社会的事業にまつわる人材の分類

Shigeta Togashi
Designing Future Magazine
6 min readMar 24, 2017

最近考えていることとして、世の中には問題発見人材、問題発信人材、問題解決人材、解決持続人材がいると思っていて、前者2つと後者2つとかが結ぶ仕組みをつくったり、ジャンプして2〜3つできる人が生まれたりして段差をなくすことが重要だと思う。

思考のまとめなのでざっくりとまとめておく。WIP。

問題発見人材

研究者や、特定の事象について考察したりするメディア人材、あるいはマイノリティだったり、問題となっている社会の当事者として生きてきた人がそれに当たる。

彼らの長所は固有の社会課題や痛みについて誰よりも深く知っていることであり、問題解決を行う出発点となる根本要因をわかっていること。

事業家と話していると「スキルのなかでアイディアが一番価値がない」と言われることがあるが、マーケットドリブンの思考から生まれるアイディアはともかく、個人的にはその人自身が強く感じている固有の課題から生まれる痛みやアイディアは全てのスキルを凌駕する価値があると思っている。

一方で、彼らの課題としては問題解決スキルや意欲に欠けること。ゴールが学会での発表やメディアでの発信になっていてそれが慣習化していたり、問題解決意識があっても発信をして政治家に任せたり、共通の課題意識を持った人間を集めたはいいが、目の前で困っている人を助けるといった労働集約的なボランティア活動を草の根で展開することが精一杯になってしまうことだ。

もちろんそこにも大きな価値があるし、最適解の場合もあるが、問題は根本要因が解決されることなので、政治家が動かなかったり、労働集約型のボランティアで疲弊してしまったりしているとけっこう疲れてしまう。

問題発信人材

問題発見人材が見つけた課題や痛みを多くの人に広めるのはメディアや批評家、ライターの役割だ。

彼らの発信力とノウハウ、伝える力は誰よりも強く、誰かの苦しみを短い期間で多くの人に知らせることができる。

一方で彼らのゴールは発信することによる社会のリテラシーの底上げなので、やはりそれぞれの問題解決は別の人に任せることが多い。

問題解決人材

政治家や起業家、NPOなどがこれに当たる。特に2年ほど前に流行った社会起業家といわれる方たちは問題発見と問題解決の両方の意識を持ち、存在であったため、注目されたんだと思う。

彼らは問題発信人材が持つ課題や痛みを拾い上げ、それらを根本的に解決する仕組みを考え、実行できる存在として問題解決社会で重要な存在に位置している。

ただし彼ら全員が問題解決人材というわけではない。基本的に事業の立案は市場の大きさから決まるため、そこに当てはまらない課題に関しては放置され続けることが多い。ので、現状の仕組みだと起業家ではなく、問題解決人材としては、政治家の役割が強いのかなと思う。

でも政治家は後述する解決設計人材とは限らない。特に仕組みを作る時は世の中の技術、デザインなどの知見が必要になるケースも多いからだ。

そのため外部のパートナーと組んで解決設計を進めることも多い。

上述した政治家で解決できなかった課題にアプローチしているのが、シェアリングエコノミーみたいな法律上グレーだったところに技術とデザインで入り込もうとしているスタートアップだと思う。日本ではKIDSLINEらが社会課題を解決する仕組みを設計している事業例として挙げられそうだ。

(余談だが、自分はこのポジションはデザイナーや設計者も担うものだと思っていた。UXデザインやサービスデザインが流行った時に、わりとそういう流れになるものだと思っていたが、現状の日本の企業やデザイナーの働き方をみるとどうやら問題解決とは「プロダクトとその周辺の問題解決」のことだったみたいだ)

解決持続人材

経営者ほか(マーケター、PR、デザイナー、エンジニアなどの専門職)

起業家と経営者が同じみたいなのが多いのでそれがスタンダードな気もするけど、問題解決設計の能力と、グロースの能力は別だと思う。

ここから先は顧客を中心に関係者全てが得をしながら前に進めていく推進力が必要で、今まで挙げてきたタイプとは全く違う。

この人材は最も企業に必要とされるので数も一番多いが、そもそも社会的事業や問題解決に関心がある場合が多いわけではない。

ただ様々な企業で鍛えられていて質も高いため、チームに入れると大きな戦力になることが多い。彼らを仲間に入れたり、入ってもらうためにはたとえ社会的事業やNPOであっても収益をあげることが大切になってくるよねという現状だと思う。

各レイヤーで存在する段差を少なくする

例えば、問題発見人材は適切な形で仕組みを作れなかったりするので、そこの問題を理解して適切な形で解決設計をできる人材が必要になる。

あるいは仕組みを作るのが得意でも経営持続や、Webやアプリならユーザーに届けるデザイン能力、エンジニアリングスキルも必要になる。

それぞれを横断的に行える人材が社会的事業において価値を発揮していきそうだと思う。あるいはその段差を解消する仕組みを設計する人だ。

評価軸の設計

人や資金を集めたりする要因はマーケットサイズや収益が主で、現状は社会的事業をするにしてもビジネス設計能力が必要になっている。

反対に、評価軸や成功要因が利益になり、社会的意義があっても儲からない事業に優秀な人は集まってくることはないのが現状だ。

ここらへんがソーシャルインパクトといった社会的影響力で評価され、働く人に還元される仕組みを考える人も問題解決社会で価値を発揮していきそうだ。

自分はどうしたいか?

基本的に企業をマーケット軸とソーシャルインパクト軸の両方でみていき、解決設計の手伝いをするか、あるいは自分でこうした仕組みを設計するかしかないと思う。

微妙に仲間も増えてきたのでコツコツやっていこう。

クリエイターによる問題解決設計/グロース支援と動画マーケティングの仕事をしています。

togashi@periodsinc.com/@siarrot

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