「天地人三つ巴」

天と地と人が結び合い、
一緒になって創造していく

「本来のまつりごと」が
この地球に戻ってくる。

そのために、

祀りと政りを結び直し
その流れを加速実現させるのが

我々の「天命」である。

本来のまつりごとを復興し、
圀づくり(共同体の再生)を行っ ていく、

そのために脈々と受け継がれた
叡智・筋道が「トの教え」である。

大和国が建国されて後も

「和を以て尊しと為す」

を国家の第一義とし、

聖徳太子や推古天皇等が
受け継ぐもやがて廃れてしまい、

この建国の原点が
顧みられることはなくなり

本質が失われてしまった。

生命の循環から切り離されしまい
いのちが先細りするこの現代社会にあって、

天に星

地に花

人に愛

自然と共生する生き方に還り
社会に愛や天地の声を取り戻す筋道として、

今一度「トの教え」が甦らなければならない。

❝ 天地人 三つ巴なる 圀づくり ❞

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