クラウドファンディングの成功率

kickstarterなどで面白いプロダクトがあると、たまに応援したりもするのだが、大抵の場合、納期を大幅に遅れてしまう。過去に書いたcoinもそうだし、直近ではmacbook proがUSB-Cに大幅に移行となり、magsafeがなくなってしまったので、後付けでmagsafe的に利用できるアダプター(snapnaterというプロダクト)を買ったのだが、これも大幅に遅れただけでなく、追加で料金を取られる始末(高機能版のプロダクトが当初プロダクトのスケジュールを追い越したともいえるが)。

で、ついでにもろもろのスロットがなくなったので、HDMIやSDカードなどを装備したアダプターも買ったのだが、上の写真でみてわかるとおりこれをつけてしまうと、2つあるUSB-Cの口を一個塞いでしまう。このあたりまだまだプロダクトとして甘い(というか最初っからわかっててなぜこうしたのか?)と思ってしまう。まあ、そういう部分も含めて応援しようという気持ちがないと、クラウドファンディングのサポーターはやってられないのかもしれないけど。

とはいえ気になったのはこういったクラウドファンディングってどれくらい成功しているのか。簡単に探してみたら、statisticaでファンディングに関しての成功率をまとめた資料があった。

資金自体を集められたのは全体の1/3強(36%)で、2/3はお金自体を集められなくてプロジェクトが成り立たないようだ。

ただ、それよりも個人的に知りたかったのは、ファンディングを受けた後、返金や大幅なプロダクト開発の遅れなどの失敗事例についてだが、この辺りをまとめた情報は見つからなかった。(誰か知ってたら教えてください)

いろいろな人に聞いたところ、失敗の多くは製造に対する見積もりの甘さ(設計や製造技術、製造管理など)にあるという。クラウドファンディングを利用する多くは、若いスタートアップや個人などだが、もともと製造に関して知識や経験を持っている人は多くないという。3Dプリンターや工作機器を使ったプロトタイプ作りでは、機能性の確認など十分にできるものであるが、いわゆる完成品のマス(に近い)製造となると、全く異なることを事前に理解していないケースが多い。

また、図面さえあれば、多くの中国の製造業が、安く・早く作れるということをうたって物を作ってくれるらしい。しかし彼らはある意味設計図通り作ってさえいればよいのであって、その図面に問題があっても彼らには責任がないというスタンスなので、出来上がった製品が、例えば部材の強度の問題で動かなかったとしても、彼らは関知せず「仕様通り」を繰り返すだけのようだ。そのような「痛い目」にあった人たちも多いと聞く(クラウドファンディングに限らず)。

この辺り、ひょっとすると日本の製造業、特に地方の町工場など、いわゆる日本品質を追求してきた製造業の方達の出番があるかもしれない。彼らは単に設計図通り作るのではなく、必要があれば様々なアイデアを設計に対して進言してくれる。これまで川上から川下までチームとして一体となって物作りをしてきた日本の製造業だからこその成せる技かもしれない。そういう人たちが、もう少し外に目を向けることができれば、日本の製造業は、その持つ技術によって、今よりも飛躍できる可能性があるんじゃないだろうか?

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Daisuke Minamide(南出 大介)
deep dive into the basis

a Venture Capitalist based in the Bay Area. ex Marketer, BD, and Engineer. Love gadgets and technologies.