CES2018で思ったこと
今年のCESは過去最高の参加人数を記録したらしく、ピークを避けて後半から参加したけど道路やレストランの混雑具合からその雰囲気を実感した。
GoogleやAmazonなどの大企業関連の話に付いては、多くのレポートが出ているのでここでは触れないが、Eureka Parkというスタートアップを集めた会場で、今回特に気付いたことについてちょっと触れたい。
今年もEureka parkでもっとも目を引いたのは”La French Tech”を標榜し、Le Coq(雄鶏)のシンボルをつけたフランシ企業のブース群。とにかく異常に目立っていた。(そういえばおフランスのスポーツメーカーのルコックってまさにこの意味だったのを恥ずかしながら今回初めて知った)
ネット上で今年のCESでのEureka Parkに関する記事を探したのだが、自分がみた状況を表しているのはBusiness Insiderのこの記事しか見つからなかった。さらにいうと、このフランス勢の席巻は2016年頃から始まっていて、過去の記事の方が多くでてきた。
実は今年、フランスばかりでなく、イタリアやオランダ、ドイツといった他のヨーロッパの国も結構な存在感を示していた。これはフランスに続けとばかりに気合を入れて出展したんだろうと想像する。
とあるフランス企業と話をしていた際、
「なんでこんなにフランスのスタートアップが多いの、政府とかのバックアップが相当あるの?」
という質問をしたら、
「政府関連からの援助はほとんどない、皆自前で自発的に来ている」
「一番の理由は、普段絶対に会うことのない大企業の幹部と直接話ができ、そしてすぐ商談に繋がるんだ」
という会話そしていたまさにその最中に、相手が急に耳元に顔を寄せ小声で
「ほら、今このブースに来た隣の人を見てみろ。あの人はフランスの大企業(名前は聞き取れなかった)の社長だ。こういうことが起こるからここにきてるんだ」
と言われ、妙に納得してしまった。隣の商談自体うまく行ったかどうかはわからない。でもスタートアップにしてみたら、自国で真正面から行っても絶対に会わせてもらえないような企業の幹部が、自分からブースに足を運んでくれるCESという場所はある意味特別なんだろう。
翻って我らが日本のスタートアップ。先ほど紹介した2016年の記事でも日本のスタートアップの存在感のなさに触れられていたのだが、今年も全く変わっていない。ぶらぶら歩いていると、ブースのとある一角がどうやら日本企業が並んでいる場所であったが、なぜか看板には企業名の後ろにカッコ書きで(JETRO)と入っている。スタートアップを取り上げたいのであれば、JETROはいらないんじゃないかと思った。というかむしろJETROの名前を広めたいのかと穿ってしまう感じ。
BIの記事では、メディア向けのセッションをStartup Japan Loungeという形でやったようだが、リアルな商談を行う場所としてのブースがあれだとちょっと貧相な感じ。特にブースの外観が統一化され、La French Techの下、圧倒的に並んだフランス企業群と比べてしまうとその差が歴然となってしまう。
この差はどこから来るのだろう。「物作り日本」みたいなことを言っておきながら、世界最大のconsumer electronics、つまりハードウェアの見本市に参加しない企業数の少なさはなんなんだろうか。メディアに取り上げられれば、興味を持った相手から話を聞きに来てもらえるだろうとか、いいものを作って入ればそのうち相手が見つけてくれる、というpassiveな待ち姿勢が多い気がする。上を向いていたら大企業から仕事が落ちて来ると思ってる下請け根性とか、日本企業はマーケティングが下手(というか概念自体が皆無)とかと通づるところかもしれない。