5つのステップで考えるデジタルトランスフォーメーション

Apr 18, 2018 · 8 min read

Uberに見るデジタルトランスフォーメーションの意義〜モノからコトへ

近年の消費行動は「モノ消費」から「コト消費」への転換が始まっていると、あちこちで言われています。すなわち、消費者が物質的な“モノ”ではなく、体験などの“コト”に価値を見出し始めているということです。

このコト消費への大転換期を支えるのが、「デジタルトランスフォーメーション」という考え方です。その最たる事例としてUber(ウーバー)がよく取り上げられます。

ご存知の方もいるかもしれませんが、Uberとはアメリカを中心として人気を集める自動車配車システムです。従来のタクシーとは異なり、移動したい人と時間が空いている登録ドライバーをマッチングするサービス。目的地はあらかじめ設定できるので改めてドライバーに伝える必要がなく、リーズナブルな料金で決済はオンラインで完結できるなど、ストレスなく移動できるということで人気を集めています。

このサービスを実現しているのは、利用者とドライバーが使うモバイル端末や、リアルタイムなマッチングを行なうクラウドなどのデジタルテクノロジーです。Uberのようにデジタルテクノロジーによって従来のビジネスモデルを大きく変革させることを「デジタルトランスフォーメーション」と呼んでいます。

変革を支える「第3のプラットフォーム」

デジタルトランスフォーメーションを実現するために欠かせないのが、デジタルプラットフォームです。これまで時代と共に変革してきており、現在のデジタルプラットフォームを米IDCでは「第3のプラットフォーム」と呼んでいます。

各社でさまざまなスタイルを提唱していますが、いずれも以下の4つの要素を含む概念のことをさします。

1.モバイル(Mobile)
2.ソーシャル(Social)
3.ビッグデータ(BigData)
4.クラウド(Cloud)

先ほどのUberを例にとれば、ユーザーやドライバーの利用する端末が「1.モバイル」、最寄りのドライバーとユーザーをマッチングさせるのが「2.ソーシャル」、ドライバーの状況や決済情報という「3.ビッグデータ」を活用し、システムを「4.クラウド」で構成することで柔軟な運用が可能となっているわけです。

導入に必要な5つのステップとは

実際にデジタルトランスフォーメーションを進めるにあたっては、大きく分けて下図のような5つのステップを経る必要があります。デジタル化から始まり、徐々に組織だったデータの活用へと進めていきます。

Step1の「デジタル化」は、デジタルテクノロジーの導入期にあたります。さまざまなツールがデジタル化され、データがどんどん蓄積されていきます。先ほどのUberの例でいえば、従来は配車係がタクシーの空車を把握していたものが、アプリやクラウドによってデータ化されたことにあたります。

Step2の「効率化」は、蓄積されたデータを部門ごとに活用するようになる段階です。部門単位で運用ルールが定められており、施策実施にデータを活用していきます。今の日本企業の多くは、この段階にあるといえるでしょう。Uberの例でいえば、データ化された空車情報を用いてユーザーとのマッチングを行なうサービスがこの段階にあたります。

Step3の「共通化」は、部門をまたいでデータを活用するための基盤を構築していく段階です。全社的な共通のKPI(評価項目)が設定され、仮説→施策実施→データで検証する、というサイクルを回していきます。部門間で活用していくということから、Uberの例でいえば、配車システムを外食宅配に応用した「Uber Eats」などがこの段階にあたります。

Step4の「組織化」は、Step3で構築した基盤を活用して効率的な運用を行なうための組織づくりを行なう段階です。運用体制を確立し、業務フローを明確化することを目指します。デジタル専任組織が設立され、積極的なデータの活用、データによる仮説作りが行なわれます。Uberのような一部の先進的な企業については、この段階を進めている状況といえるでしょう。

そしてStep5の「最適化」は、デジタルテクノロジーの活用によって事業にイノベーションを起こすような段階となります。データからのインプットを元に施策を実施し、データを活用した事業の未来予測を行ないます。データなどデジタル資産は事業の基盤となり、その活用が競争力の向上につながります。今後は、この段階を目指し、様々な企業がデジタルトランスフォーメーションを進めていくことになります。

各Stepについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

企業の“デジタルトランスフォーメーション”ステップ

Step1:デジタル化
デジタルテクノロジーの導入初期・黎明期。具体的には、自社サイトを開設するとともに、限定的なデジタル化を進める段階です。管理運用は従来のルール上で行なうため、抜本的な変革とはなっていません。自社サイトに無償版の評価分析ツールを導入するなどして、基本指標を用いた評価を行ないます。この段階では、顧客のことを抽象的な「お客様」として捉えており、裏付けのない経験値で考えているような段階です。ここで活用されるデジタル知見としては、HTMLやCSSとなり、デザインディレクションやUI/UXディレクション、市場/競合調査などのスキルが必要となります。

Step2:効率化
運用範囲が少し細分化され、部門単位で運用を考える段階。「できること」からデジタル化を進めて効率化を図ります。具体的には、簡易的なCMSやSNSの活用、アドテクノロジーの導入など。この段階では、顧客のことはデータを通じて考えるようになりますが、課題ごとに「顧客」に向き合うため、顧客単位での最適化にはなっていない段階です。ここで活用されるデジタル知見としては、ブログツールや一部のGoogleツール、JavaScriptやTagManagerであり、ツール選定・活用の提案や運用設計、定型レポート定義などのスキルが必要となります。

Step3:共通化
部門間の連携が考慮され、複数部門で使える仕組みづくりをする段階。データなどデジタル資産を管理するデジタルアセットマネジメント(DAM)の概念を導入し、全社的な運用基盤が構築されます。この段階では、企業として「顧客」の定義が明確化されます。ここで活用されるデジタル知見としては、エンタープライズCMSやデータベース、API、ITインフラ、プロジェクトマネジメントなどで、コスト管理やKPI設定、RFP策定、データ設計、システムアーキテクトやアセスメントのスキルが必要となります。

Step4:組織化
デジタル専任組織を設立し、共通プラットフォームを効率的に運用する体制を構築する段階です。施策を重ねることで得られた知見から、「顧客」を「個客」としてとらえ、顧客単位での施策が図れるような段階です。ここで活用される知見や必要となるスキルはStep3と同様です。

Step5:最適化
デジタルテクノロジーが自社の基盤となり、その活用による事業イノベーションを起こす段階です。デジタルテクノロジーが事業運営の基本活動に組み込まれ、それを基に市場拡大・新規事業開発・競合優位性確立を目指します。「個客」との関係を構築し、「個客」から得られる利益を把握できるような状態です。ここで活用されるデジタル知見はプロジェクトマネジメントを横断的に支援するPMO(Project Management Office)があり、事業計画や損益計画/管理、サービスデザイン、市場分析やデューデリジェンスのスキルが必要となります。

もはや止められないデジタルトランスフォーメーションへの動き

ここまで見てきたように、デジタルトランスフォーメーションは従来のビジネスモデルを大きく変革させるものです。この流れはもはや止めようがありません。パッケージ販売のCDから音楽配信サービスのiTunesに、実在の書店からECのAmazonに消費者が流れていったように、従来のビジネスモデルを守り続けることがリスクとなり得る時代になってきています。

Uberに危機感を感じた日本のタクシー業界はすでに動き始めています。全国のタクシーが会社を問わずに共通のアプリで呼べるJapanTaxiの「全国タクシー」が登場し、業界を横断して各社が参加しているのです。

これからの変革の時代を生き抜く活路はデジタルトランスフォーメーションにあるといえるでしょう。

取材・文/電通アイソバー編集部

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電通アイソバーブログ。企業のデジタルトランスフォーメーション課題を共に考え、解決に向けてサポートします。

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