web3における新しいCVCの形

近年多くのWeb3関連のstartup、特に巨額の資金調達を行いビジネスも軌道に乗ったstartupが投資部門を持ち、自社のプラットフォームに参加するstartupやプロジェクトに投資という形でサポートするようになった。

source: CB Insights Blockchain Report 2022

上表を見て分かる通り、Web3関連の投資案件で件数ベースで上位に位置する投資家は、CoinbaseをじめCircle、FTX(2022/11月倒産)、Polygon、Solanaなど本業は取引所やWallet、Layer2のソリューションなど、Blockchainをベースにしたstartupもしくはそれらの投資部門である。

https://opensea.io/blog/announcements/openseas-ecosystem-investments/

NFTの最大のマーケットプレースであるOpenseaも昨年Venture Capital部門を立ち上げ、多くのstartupへ投資を行っている。

直近ではPolygonのfounderが、Polygonの資金ではなく、本人が立上げに参画したVCを通じて、Web3向け開発者にfellowshipプログラムを提供すると発表した。

これらの動きは既存の多くのCVCとの共通点であるエコシステムの形成という目的もあるが、最も異なる点はstartupの方から彼らにアプローチする仕組みを有するということだろう。SolanaやPolygonが分かりやすいが、様々なDAPPsやNFT、DeFiのプロジェクトが彼らのソリューションを利用し、効率的なsmart contractの仕組みやより安価で大規模のトランザクション処理を実施するために、startup自ら彼らに接触してくるという点である。

多くのCVCは自社のプロダクトやサービスに資する「自社プロダクトの部品」となりうるstartupsを能動的に探しているのとは対照的に、web3ベースのCVC達は受動的に自社のプラットフォームを利用するstartupをそのまま投資案件として選別できるのである。彼らは、「自社プロダクトがstartupの部品」というエコシステムを構築しつつあるのだ。

Web3という枠の中ではあるが、「投資案件発掘の自動化」という部分で多くの既存投資家に対してアドバンテージを有する投資家が誕生し始めている。自社プロダクトを磨けば磨くほど、エコシステムが大きくなればなるほど、より良い案件が向こうから近づいてくるというPositive Feedback Loopを形成している。

Web3は未だ発展途上のマーケットであるが、いずれ現在の投資案件が成功し、自社の本業が大きくなれば、より大きな案件も手がけることができるようになる。その時既存のVCやCVCは対抗できる手段を持てるのだろうか?

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Daisuke Minamide(南出 大介)
deep dive into the basis

a Venture Capitalist based in the Bay Area. ex Marketer, BD, and Engineer. Love gadgets and technologies.