Intuitive UI

最近巷を賑わせているチャットボットを一歩掘り下げて考えてみると、ユーザー観点においては結局UIというか、ユーザーとサービス/プロダクトとのインタラクションの仕方が大きく変わることが一番インパクトが大きいんじゃないかと思う。

source: techcrunch

チャットボットのプラットフォーム化とそれに伴うUIの変化

少し前にスライドで書いた内容だが、メッセンジャー(又はチャットボット)がプラットフォーム化し、全てのサービスがチャットウィンドウで実現されると、会話がインタラクションの基盤となる。つまり”converseation as an interface”という新しいUI設計の思想が中心に来ることになる。

会話を成立させるためのinput(/output)方法は音声とテキストがあり、inputを理解するためには実在の人間か流行りのAIか、もしくはその組み合わせかということになるが、会話形式による役務の提供・享受の形は、リアルワールドでのそれをネット上で実現する事と同じだろう。

自分の行動・要求を理解してくれる安心感

店で対面で商品を買ったり、電話でレストランの予約をしたりするようなリアルな世界におけるインタラクションを伴う応対のネットへの移行は、かなり前からオペレーターを介したチャット形式のネット上でのユーザーサポートなどで実現されている。自分もComcastやAT&Tのユーザーサポートを利用する時は、電話ではなくチャットを多用する。履歴が残るので後で必要な情報を取り出す時にはかなり便利だし、何より伝えたいことがきちんと伝わっているかどうか、また相手の言っていることをきちんと理解できるかどうかの確認が、テキストで残っているので確実にできる。

一方で1年ほど前から注目されているのが”conversational commerce”という、会話型のコマースだろう。分かりやすいところでは、Fancy HandsFetchなどがある。Fancy handsはいわばコンシェルジュサービスで、例えば「木曜日の7時にヘアカットの予約をして」と入力すると代わりに予約をとってくれる。Fetchは欲しいものの写真や内容を詳細に記述すると、その品物を探し購入手続きを完了してくれる。これら以外にもレストラン予約のLukaや旅行予約アシスタントのPanaなど様々なverticalで会話型のUIを用いたサービスが出てきている。

複雑な作業を代行してくれる便利さ

これら会話型のサービスが台頭し始めた鍵は、もちろんAIのcommodetizeやon-demand型のサービスの勃興もさることながら、複雑な作業を代わりに実施してくれる便利さの追求だろう。

今のアプリではサービス提供側のフォーマットに従って様々な作業が発生する。例えばレストランの予約であれば、まずは場所、料理(和洋中など)で検索し、検索結果を金額のレンジや今空いてるかどうか、予約は取るかなどフィルターにかけていく。でも本当は「急なビジネスディナーを今いる場所の近くで1時間後にしたい」という文脈だったり、「週末に友人3人とNBAのファイナルを旨いビールを飲みながら楽しみたい」というような色々なシチュエーションが裏にはあるのだが、どうしてもサービスもしくはUIの設計上、一発でそこまで気の利いた調べ方ができない。

一方会話型では、会話そのもののコンテクストを理解してくれるので、したいことをテキスト又は音声で入力するだけで、シチュエーション・シチュエーションに合わせた柔軟な対応が可能となる。アプリのUI上の限界が会話型、conversational UIの登場により取り除かれより直感的な作業が実現されるだろう。

Conversational UI = Intuitive UIに

今までIntuitive(直感的)を謳うUIは数々あったが、本質的に直感的だったためしがない。将来的に人体に接続して直接シナプスの信号を読み取ったりする世界がくるかもしれないが、今の技術・デバイス上で実現できる実用的な直感的UIはこの会話型UIが今の所ベストだと思う。

もちろん聞き取りの精度やコンテキストの理解度の精度など、技術的に解決すべき課題はたくさんあるが、特に音声でのオペレーションが普及すればPCの発明以来変わらなかったインプットの方式にイノベーションを起こすという意味で、非常に面白い分野であると思う。

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Daisuke Minamide(南出 大介)
deep dive into the basis

a Venture Capitalist based in the Bay Area. ex Marketer, BD, and Engineer. Love gadgets and technologies.