レンディングとリスクについての総合ガイド

Shingen Takeda
DeFi Japan
Published in
6 min readFeb 22, 2020

※こちらの記事は2020年1月22日に”やさしいDeFi"イベントで発表したスライドのまとめになります。

暗号資産におけるDeFiレンディングとは?

  • 資産をレンディングプラットフォームに預け入れ、借り方の支払い利子から利益を得る
  • P2PマッチングではなくPool型が一般的で、安定して金利を得られる傾向にある
  • 現状では借り方もプラットフォームに入れた過剰担保を元に借りている事やPool型である構造から、基本的には貸し倒れが起きにくい仕組みになっている
  • 透明性と過剰担保が前提、且つ預け入れ資産を管理者が直接動かす事は出来ない形が基本

レンディングの傾向

  • ドル建てステーブルコインであるDAIとUSDCの利率が高い傾向
  • ETHやWBTCの金利は基本的に低く、単体では稼げない
  • DAIやUSDCへの交換手数料を考えた場合レンディングは短期だと全く割に合わず、参加者は長期目線が多いと考えられる
  • DeFiレンディングよりCeFiレンディングの方が固定且つ高利率な傾向を持つ(例: BlockFiではUSDC/GUSDが共にAPY8.6%)
  • 特にETHやBTCの様な担保に向いたアセットはCeFiの方で金利を得やすい

特殊なケース

MakerDAO DSR https://oasis.app/save
MakerDAOが提供するサービスでDAIをロックしておく事で金利が得られる(収入源はDAI発行の手数料から)。利率はガバナンスで決定され、2020年1月現在は年利6%だが状況に応じて変化する。レンディングではないので預託資産はどこにも出ていかない点とセキュリティの高さが大きなメリットとなっている

PoolTogether https://www.pooltogether.com/
PLS(Prize Linked Saving Account)方式をレンディングで行う製品このPoolへDAIを預託した全員の金利は毎週一人の当選者へ全て渡される(元本を保ったまま宝くじに参加出来る様なイメージ)。実際にはCompoundのレンディングを利用している為CompoundのレンディングとPoolTogether自体のリスクは存在している点に注意

レンディングのリスクについて考える

  • DeFiレンディングと言えども100%安全とは言えない
  • DeFiは基本的に自己責任の世界である点に注意が必要
  • OpenSourceである事に加えてシステムの監査や形式的検証、バグバウンティ等を行い透明性と高セキュリティを保つプラットフォームもあるが、そうでないところもある
  • 不自然に高い利率や不透明な点がある場合には特に要注意
  • 資産そのもののリスクも無視は出来ない。例え法定通貨をバックにしたステーブルコインであっても運営側の不正が起きれば価値が毀損される可能性がある
  • MakerDAOのDSRは最もセキュアだが、それでも合成資産であるDAIそのものが持つリスクは存在する

考えられるリスクのポイント

  1. 貸し倒れが起きてしまい、Poolの資産が減少していく
  2. 価格参照オラクルが正常に稼働せず、不当な精算等トラブルが発生する
  3. 管理者(攻撃者)が勝手に債権トークンを発行し、Poolの資産が稀釈されてしまう
  4. 管理者(攻撃者)が勝手に預け入れ資産を引き出してしまう
  5. ガバナンスによりシステムが不当に停止、変更されない事(ここは現状ではまだ解決が難しい課題)
  6. チェーン側の致命的トラブル
  7. 意図しない動作を起こすバグ
  8. Admin keyある場合にKeyが漏出し、管理権限を奪われてしまう

こうしたリスクやトラブルを回避する為に監査や形式的検証を行うプロジェクトが多い

リスクを測るサービスのDeFi Score

様々な要素から各プラットフォームのリスクを測り、スコア化するサービス、DeFi Score

銘柄毎の流動性や扱いもリスクの要因となる為、銘柄毎にスコア設定がされており、DeFiの詳細を理解せずともある程度リスクが測れる様になっている

Uniswapの紹介を含めたスライド本体はこちらです

https://docs.google.com/presentation/d/1MzdtvQuQkSkRk-KlwhnJUR_S0PxOFSjLf80xl_JUXcs/edit?usp=sharing

参考リンク

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