★必読シリーズ(必読中の必読):私が「分散化」という言葉を使うのをやめた理由。

「非中央集権」と「分散」という言葉の違いを明確に。

Ryu [Crypto Investor]
Crypto Review by Ryu
7 min readDec 19, 2018

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界隈のオピニオンリーダーであるVitalikEminの会話を参考にしながら「decentralized」と「distributed」の言葉の違いを解説したいと思います。まずは言葉の意味を簡単に説明しましょう。

《Centralized:中央集権化》

権力が1カ所に集中。これは誰も異議がないので詳しく解説せず飛ばします。

《Decentralized》

「de」の接頭語は「離れる、分離する」という意味。デタッチ(detach)とか言いますよね。

一方、日本語の「非中央集権」という言葉で用いられている「非」は基本的には「un-, non-, in-」が英語の接頭語に該当します。つまり「否定や無」を表します。なので厳密には「de」の訳としては不適切と思われます。

Decentralizedは「de」が付いているので「権力が離れる」と考えるのが妥当で、「decentralized」の意味は、あるシステムをコントロールする権力・決定権が1箇所に集まっておらず、複数あるという意味でしょう。「分権」という言葉が近いと思いますが、否定の接頭語が付いた「非中央集権」という日本語も許容されると思います。

《Distributed》

これは「分散化」という日本語でいいと思います。この言葉自体に「権力」の意味はもともと含まれていないはずなので「非中央集権」「分権」と訳してしまうのは厳密には意味が変わります(そして個人的にはそれは間違いと思います、英語にそういう意味は含まれていないので。)

さて、ここで界隈のオピニオンリーダーであるVitalikEminの会話を見てみましょう。2人とも超有名人なのでみなさんもご存知かと思います。図の下部で2人の会話を解説していますので、英語を読まずに飛ばしてもらっても大丈夫です。

Vitalikによるtweetにあるイラストの1番左がcentralized、真ん中がdecentralized、1番右がdistributed

まずVitalikのtweet。簡単に意訳すると「decentralizedとdistributedを同義語みたいに使ってるけどそれ最悪やで」。類似例として三価鉄二価鉄をあげていますね(それぞれferrousferricで英語はとても似ており、間違って使っている人が多いので例としてあげられています)。

そのtweetにはVitalikが書いた有名なdecentralizedを説明した記事が貼ってあり、みなさんも丸と線で表したイラストが上図で見えると思います。1番左がcentralized、真ん中がdecentralized、1番右がdistributed。

私がDYORして分かったことは、Eminが主張しているようにこういった図は非常に紛らわしく、混乱を招くだけなので使うのをやめた方がいいということです。(私も過去に似たイラストをtweetしたことがありますが、混乱を招いただけでした。失礼しました。)

Eminのtweet意訳

EminのVitalikに対するtweet①と②を簡単に意訳します。
distributedのその絵は大嫌いだわ。そんな2Dみたいなのあり得んし、それをdistributedと説明するとか怒られる怒られる
「てかそのdecentralizedって書いてあるイラスト、中央集権やん!federated(連合している)って言えるかもしれんけど、decentralizedではない
「こういう絵って昔の論文から来てるから、消えた方がいいだろうね」

“何か良いイラストはないのか?”という質問に対するEminの回答tweet③の訳
誤解を招く絵しかない。(中央集権に)コントロールされていないイラストを描くのは難しい」

界隈のオピニオンリーダーが言っている上記内容に間違いはないと思います

(2人の話す内容を私自身も調べ、複数の開発者にも聞いて検証しましたが、彼らの意見が1番正確のように思います。決して彼らの意見を調べずに信じている訳ではないです)
更に、Vitalikの記事を読むと分かりますが、Vitalik自身は一切「distributed」という言葉を使用していません
なぜか。
彼らが目指しているのは「decentralized」であって、「distributed」では意味が不十分だからです。「decentralized」と聞くと、おそらくそのネットワークは「distributed」になっているだろうと予測できます。が、「distributed」と聞くと、決して「decentralized」だけを指すのではなく、それ以外のただのP2Pネットワークも含んでいるという認識は必要だと思います。

ということで、「distributed」を「非中央集権」と訳したり、逆に「decentralized」を「分散化」と訳したりするのを私はやめました。「decentralized」は「非中央集権化」とか「非中央集権型」(または分権化)と素直に訳す方がより適切のように思いますし、英語で置き換えることができない言葉を日本語訳にするタイミングで置き換えるのはよくないと思います。(Decentralized applicationをdistributed applicationと言ってもいいんだ!という方がおられましたら是非一緒に議論しましょう!)

上記のようにdistributedはユーザー同士がただ繋がっただけのP2Pネットワークも含みます。

Vitalikが目指している「decentralized(非中央集権)」がただのP2Pネットワークと異なる所は、そのネットワークを構成する人がただ繋がっているだけでなく、1つのコンセンサス(合意)を得るためにネットワークを構成するノードがトランザクションを検証している所でしょう。

ここが「decentralized」の非常にユニークな所だと思います。もちろんそのネットワークはそれぞれが繋がっているので「distributed」、つまり分散されたネットワークと呼ぶことは可能だと思いますが、あえてVitalikはdistributedという言葉を使用せず、「構造上もdecentralized」と表現しているところが非常に面白いなと思いました。更に彼は、ブロックチェーン技術は1つのコンセンサスを得るという意味で、「論理的には中央集権」とも表現しています。なるほどと感じる説明をしてくれていますね。

ちょっと長くなりましたが、理解できましたでしょうか?「distributed ledger」のような元からdistributedという言葉が使用されている単語は「分散台帳」と訳しても何ら問題はないでしょう。Vitalikの記事はとても参考になります。更に理解を深めたい方は是非読んでみて下さい :)

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