USトップVCフレッドウィルソンが考える、クリプト投資モデル

Yusuke Obinata (Obi)
CryptoAge
Published in
7 min readApr 7, 2018
Fred Wilson

Etsy、Zynga、Twitterなどへの初期投資で知られるUSトップVCファンドのひとつ、Union Square Venturesの著名キャピタリストFred Wilson

彼が暗号通貨・クリプトエコノミーを前提に、彼らのVCモデルの変化の可能性について2017年10月に書いたブログ記事「Our Model」を読んだのでまとめます。

USV自体、USのVCファンドの中でも暗号通貨/ブロックチェーン領域にかなり積極的であり、彼自身もクリプト関連についてよくブログなどで発信しています。

※もともと別サイトにて2017/12/25に公開していた記事を一部アップデートして公開しています

USVのこれまでの投資モデル

・ファンドサイズを大きくしすぎない
1号ファンド$125M→2号ファンド$150M→3号ファンド$175M

・基本的にはシードからシリーズAまでのラウンドで出資。

・既存投資先で伸びて来たところにはフォローオン投資をおこない、シェアの維持or追加

・レイターステージにも投資する「Oppurtunity Fund」もあるが、そこからの出資は年1–2件程度。

・1ファンドあたり20–25社に出資し、そのうち2–3社が”High impact company”になることを目標にしている

・保有シェア率の決まりはないが、High impact companyに関しては、たいてい15–20%のシェアを保有している

・High impact companyへの投資から回収までの期間は7–8年

・これまでUSVにとってHigh impact companyとなった会社をインパクトが大きい順に並べると、以下の通り:

  • Zynga — IPO — 2011
  • Indeed — Recruitへ売却 — 2012
  • Twitter — IPO — 2013
  • Tumblr — Yahooへ売却 — 2013
  • Lending Club — IPO — 2014
  • Etsy — IPO — 2015
  • Twilio — IPO — 2016
  • MongoDB — IPO — 2017

・USV独自の”Thesis based investing”に沿って全てのパートナーが投資を行う

このThesisは、2011年には以下であり:

2015年には以下のようにアップデートされています:

新しい投資モデル

しかし、Fred Willsonは新たな「トークン」の登場は、この既存アプローチを変革させるのに十分なインパクトを感じると言っています。

But with a new model, tokens, in its infancy, it begs the question of how it will impact our approach.

既存投資先ではすでに4社(Protocol Labs/Filecoin, Kik/Kin, Blockstack/Stack, YouNow/Props)がトークンオファリングを行う、あるいは行う予定があるとアナウンスしており※、この新しいモデルがどうワークするのか共に見ていくとのこと。

※執筆当時。

そしてこの新しい投資モデル(トークンベースの投資)に関して、フレッドウィルソンが問題提起しているポイントは、以下の4点です

1. Can a token based investment return a fund with more or less frequency than an equity based model?
トークンベースでの投資はエクイティ投資と比べて、
どれくらいの確率でリターンを得ることができるのか

2. How long are the hold periods going to be in a token based model?
トークンベースモデルでの
保有期間はどれくらいになるのか

3. Will the 10–15% high impact percentage that we see in our equity based portfolios be similar in a token based model?
既存のエクイティモデルで実現できている10–15%の高い
投資リターンはトークンベースモデルでも同じようになるのか

4. What are the appropriate ownership levels for a token based investment vs an equity investment?
トークンベースモデルでの
適切な保有シェアはどれくらいになるのか

トークン投資をエクイティ投資と並行して行なっていくことで、これらの問いの答えを見つけていき、ベストパフォーマンスを作り続けるべく必要に応じて今までのモデルの変革を行なっていくと。

最後の方では、以下のように締めくくっています。

It is an interesting time to be in the venture capital business. The decade that came after the internet bubble burst turned out to be a fantastic time to make early stage venture capital investments and we have been fortunate to participate in those good times. But the market has changed a lot with large incumbents taking up more and more white space in the internet sector as we have known it. At the same time, an exciting new sector and model, crypto/tokens, has emerged which gives us a lot of optimism about the opportunities ahead of us.

VCビジネスを行う者にとっては、面白いタイミング。ネットバブル崩壊後の10年間はアーリーステージのベンチャー投資を行う素晴らしい時期となり、我々はそこで投資できた幸運なプレイヤーだった。しかしそのあと巨大になったプレイヤーがインターネット領域の空白をどんどん埋めていき、マーケットは大きく変化したが、同時に、クリプトやトークンといった全く新しいエキサイティングな領域/モデルが出現してきているおかげで、今後も大きな可能性があることを示している。

まだ黎明期のクリプト・ブロックチェーン領域において、実験的なアプローチを取り続けるユニオンスクエアベンチャーズとフレッドウィルソンの動きは非常に興味深く見ています。

クリプトエコノミーやICOの出現で、ベンチャーキャピタルにもどういった変化が今後起こってくるのか、引き続き注視していきたいと思います。

--

--