Crypteconomics Labの事業と組織、文化の話

Watata Crypto Medium
Cryptoeconomics Lab
11 min readMay 4, 2019

はじめに

前回の記事は”なぜCryptoeconomics LabがPlasmaの社会実装を目指すのか”という、”WHY”を説明する文章でしたが、第二回である本記事では一方進んで、”WHAT”の視点でCELを紹介します。

“WHAT”とは主にCELの事業と企業文化の話です。かくいう自分もそうでしたが、CELがどんなの組織なのかを完全に理解している方は少ないと思います。なのでぜひ本記事を読んで、CELの魅力を知っていただければと思います。

●前回の記事

Cryptoeconomics Labは何をしているのか

CELが創業したのは2018年の7月初旬で、福岡に拠点をもつスタートアップです。スタッフは現在5~10名ほどで、福岡だけでなく東京やインドネシアなど各地に点在しているため、作業はフルリモートで行われています。

CELのPlasma R&Dの沿革・現状

CELがPlasmaの開発に着手したのは昨年の9月頃です。それ以前も、CTOの落合さんはEVM Plasma開発企業であるMatic Networkへのtechnical advisorとしての参画やPlasmaWhitepaperの翻訳を行なってはいましたが、CELは創業当時、まだ事業のフォーカスをどこに絞るかについて決めてはいませんでした。

最終的にPlasmaに可能性を見出したのは、リサーチを行う中で、当時Plasmaの課題とされていた拡張性の低さ(決済だけでしか利用できないと言われていた)が解決可能であり、かつ様々なケースにビジネスとして利用できると予見したからです。

そして2018年の10~1月の期間は開発に専念し、Ethereum.researchなどの情報を追いながら開発・実装を行い、先日発表した”Plasma Chamber”を形にしていきました。

現在のPlasma Chmaberには、Ethereumコミュニティと密接に関わりのあるPlasmaR&D組織である「Plasma Group(※以下PG)」が発表した”Predicate”が使われています。

Predicateとは「述語」という意味で、L2における安全なState Updateの方法を一般化したモデルです。L2のState Updateに対応したL1の検証関数のペアの集合からなる、不正なexitを不可能にするための共通規格になります。

PGとCELの関係を説明すると、両チーム歴史的にはEVM Plasmaの可能性を一度は検証しており、その後セキュリティの観点を重視しながらもPlasmaの一般化を志向していたことから、PGとCELのPlasmaの設計には必然的に共通点が多くなりました。

したがって、EDCON 2019前後を契機にPlasma ChamberをPredicateに対応させ、エコシステムの充実と評価の簡素化を意図した対話が行われました。

Predicate公開当時、PGはPredicateの規格を公表しただけで、フレームワークの実装はまだしていなかったのですが、デベロッパーの部谷さんによる鬼のような実装力により、1週間足らずでPlasma Chamberをpredicateに対応させます。PGのメンバーには自分達より先に実装が為されていることに驚愕するとともに、その貢献を歓迎していただけました。

このような経緯もあり、CELのPlasma Chamberは世界をリードするCore Devとの相互協力と、プロダクション志向のデザインにより、ソーシャルアクセプタビリティ・ソーシャルスケーラビリティを最大化するためのトラストレス性およびセキュリティとを実現したPlasma実装となっています。

また、Cryptoeconomics ResearchやScrapboxなどを活用し、日々Plasmaに関する知見の共有を行なっています。日本はおろか、間違いなく世界で最前線の知見と技術力を持ったPlasmaコミュニティです。

もしPlasmaにキャッチアップしたいのであれば、気軽に各種チャネルから質問をしたり、小さなbugfixなどのコントリビュートをお待ちしています!

・Cryptoeconomics Research

・Scrapbox

Cryptoeconomics Labとはどんな組織なのか

CELのPlasmaデベロッパー紹介

CELは社員から業務委託まで、常時約5~10人ほどの人が関わる組織です。本記事の目的は日本のエンジニアの方々にPlasmaおよびそのオープンソースコミュニティの魅力を伝えることでもあるので、以下ではCELを代表する2名のPlasmaデベロッパーを紹介します。

CTO 落合渉悟

落合さんは、CELの前はインドネシアでファッションEC事業を提供するVIP PlazaでCTOを務めていました。その頃から途上国における金融・決済・C2Cアプリの文脈で個人でEthereumのリサーチを行なっており、最近Binanceに上場したEVM Plasmaを開発するMatic Networkというプロジェクトにも携わっていました。

CELにおける落合さんの役割は受託開発から技術リサーチ、長期的方針の決定など様々です。思想家・テクノロジストな一面を持っており、最近では”落合提案”を発表していました。Crypto Lawの議論にご興味ある方はぜひ一読することをお勧めします。

Developer & Researcher 部谷 修平

部谷さんは落合さんと同じく九州大学出身で、学部生の際には未踏ユーススーパークリエイターに認定されています。大学院生時代に創業したMilkcocoa(IoT向けのBaaS)を提供する会社の第一号社員が落合さんでした。

その後デベロッパーとして数々の仕事をこなす中で、中央集権的なコンピューティングシステムに疑念を感じていたことから、2018年に落合さんからPlasmaの話を聞き、CELへ誘われた際は即決で入社を決めたと言います。CELではPlasma Chamberの実装面をリードしています。

そしてCEO 片岡さんのインタビューも必見です。

CELの組織文化について

CELのメンバーは東京、福岡、インドネシアと世界各地に分散しているため、仕事に関するコミュニケーションはすべてオンラインで、チャットは英語で行われています。

リモートワークはコミュニケーションコストがかさむため非効率だと思われがちですが、CELは少数精鋭だということに加え、各メンバーがそれぞれ専門性をもち、相互信頼の中で独立して作業を行うことができるため、リモートワークがネックになっていません。

SlackのコミュニケーションはDMがほぼ0で、メンバー同士の会話は全員が見れるchannel内にて行われています。

以上のようなオープンな組織文化は、Biz or Dev問わずメンバー全員が会社の業務内容を把握できるため、意思決定に到るまでのコミュニケーションコスト減少に繋がります。

このような風土・組織文化は簡単に作れるものではなく、メンバー間の相互信頼と透明性の高さを物語っているとも言い換えられます。

さいごに

本記事は前回のWHYに引き続き、CELのWHATにフォーカスして書きました。開発力の高さや社内文化におけるCELやPlasmaの魅力が開発者の方に伝わっていれば幸いです。

●Cryptoeconomics Labのリンク集

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I’m Sota Watanabe, interested in blockchain, mainly decentralized finance(stablecoin, lending)