CryptoAge大学合同ブロックチェーン勉強会レポート(6月6日)

TORAJIRO
CryptoAge
Published in
18 min readJun 13, 2018

6/6 @六本木メルカリ本社にて、CryptoAge、BitPenguin(東大)、BitBears(早稲田)、CryptoLions(慶応)、CrypGeek(東工大)による合同ブロックチェーン勉強会が開催されたので、内容をシェアしたいと思います。

>>筆者自己紹介<<
・明治大学2年 椎橋寅次郎(シイハシトラジロウ)
・東大ブロックチェーン開発団体BitPenguin所属
・バックパッカーもやってます
・ブロックチェーン系のイベントによく出没

【当日のタイムライン】

・CryptoAge 「CryptoAge構想」
Speaker:Obiさん(@obnty)

・CryptoLions 「Blockchainの歴史」
Speaker:石川駿さん(@twshuny)

・BitBears(早稲田) 「トークンエコノミーの可能性」
Speaker:Tomoakiさん(@tapioka_pudd)

・BitPenguin(東大) 「なぜブロックチェーンが革命的なのか」
Speaker:もりこさん(@Mrktr729)

・CryptoAge「基礎からエンジニアリングまで勉強法」
Speaker:ゆずしおさん(@yuzushioh)

僕らは超黎明期にいる

聞いていた皆さんはこのフレーズを覚えてるのではないでしょうか。
インパクトのあるフレーズでした。

この勉強会のトップバッターとして、
主催のCryptoAgeからObiさん(Yusuke Obinata (Obi))が登壇。

ブロックチェーンやクリプトがいかに「これから」のものであるか、
インターネットと比較して示してくれました。

「インターネットのユーザー数」と「Webサイトの数」それらが過去に伸びてきたように、まだ半分程度ではあるが、似たような伸び方で今日まで伸びてきているのが「クリプト」や「トークン」、「Dapps」であると。

1990年代以降に生まれ、ブロックチェーンが人生初めての”大きな波”である僕らは、”ブロックチェーン世代”だそう。いい響き。

ブロックチェーンの「歴史」

発表者は慶應の石川駿くん(@twshuny)。

・ブロックチェーンを知らない人
・ブロックチェーンをなんとなく知ってる人

に向けて、

「ブロックチェーンを構成要素ごとに分解し、それぞれを
歴史的に紐解くことでブロックチェーンの歴史を理解する。」

というテーマでプレゼンをスタートしました。

ブロックチェーンは構成要素ごとに考えるべき

ブロックチェーンを構成するいくつかの技術は、約20年近く昔から研究されていたもので、それらを組み合わせてブロックチェーンは構成されています。なので、構成する要素ごとに分解して考えてみると理解がしやすいとのことでした。

1、データ構造
2、ブロックの追加
3、ネットワーク全体のやりとり

この3つがブロックチェーンを構成する基本的な要素です。

ブロックチェーンの起源

まずは、データの構造から。ブロックチェーンの骨組みの起源は、
1991年に発案された「デジタル公証サービス」というものです。
(ビットコインが生まれる18年も前のこと・・!)

ただ、この仕組みは、文書を個別に線形でリンクしているために効率が悪かったみたいです。(データが全部で30あるとすると、データ1〜30を横一列に管理しているイメージ)その改善案として、ブロックブロックチェーンの起源となる文書をブロックにまとめて、ブロック毎のリンクのチェーンを作成するブロックチェーンの骨組み(データベース構造)が考えられました。(1~10・11~20・21~30というようにブロック単位で管理するイメージ)

このデータベース構造には3つの特徴があります。

1、署名ではなく、ハッシュを用いて各文書をリンクすること。
2、文書をブロックにまとめ、
ブロック単位でリンクしてチェーンを作ること。
(同一ブロックは同一タイムスタンプをもつ。)
3、 各ブロックの中で、文書同士は「
Merkle tree」と呼ばれる
ハッシュ値のツリー構造でリンクすること。

ただ、この時点では、
『データを管理するタイムスタンプサーバーが権威をもつ、
中央集権状態になってしまう』
ということが問題視されていました。

ブロック追加のルールを考えよう

次に、ブロックの追加について発表がありました。

ブロック作成を非中央集権化するために、「Proof of Work」というシステム全体を支えるインセンティブ設計が考案されました。

Proof of Workというのは、

・計算競争に勝った人だけがブロックを生成でき
・誰でも自由に計算競争への参加が可能で
・ブロックを作成した人(計算競争に勝った人)には報酬をあげる

というブロック作成のルールようなみたいなものです。

このようにすることで、「計算パズルの解=何らかの価値をもつデジタルオブジェクトになる」と考えられました。この考え方は、もともとはスパムメール削減への解決方法として提案されたものからきているそう。(1992 ’Pricing via processing or combatting junk mail’)

例えば、「1度のメール送信に対して、計算パズルを解かなければいけない」というルールがあるとする。すると、

一般ユーザー / 大きな障害ではない
スパマー / 一度に大量のメールを送るので障害になる

そして、1997年にこの考え方を転用して、「Hashcash」というBitcoinと基本的に同じ計算パズルの仕組みが完成しました。(ブロックの作成には計算パズルを解くことが必要)

P2P

*ここで急にスライドを差し込んでみました。P2Pの概要です。

このP2Pという技術のもっとも重要な役割は、「誰もがいつでも同一の台帳を確認でき、ダウンしない」ということです。

台帳データを特定のサーバーだけに保管するのではなく、膨大な数の各端末が分散して台帳データを持つことで改ざんを原理的に防ぐことが可能になるのです。

まとめ

中央管理者がいなくても、改ざんやサーバーダウンの心配が無く価値あるデータ(特に通貨的・権利的な価値)を送れるセキュリティを実現したことが、ブロックチェーンが革命的だといわれる理由でだとのことでした。

トークンエコノミーの可能性

続いて、Bitbears(早稲田大)のTomoakiくんとYurikoさんのプレゼン。
テーマはトークンエコノミーの可能性について。

暗号通貨の分類がとても視覚的にわかりやすかったです。

*スライドをシェアしてもらっています。ぜひ御覧ください。

トークンとは?

トークンとは、暗号通貨の一種です。

トークンの種類

ユーティリティトークン:サービスを利用するための対価としてトークンを用いる(サービス利用型)

ペイメントトークン:決済や送金に使われるトークン(金銭支払い型)

セキュリティトークン:トークンが現実世界の価値の裏付けとして利用され、証券のように扱われるトークン(証券型)

ICOってなんだっけ

ICOは最近よく耳にする資金調達方法ですね。よく比較対象としてIPOがあげられますが、IPOは新規株式公開(上場)のことで、現在主流の資金調達方法です。会場をお借りしていたメルカリさんも先日上場を発表していて、この話題には会場から「おめでとうございます!」と拍手が湧き起こっていました。笑

ここではICOを投資家と発行者の視点に分けてメリットとデメリットを解説していました。

<投資家視点>

・ICO(トークンセール)のタイミングでは、割引された価格で購入可能
・コインが値上がりすれば大きなリターンを得られる。

<発行者視点>

・世界中から資金調達できる。
・プロダクトの開発段階で資金調達できる。
・資金調達に対するリスクが少ない。

ただ、詐欺的なICOが多いのも事実で、

・ICOを行い資金調達したのにプロダクト開発が行われない。
・資金調達を行った後、トークンが発行されない。

などなど・・。

トークンエコノミーの特徴

・トークンの発行権は誰にでもある。
→それによって誰でも新しい経済圏を作れる。

・国境を超えて簡単に資金調達できる。

・トークン価格はトークンの保有者数によって決定される。

トークンエコノミーの例として出されていた
国内初のICOを行ったALISは有名ですね。他にもTimebankや、
最近話題の政治×トークンのPoloPoliなどが紹介されていました。

そして、トークンエコノミーが持つ可能性として、
「モノとモノがネットワークで繋がり、モノ同士がトークンで自動的に取引を行うことができる」という話がでていました。

これは例えば、目的地へ急いでる車とゆっくり帰りたい車がいるとします。この2台の車はネットワークで接続されていて、ゆっくり帰りたい車が急いでる車に道を譲ってあげると、急いでる車から道を譲った車にトークンで「お礼」が支払われるというものです。

これはIoTやマイクロペイメントなどの話にも共通していますが、実現可能性があり、非常に面白い話だなぁと思いました。

Bitbears

ちなみに、Bitbearsはツイッターで日々の学びを日英両方で発信してます。
興味がある方はぜひフォローしてみてください。

共同代表

*Bitbearsのアイコンのクマは代表のTomoakiくんがデザインしたそう。
かわいい。

なぜブロックチェーンは革新的なのか

東大BlcokChain開発団体BitPenguin代表の「もりこ」こと
大森代表によるプレゼンテーション。

(タイトルからスライドが可愛い)

「ブロックチェーンってただのデータベースじゃね?」

最初に「こんなこと思ったことありませんか?」という問いかけから始まりました。「ブロックチェーンってただのデータベースじゃね?」
「個人間の送金ができるくらいでしょ?つまんなそう」これらの言葉が大森くんに火をつけたそう。言われたことある人いそうだなぁ。

Web1.0

Web2.0

SNSやブログなどが例に取れるように、
ウェブサイトの利用者(誰でも)が発信者側に回れるようになりました。

Web2.0の課題

1、企業の持つ個人情報=お金になった
個人情報がマーケティングデータとして高値で売買されるようになりプライバシーが問題視されています。

2、権力や情報が一部に集中
情報のプラットホーム化した企業が強すぎてスタートアップが育たないという現状があります。

3、悪さをする人の管理コスト問題
本来の価値とは無関係の部分にリソースを割かなければならないのでサービスの提供側も利用者側も、サービスの本来の価値とは別の部分に労力を割いています。いくつか例を見てみましょう。

<管理コスト問題の例1:フリーマーケットアプリ>

本来の価値:個人が不要なものを売買できる
管理コスト:違法出品の管理(現金など)

<管理コスト問題の例2:SEO>

本来の価値:人気・内容に信頼性の高いものが上位に
現実では:キーワードなどが重視される。人気や内容<SEOのプロを雇う課金ゲーに・・
(悪いことではないけど、本来の価値とはズレてるよね?)

会場をお借りしていたメルカリさんも、
代表的な中央集権的なフリーマーケットアプリですが、悪意のあるユーザーを監視・対処するためだけの管理センターがあるとか。

これらをプロトコルによって解決する

これらを解決するために、悪さをするインセンティブ>ルールを守るインセンティブとなるようにプロトコル(約束事)を設計したことで、
非中央集権でも、コミュニティが健全に活性化するようになる。

これこそがブロックチェーンの強みであるとのことでした!

Ethereumが革命的だった点

「改ざん不可能なP2P通信ができる仕組み」の上に、チューリング完全な(なんでもできる)言語でプログラムを記述できるようにしたこと。

そうすることで、ブロックチェーンに組み込まれた改ざん不可能なアプリケーションを動かせるようになりました

「改ざん不可能な取引記録」から
「改ざん不可能なプログラム」へ。

Ethereumの誕生によって

イーサリアムの誕生によって「今まで無価値だったデータ」が価値を持つようになりました。これは、Ethereumアプリケーションを利用者が増えることによってコミュニティが活性化する。経済的な価値に繋がるといった、「トークンエコノミー」の概念が生まれました。

「数が限られているが、人気があるモノには価値が生まれる」
という基本原理に基づいて、ブロックチェーン上に記述された、改ざん不可能なスマートコントラクトで規定されるデータに希少性が生まれます。

*例えば、「ジラーチ(ポケモン)は改ざんすればいくらでも数を生み出せるから(希少性はないので)ネットでは売り出されないよね」

この説明、ジラーチを知ってる人には妙に納得がいったはずw

株式会社は時代遅れになる?

Web3.0では「利益の追求」から「コミュニティの活性化」を目指す時代へ。

「会社は利益を追い求めて”競争する”時代から、
利用者とコミュニティを”共創する”時代になる。」

大森くん、この日一番の名言です。
会場かなり沸いてました。

ブロックチェーンによってもたらされるWeb3.0

コミュニティ運営者がコミュニティの参加者とともにコミュニティの価値をあげることに専念できるような世界観であるこれによって、ビジネスはよりオープンな、純粋に世の中をよくするモノになるのではないでしょうか?

DAppsの考え方

1、悪事を働かせないためのインセンティブ設計(マイナス的観点)
2、コミュニティを共創し、活性化させるための仕組みは何か(プラス的観点)

<観点1>

・悪意ある人は何をするのか?
・その行動に対し、インセンティブを与えることで日中央集権的に悪事を防ぐのか?
・それによって抑えられる管理コストはどれほどか?(ここばかりが注目されがち)

<観点2>

・コミュニティ内でスマートコントラクトによって
設計されているルールは?
・ルールを守ることへのインセンティブは?
・それらをふまえて、コミュニティが提供する価値は何か?

なぜ今ブロックチェーンに取り組むべきなのか

世界の仮想通貨の6割を日本人が持っていると言われています。にも関わらず、日本からブロックチェーンのプロダクトはほとんど生まれないのが現状です。
(中国・ロシアはブロックチェーン開発をどんどんしている)

確かに仮想通貨投資はトークンエコノミーの活性化には、必要不可欠。
しかし、このままではICOのための金ヅルになりかねないと思います。

中央集権的なビジネスは無くならないし、必要だが、スマホが登場してもパソコンが無くならなかったように、パソコンの機能の一部をスマホがより便利に担うようになりました。

そんな風に、中央集権的なビジネスとは違った発想でプロダクトを生み出すことができるのがEthereumプラットフォームであると思っています。

Ethereumプラットフォームには、きっと将来AppleSroreのようにDappsが並ぶはずです。

この新しいテクノロジーが作る世界をもっと想像し、実現しましょう!」

最後は力強いメッセージで締めくくられました。
初心者でも理解しやすい、それも表面だけでなく多角的にブロックチェーンを理解できる素晴らしいプレゼンでした。

勉強会終了後にもりこくんに話を聞いたら、
自分のツイッターのプロフィール画像、そして「Twitter楽しいんご」という仕込んでいたネタがウケなかったのが不満だったそうです。笑

ブロックチェーンってどうやって勉強するの?

続いては、大学生でありながら多くのブロックチェーンサービス開発を手がけている、ブロックチェーン/iOSエンジニアのゆずしおさん。

「ブロックチェーンってどうやって勉強するの?」という疑問に応えるべく、ブロックチェーンの超基礎からの勉強にオススメの本や技術書、記事などを紹介してくれました。

結論からいうと、ここに全てまとめてくれています。
気になる人は今すぐ見ましょう。必読です。

オススメされているモノの中から、ジャンル別に初歩的なものをメモしておきます。

本 / Mastering Bitcoin (無料のPDF版あり
ビットコインをベースに仕組みを理解できる。

記事 / WTF is The Blockchain?
イラストを交えてブロックチェーンを解説したわかりやすい記事。

Whitepaper/ Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System
かの有名なビットコインのホワイトペーパー。

Programming / CryptoZombie (Solidity)
Solidity学習サイト。日本語です。

Youtube / How the blockchain is changing money and business

といった感じです。他にもブロックチェーンを学ぶために必要となるモノが初心者〜技術者向けまで幅広くまとめられているので要チェックです。

CryptoAge / https://twitter.com/CryptoAge_
ゆずしおさん / (@yuzushioh)

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