「Plasma Chamber」 はどんな問題を解決するのか?

Daiki Sekiguchi
Cryptoeconomics Lab
6 min readApr 17, 2019

イーサリアム上で動くアプリケーション (通称: DApp) を開発するにあたって、スケーラビリティという問題は誰しもが直面するクリティカルな問題ではないでしょうか。
ブロックチェーンが登場してから、世界中でこの「スケーラビリティ」の問題を解決するために様々な議論や開発が行われています。

そのソリューションの1つとして Plasma という技術が提唱されています。
Plasma はイーサリアムを親チェーン (通称: Rootchain) とし、そこから階層的に派生する別のネットワーク (通称: Childchain) を構築します。
新たに構築した Childchain 上でトランザクションの処理を行い、大量の処理をまとめて Rootchain に記録することによって、セキュリティを担保したままイーサリアムの「スケーラビリティ」問題を解決するものです。

しかし、その Plasma も実際に日本や、日本とインフラの異なる外国での日常生活でブロックチェーンの存在を意識することのないユーザー体験を考えると、多くの課題が見えてきます。
また、ブロックチェーンを用いる意義を損なわないようにそれらを改善するには、深い技術への理解が必要です。

Cryptoeconomics Lab ではブロックチェーンを用いる意義を失うことなく「実社会で実用可能な Plasma」を目指して、「Plasma Chamber」の開発を行っています。

「Plasma Chamber」はどんな問題を解決するのか?

  1. たくさん処理がきても大丈夫なの?
  2. GAS 代がかかって使えないんじゃないの?
  3. 決済が完了するまでに時間がかかるんじゃないの?
  4. いくら早くなっても資金奪われるリスクとかあるんじゃないの?
  5. 保有するデータ量多すぎて使えなくない?
  6. 通貨の価値が安定しないと使えなくない?

1. たくさん処理がきても大丈夫なの?

イーサリアム上では 15 TPS (Transactions Per Second) しか処理できないのに対し、Plasma Chamber では 数100~数1,000 TPS の処理を行うことができます。

2. GAS 代がかかって使えないんじゃないの?

サービス運営者 (通称: オペレーター) が代わりに GAS 代を支払うことで、送金におけるエンドユーザーの GAS 代負担をゼロにすることを実現しています。

エンドユーザーが支払う GAS 代は Plasma 上へ資産を預ける際 (通称: Deposit) と、Plasma から資産を引き出す際 (通称: Withdraw/Exit) にのみ発生します。

オペレーターが支払う GAS 代は大量のトランザクションを1つにまとめた Merkle Root をイーサリアム上へ提出する際にのみ発生するため、イーサリアム上で発生する GAS 代に対して、1 / 数100~数1,000 しかかかりません。

3. 決済が完了するまでに時間がかかるんじゃないの?

Plasma Chamber では Fast Finality というガジェットを搭載しており、送金完了後すぐに着金させることを実現しています。

4. いくら早くなっても資金奪われるリスクとかあるんじゃないの?

Simple Exit Game という設計により、スケーリングを図ると同時にセキュリティの担保をしっかりと設計し、Plasma Chamber 上で資金が奪われるリスクを限りなくゼロに近づけています。

5. 保有するデータ量多すぎて使えなくない?

Checkpoint という仕組みを導入することで不正証明 (通称: Fraud Proof) のためのデータ量を最低限まで抑えることを可能にしています。
これによりスマートフォン上でも Plasma Chamber を利用した決済を実現しています。

6. 通貨の価値が安定しないと使えなくない?

Plasma Chamber は ERC20 トークンを利用できるように実装しています。
この実装によって DAI や LCJPY などのステーブルコインを利用することができるため、価値が安定した通貨での決済を実現しています。

「Plasma Chamber」は実社会でも利用できるように実装された Plasma です

ここまでで紹介した問題を解決することで、「Plasma Chamber」は実社会でも利用できる Plasma を実装しています。
現在、Cryptoeconomics Lab では「Plasma Chamber」の開発を OSS で行っており、Contributor を募集しています!

ブロックチェーンコミュニティを盛り上げるべく、社会へ普及するために開発を進めています。ご協力よろしくお願いいたします!

Cryptoeconomics Lab とは?

ブロックチェーンのセキュリティを失うことなくスケーラビリティ、ユーザビリティを兼ね合わせた DApps を開発できるフレームワーク「Plasma Chamber」の社会実装に取り組んでいる研究チームです。

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Daiki Sekiguchi
Cryptoeconomics Lab

Cryptoeconomics Lab / BizDev / Jack of all trades, master of none.