VRによる「体験のリプレイス」で見直される、リアル空間の価値
体験デザインの需要はWebやアプリから最新テクノロジーへシフトする
“VR元年”とも言われている今年、体験デザインの新しい領域もWebサービスやアプリから、どんどんこうした最新テクノロジー側に流れていくと感じています。
今日はVRによってもたらされる2種類のデザイン対象(ユーザー体験)について考えをまとめたいと思います。
VRサービスの中のユーザー体験
1つ目は「VRサービス内で得られるユーザー体験」だと感じます。
これはスマートフォンが登場した時、スマートフォン内での体験(=UIやUX)という概念が注目されていったように、技術の登場によってもたらされるサービス内での体験です。
VRの登場で、人々は例えば今までに歩くことの出来なかった空間を歩くことができるかもしれないし、そもそもなかった空間に没入できるかもしれません。
そもそもとしてVR技術によってもたらされるデバイスが人間にとっては新しく足を踏み入れる領域になります。VRサービス内で得られる体験をどれだけ豊かにしていくかが、今後VR技術に関わるクリエイターに求められると思います。
VRの登場によって変わるリアル空間のユーザー体験
2つ目が「VR技術によって影響されるリアル空間のユーザー体験」です。
例えばVRの発達により、家にいながらにして旅行ができるという世界になったとすると、今まで以上にわざわざ足を運んで旅行をすることの価値が何なのか、根本から見直さなければならないことになります。
VR技術によって人々は自宅で旅行体験を得られるようになるかもしれませんし、こうしたユーザー体験のリプレイスが様々な業界で起こってくると考えられます。
その度に特にリプレイス対象となる事業者は、VRサービス内で得られる体験だけではなく、より一層リアルでの体験の価値について見直さざるをえないのではないでしょうか。
「体験のリプレイス」が起こり、リアル空間での体験価値が見直される
VRの登場は、インターネットの登場に見られる「情報のリプレイス」ではなく「体験のリプレイス」と考えられます。(正確にはその比率が大きい、という意味)
リアルサービスの提供者としての対策は、VRサービスに勝る体験を提供するのもよし、あるいはVR技術と連携した施策(AR/MR)を利用してもよし、そして完全にVRサービスにリプレイスさせてもよいかもしれません。
最先端技術の登場はテクノロジストにフォーカスされる事象であると同時に、既存のユーザー体験を生み出しているサービス提供者や、それに慣れきっている社会も無関心ではいられないでしょう。
VRが体験をリプレイスすることによるサービスの生態系の変化に、今後は注目していきたいです。