DeFi Meetup #1 イベントレポート(前編)
2/28日にNeutrinoで行われたDeFi Meetup #1のイベントレポートを前編・後編に分けてお送りします。
DeFi Japanは昨今非常に盛り上がっているDeFi(分散型金融)ムーブメントを日本でも加熱させるために有志で始まったコミュニティであり、今回のイベントはその初顔合わせとなる機会でした。
パネラーには以下4名の方々をお招きし、ディスカッションメインのミートアップが行われました。
ですが本イベントは一般的なミートアップとは異なり、「パネラー(上記4名)の話を参加者全員でじっと聞く」といったようなスタイルではなく、椅子をコの字に並べ、全員でランダムにディスカッションを行う双方向性のあるスタイルを採用しました。
それに加え当日は、参加者がイベント開始前にも関わらず軽食をとりながらコミュニケーションを取れるようにしました。
また、イベントの参加者25名はTwitter上でもともと顔見知り同士の人達も多かったことから、比較的雰囲気の温まった状態でイベントがスタートしました。
オープニングでは、DeFi Japanのコミュニティモデレーターらによる初めの挨拶と、「DeFiの概観」というテーマのスライド発表が行われました。
<小ネタ1:DeFiの読み方について>
ちなみに、この日はリアルで初めてDeFiを語る機会でもあったため、「DeFi」をなんと読むかということについてちょっとした議論になりました。
スライド発表の最中に挙手によるアンケートをとったところ、参加者の過半数は”デフィ”という日本語読みでした。(なんでもいいと思います。海外では”ディファイ”だそうです。)
<小ネタ2:自己紹介>
スライド資料発表後、ディスカッションに入る前に、参加者全員(25人程)による簡単な自己紹介が行われました。その中で何度も以下のようなシーンが。
自己紹介者「初めまして、〇〇と言います」
参加者「」
自己紹介者「Twitterは〇〇という名前でやってます」
参加者「!!!!!」
オフ会感が否めませんでした。
ですがディスカッションが始まると徐々に場の空気は張り詰め、議論が白熱していきました。
DeFiとは何なのか??
まずはじめに、今回の議論を行う前提として、DeFiとは何かという問いかけから議論が始まりました。これに対しては、以下の2パターンで挙手によるアンケートが行われることになりました。
①既存金融をブロックチェーンを用いて効率化するもの
or
②ブロックチェーンの特性を活かした新しい金融エコシステムを作るもの
なぜこのような議論が起きたかというと、DeFiの一部として挙げられることの多い「ST(セキュリティトークン)はDeFiに含まれるのか」という疑問が投げかけられたためです。
STとは既存の金融システムにもともと存在した証券をそのままトークン化する仕組み(あるいは証券性を持つトークンもそう呼ばれます)ですが、確かにこの辺りの定義・位置付けは曖昧です。
実際に証券業界での経歴を持つ参加者からは、「現在ある”証券”とは法律で定義されたものであり、そうでないものを”セキュリティ”・トークンと呼ぶ意味が分からない」という意見も出ていました。
まとめると、証券のような既存金融に存在するものをブロックチェーンに乗せ、効率化を測ることがDeFiなのか、そうではない”新しい何か”なのか、というのがこの議題の論点です。
結果的には、参加者全員が後者を選択しました。前者の話はわざわざここで語る必要はいのではないか、というのが大半の人の意見だったようです。
(※「このイベントに来ているような人はただ純粋にCompoundとかdydyの話がしたいだけ」という的確なツッコミも多くの同意を得ていました。w)
DeFiが解決する既存の課題とは??
ディスカッションの方向性が徐々に定まってきたところで、次のトピックに移りました。次のトピックは、DeFiが解決する課題についてです。
この問いに対しては、以下のような意見が挙げられました。
・ボーダレス(グローバル)で24時間利用可能なこと
・金融経済が不安定な地域での価値の保存手段(DAI)
・金融システムの未発達な地域における金融包摂(例:マイクロファイナンス)
・金融機関の透明性
・中抜きの多い中央集権的な機関の独占を緩和できる
上記のような項目は、DeFiの利点としてはよく述べられるものです。
ですが、”中央集権的な金融機関は中抜きが多い”といったような意見は、元金融機関務めの方の指摘であり、このような主張にはやはり一定の説得力がありました。
しかし一方で、「そもそも課題を解決する必要はあるのか?」という異なる視点からの声も挙がっていました。
具体的には、「Augurやveilのような、娯楽としての需要の方が大きいアプリケーションもDeFiの一部なのだから、必ずしも課題解決だけを目指す必要はないのではないか」という主張です。この意見に対してはいくつかの賛同の声が上がりました。
加えて、「例えば中国のWechatでは既にマイクロペイメントに当たる融資機能が成立していて、かつUI/UXの面でも中央集権的な金融システムの方が良い。
したがってDeFiが解決できる課題は実際のところあまりなく、その本質は、国家権力や政府の検閲を逃れたい人々が独自の経済圏を作れるという点のみにあるのではないか」という批判的な意見も挙がりました。
個人的な意見ですが、今回のディスカッションでは以上で述べたような的確な批判的意見がいくつも際立っていたため、純粋にDeFiのことが好きな人達が、自らのDeFiに対する先入観を改めて問い直せる良い機会だったのではないかと思います。
さらに今回のミートアップの参加者は、純粋にDeFiに詳しいという人達の意見だけでなく、既存金融での経歴を持っていたり、最新の法規制方々による意見も多く、議論に深みが出ていました。
前編は以上です。後編では、DeFiにおけるマネタイズポイントやミドルウェア・プロトコルの分散性、DeFiにおいての金融危機の可能性など、さらに深いトピックについて議論していきます。
後編に続く
(ミートアップ風景)
後半に続きます。
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