MakerDAOがスムーズなMCD移行のために実行した3つの施策

皆様はもうDAIに移行済みでしょうか?

Kathleen Chu
DeFi Japan
5 min readFeb 4, 2020

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HashHub共同創業者兼COOであるビール依子さんによる、1月22日のやさしいDeFiミートアップでの、MakerDAOがスムーズなMCD移行のために実行した3つの施策についての発表の要約です。

発表の内容は平山翔さんによって書かれた研究報告に基づいており、d10n Lab(ディーテンエヌラボ)というコミュニティから発行されました。

ビールさんの発表の様子

背景:

  • MakerDAOはEthereum上で最も大きなアプリケーション
  • ​現時点で発行済Etherの1.5%~2%程度がMakerDAOのコントラクトにロック
  • MKRトークンの時価総額は355億円程度で、現在28位 (発表時のデータ)
  • ユーティリティ・ガバナンス型のトークンとして最大級の時価総額と利用者がいる
  • ローンチ以降最大のアップデートがSAIからDAIへの移行で、ユーザー側のアクションも必要なので困難だと思われていた

施策1:サードパーティによる協力

  • MCD移行を受けて、Compound, dydx, Fulcrumなどが新DAIのサポートを表明したのみならず
  • さらにdydxのようにプラットフォームにデポジットされたままになっているSAIは、あるタイミングでDAIに変換すると表明したプラットフォームも
  • DAIの魅力である高い利回りを打ち消すために、利害関係者が事前にSAIを大量発行し、CompoundにデポジットすることでSAIの利用率を下げ、利回りを下げた可能性も推測される

施策2:DAIによる魅力的な利回りを提供

  • 6%(発表時の数字)は他のレンディングプラットフォームよりも高ため、CompoundにSAIを残してよりSAIをDAIに変換して利回りを狙うのが合理的DAIを公式ページからデポジットしておけば、利息を受け取ることができる
  • DSRを高くするとバーンされるMKRの量が減ってしまうためMKRホルダーには良くないが、MCDへの完全移行がMakerDAOの長期的な成功には必要と判断しているため、DSRを理論的な上限まで引き上げる可能性は否定できない
  • DSRの引き上げはGlobal Settlementという強制シャットダウン一歩手前の強力な手段。DSRの引き上げは言わばアメであり、その背後にあるGlobal Settlementはムチの役割を果たします

施策3:ウォレットでの通知

  • MetaMaskを開くたびに「DAIへの移行はお済みですか」のメッセージ
  • 詳しい知識の無い人にとっては移行しないとすぐに使えなくなるような印象だったので若干中立性には欠けるものの効果は見られる
  • 同じような表現はMAKERDAOのブログなどでも(但しスムーズな移行が長期的な成功には不可欠

もっと詳しく知りたい人は今後のやさしいDefiに参加するか、d10nLabで読んでください。

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