「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2017年」からビッグデータの”今”を読む

Satoshi Nagayasu
Data Practitioner Musings
4 min readOct 4, 2017

昨日、ガートナーから恒例の「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル」の2017年版がリリースされました。

ガートナー | プレス・リリース | ガートナー、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2017年」を発表

「ハイプ・サイクル」とは何か?

「ハイプ・サイクル」というのは、ガートナーの開発したテクノロジーの普及状況を判断するフレームワークで、「テクノロジーは、黎明期、過度な期待のピーク期、幻滅期、啓蒙活動期を経て、生産性の安定期に至る」という前提のもと、各テクノロジーの普及状況が今どうなっているのかを理解するための方法論です。

ガートナー | リサーチ・メソドロジ | ハイプ・サイクル

出典:ガートナー | リサーチ・メソドロジ | ハイプ・サイクル

「2017年のビッグデータ」は?

このハイプ・サイクルの中で、2017年のビッグデータは「幻滅期」で、かつ「主流(メインストリーム)が採用するまで10年以上」と位置付けられています。

出典:ガートナー、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2017年」を発表

これは、「バブルに近かった過度な期待が萎み、その反動としてなかなか新しい導入が進まない」というフェーズである、ということです。言い換えると、「当初の”過度な期待”が実現されなかったため、ビッグデータに対する期待値が下がっている状態」です。

このフェーズで重要なのは、(期待値が下がっている状況ではありますが)そのテクノロジーを使って成果を出し、「導入・投資することに価値がある」と顧客に認識してもらうことです。それがあって初めて、次のフェーズに進むことができます。

逆に、それができないと、そのテクノロジー(とマーケット)が消えていくことになります。

というわけで、この界隈の関係者にとっては正念場が来た、とも言えるのかもしれません。

「数年前のビッグデータ」は?

ちなみに、私がデータ分析の業務を手掛け始めた2013年はハイプサイクルの「黎明期から過度な期待のピーク期に向かっている最中」でした。

ガートナー | プレス・リリース | 「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2013年」を発表

出典:「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2013年」を発表

誰もが「ビッグデータ」に期待し、その現実的な困難さについては、まだ理解が及んでいない時期だったと言えるでしょう。(こういう時期は投資や導入を引き出しやすく、新しく市場に参入するのも比較的容易な時期です)

「主流(メインストリーム)が導入するまでの期間」が延びた?

少し話は変わりますが。

2017年版におけるビッグデータの位置付けを見た時、「幻滅期」に位置付けられていることには特に違和感はなかったのですが(2016年のデータから予測はしていましたので)、「主流が採用するまで10年以上」となっていたことに少し驚きを感じました。

というのは、2016年のハイプ・サイクルでは「主流層が採用するまで5~10年」とされていたからです。

ガートナー | プレス・リリース |ガートナー、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2016年」を発表

出典:ガートナー、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2016年」を発表

2016年には「5~10年で普及」とされていたにも関わらず、2017年には「普及まで10年以上」とされているということは、マーケットの大勢が「ビッグデータを使いこなす・活用するのは、従前考えていたよりも難しそうだ」と考え始めたのではないかと解釈しています。

この点においても、「使いこなす、活用してビジネス的なリターンを獲得する」ために今(orこれから)何が必要か、いろいろと考えて手を打つ必要がありそうです。

では、また。

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Satoshi Nagayasu
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An OpenSource, Database and Data Center Engineer. A Coffee addicted Geek. Co-founder at Uptime Technologies, LLC. http://t.co/GFu7oJKjWG