91歳の寿司職人

萩原 敬大
Sep 9, 2018 · 6 min read

最近たまたま見て、とても感銘を受けた番組がある。

それが・・「和食。二人の神様~最後の約束~」という料理人のドキュメンタリー番組。

91歳の寿司職人と、71歳の天麩羅職人。リアル美味しんぼみたいな設定だが、高みを極めた職人同士の無言の戦い…僕たち常人には理解できないレベルの戦いが描かれていて、とても面白かった。(余談だが、僕は父親が日本料理の料理人をしているので、子供の頃からよく厨房に立つ父の姿を見ていた。そのせいか、料理という分野にはどこか惹かれるものがある…)

それに、この内容は、同様に職人的な要素のあるセールスライターにとって、仕事への向き合い方など、とても参考になる部分があったので、紹介したいと思う。

寿司職人の小野二郎と、天麩羅職人の早乙女哲也。2人の歳は20も離れているが、同じ東京に店を構えるライバルとして、毎週のように互いの店に通い、その技を確かめ合う。「食べるのが会話」と言う2人は、カウンター越しでも、なんと10年くらいほとんど喋っていないらしい…

早乙女さんはすでに二郎さんの店に5000回以上通い、寿司だけで数千万円使ったと語る… いったいなぜ、そこまでして通うのか? 彼はこう言っていたが、その内容がとても深い…

ただの寿司ではなく”想い”を提供する

「別に俺は、寿司を食いに行っているつもりはない。二郎さんの寿司に対する自分の美学とか、生き様とか、魚とか、シャリに対する気遣いとか、、そういう諸々のものが、たった1個の寿司の中に詰まっている。あの小さい寿司の中に、100も200も入れてやるという”想い”。それを、ひしひしと感じる。これだけの想いを同時に1つの寿司の中に入れられる人は、ほかにいない。だから、俺はその想いを食べに行っているんだ。」

(この話を聞いた時、とあるラーメン店の店主を思い出した。同業者が選ぶ最高のラーメン店という企画で1位に選ばれ、常に行列が絶えない「とみた」というラーメン店が、千葉県の松戸にある。その店主の富田氏も、「僕の仕事はお客さんに想いを伝えること。その上で、一番分かりやすいのがラーメンなんです。」と、同じようなことを言っていたのを思い出した。扱うものは違えど、やはり一流には共通するものがある。)

それを物語るように、確かに、外からは見えないところで二郎さんが1つの寿司に込める想いは凄い。例えば、、毎日の仕込み。蛸の仕込みをするとき、普通は塩を使って揉むが、二郎さんは一切塩は使わない。風味を損なわず、かつベストな食感を出すため、届いてから1時間延々と蛸を手で揉みつづける。そして、海老を茹でるのはお客さんに出す直前。すかさず人肌に冷ましてから提供する。

食材の味を最大限に引き出し、お客さんに味わってもらえるよう、1つの寿司に想いを込める。

「そのレベルを50年近くずっとやり続けているから、あの人の周りには誰も近づけない。今日も、1つの寿司を握る間に、50も100も積み上げている。91歳になったいまでも、どんな若い衆より親父さんが一番一生懸命に握っている。まさに、努力の結晶。そんな想いを味わいに行ってるんだ。」

さらに、そんな風に早乙女さんは語っていた。

自分の知らない”何か”を求め続ける道

この二郎さんが営む「すきやばし次郎」は、銀座にある寿司の名店で、安倍首相とオバマ大統領が会食で使った場所としても有名。ミシュランをとったシェフの中では、当然ながら世界最高齢。まさに生きる人間国宝みたいな人だ。メニューは昼も夜もおまかせのみ。わずか2、30分で食べ終わるにも関わらず、価格はひとり3万円弱。なのに、ほとんど予約は取れないらしい…

でも驚くことに、この二郎さんには、もともと料理のセンスがあったわけではないらしい。貧しさからやむなく26歳で奉公に出され、寿司の修行を始めた。どちらかというと職人としては遅いスタートだった。しかも手先は不器用。全然センスがない中、真面目な性格と、人一倍の努力でそれを乗り切り、今の地位へとのし上がったそうだ。

早乙女さんが、どんな若い衆よりも一番二郎さんが一生懸命寿司を握っている。と言っていたけど、その探究心・向上心は今も尽きることがない。

「まだ自分の知らない何かがあるんじゃないか? 職人をやってる以上、ここで終わりということはない。」

と、何か寿司に活かせるヒントはないだろうか?と、、今も休みの日には評判の店を食べ歩き、研鑽を積んでいる。

「91歳なら、もう引退してもいいんじゃ…」 「そんなに頑張らなくてもいいんじゃ…」 なんて誰もが思うところだが、二郎さんはこんな風に答えていた。

「夢は仕事をしていて、バタンと倒れて死にたい。やっぱり最後は”こはだ”かな。一番美味しくて、一番寿司に合った材料だから。生まれ変わったら何になりたいかって、やっぱり寿司屋だね。」

91歳の職人のこの姿勢、言葉には反省しかない。きっと何かの道を極めるというのはこういうことなのだろう。道は違えど、何かの仕事をしている以上、誰もがその道のプロ。一種の職人のはず。であれば、常にフラットな気持ちで、もっと良くするにはどうしたらいいか。自分の仕事に活かせないか。を問い続けていかないといけないな。

91歳を過ぎて、今も寿司を極めようと厨房に立つ二郎さんの生き様から、そんな学びを得ることができた。セールスライティングという道を極めようとする1人の人間として、まだまだやるべきこと、知るべきことは山積み。負けないように頑張っていこう。

萩原 敬大

PS.
そういえば、今、定期的に採用面接の面接官をやらせてもらっている。そこで、中途採用希望の人には、当然だけど必ず聴く質問がある。それが・・「なぜ今の会社(仕事)を辞めたいの?」というものだ。 すると、何割かの人はこんな風に答える。

「今の仕事がつまらないから、もっと自分に向いてること、違うことをやりたいんです。」と…

まあ、うちは面接前の段階でかなり絞っているので、他と比べるとこういう風に答える人はそこまで多くないはずだが、大学の友達とか、世の中を考えてみると、かなり多いんじゃないかと思う。

でも、このように答える人が、本当に違うことをやったからといって成果を出せるようになるんだろうか? 人生は楽しくなるんだろうか? もちろん、人には向き不向きがあるのは間違いないし、自分の強みを把握して、それに集中した方が成果は出やすい。それはそうだろう。

でも、二郎さんの例じゃないけど、やっぱりどんな小さなこと、意味がないように思えることであっても、自分の目の前のことに集中して取り組む。全力で取り組んで、何らかの学びや成果を得ようというマインドを持つ人は、きっと何をやっても遅かれ早かれ一流になれるんじゃないだろうか。やっぱり、まずは目の前のことに全力を尽くすということじゃないだろうかと。

PPS.
目の前のことに全力投球できる人、社会人になってからもそんな風に仕事をしたい人は、、採用情報をチェックしてみて。
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萩原 敬大

Written by

セールスライター・マーケター

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