意外と知られていない電子ホワイトボード「Jamboard」

軽い・シンプル・見やすい・無料。オンラインMTGにピッタリ。

Yuki Yoshinaga
デザラボ
Jan 25, 2020

--

Google製の電子ホワイトボード

みなさんは「Jamボード」を知っていますか?

Jamボードは、GSuiteの中にも入っているGoogle製の電子ホワイトボードです。

JamBoard

Chromeの右上のメニューをクリックすると候補に出てきます。

付箋を使った軽いワークショップや議論を整理するのにとっても便利。ライトな用途にも向いていて、ちょっとしたメモや図式化にも適します。

特にオンライン会議の多いチームでは活躍の場が多いのですが、ノマドワーカーの多い自分の周りでも知らない人が意外に多かったので、紹介します。

Jamボードの特徴

Jamボードの特徴は「スプレッドシートのホワイトボード版」と言えばおよそ説明できるシンプルさです。

大きく分けると4つの特徴があります。

①共有しやすい

  • ブラウザで使える(アプリもある)
  • 共同編集できる
  • 閲覧・編集の権限を設定できる
  • スマホでもすぐ開ける軽量さ
GSuiteで見慣れた共有設定。

②保存・管理しやすい

  • 自動保存
  • Google Driveでネイティブに管理できる

③複雑な操作が排除されている

  • 誰でも使えるシンプルな操作
  • 色とペンの種類が多すぎず少なすぎずちょうどいい
  • ボードの大きさは固定
会議に充分なアイテムを揃えつつ、すぐに理解できる簡素さ。

④会議に必要なアイテムがある

  • 付箋を使える
  • 付箋の文字サイズが自動で調整される
  • 手書きも出来る

自分がJamボードを選ぶ理由

自分は最近、複数人で行うオンライン会議やホワイトボードの無いオフサイトの会議ではほとんどJamボードを用意して参加します。

議論が空中戦にならないようサッと取り出して「じゃあここにメモしていきましょう」とURLを共有することができるからです。

議論を外部化することには会議の時間を短縮する効果がありますが、Jamボードではその簡単さからどこで会議をする際にもその効果を発揮できます。

タブレット1つあれば、もはやホワイトボード付きの会議室は不要になりました。

その他にも、下記のような意味で、体験のよいツールです。

チリツモ系の無駄なマインドシェアを取り払ってくれる

  • 重いデザインツールやイラストツールを開く必要が無い
  • デザインツール等にメモ的な内容を混在させずに済む

タブレットだけで会議に参加できる

  • iPad&Apple Pencilとの相性が抜群
  • オンライン会議でもワークショップやファシリテーションできる

オンライン会議のセッティング時間が増えない

  • 大体の人がGoogleアカウントを持っているのでアカウント作成の手間を相手に取らせない
  • URLさえ共有しておけばスムーズに会議に入れる

Miro(旧Realtimeboard)やFigmaという手もあるが…

電子ホワイトボードと言えば、Miro(旧Realtimeboard)を愛用している方もいるのではないでしょうか。

少し前にデザイナー間で流行し、現在もたくさんの機能アップデートが行われて日々使いやすくなっています。

単純なホワイトボードとしても優秀ですが、たくさんのテンプレートがあり、UX系や開発系のフレームワークをホワイトボード上で簡単に作成・運用することもできます。

また、UIデザイナーの多い職場であれば、今はFigmaを電子ホワイトボードとしても利用しているチームもいるでしょう。

とある企業のデザインチームでは、ドキュメントの多くをFigmaで作成・運用していると風の噂に聞きます。

自分もFigma愛用者の1人で、コンポーネントやAutolayoutの便利さ、そして誰でも閲覧・編集できるコラボレーションの手軽さから、何でもFigmaに集約するのはもはや正義ですらあります。

MiroやFigmaとの使い分け

そんなMiroやFigmaとJamボードを使い分けるとしたら、こんな感じでしょうか。

Miro・Figmaを使う例

  • Miroにテンプレートがあるフレームワークを使ってのワークショップにはMiro
  • アウトプットがめちゃくちゃ横長/縦長になるようなワークはFigma
  • 保守や清書にはFigma

Jamボードの方が向いている例

  • 軽い議事録やシンプルなワークにはJamボード
  • スマホやタブレットから操作したい時はJamボード
  • 低スペックPCから操作したい時もJamボード

Jamボードは軽量ですが、縦横の大きさが決まっていて、書けるスペースが有限です。

そのため、横や縦に伸びていくアウトプットには向きません(例えばカスタマージャーニーマップのような)。

「あれもこれもFigma」といった感じで1つのツールで全てをカバーしようとするのではなく、それぞれのケースで最適なツールを使い分けていきましょう。

Jamボード、いいですよ。

ユースケース(追記)

最近自分がJamボードを選択したケースをいくつかあげましょう。

オンラインMTGの議事録に

自分の仕事の仕方から、関わりのあるほぼ全てのお仕事でオンラインMTGが頻発します。

これらMTGのほとんどで自分はファシリテーターの役割を担っているのですが、オンラインだとファシリテーションの重要な役割の1つである書紀を果たす、ホワイトボードに代わるツールが必要です。

この際、自分はJamボードを使っています。

会議をするURL(ZOOM等)と一緒に、ホワイトボードとしてJamボードを事前に共有しておくのです。そして、会議のはじめに全員にそのURLを開いてもらい、そこから会議を始めています。

これをやる理由は、議論の外部化にあります。

オンラインMTGは生産性が高い活動ではあるのですが、一方で、共通して見ているものが無いため、議論の理解が参加者ごとにバラバラになりやすいという弱点があります。

それを防ぐためにオフラインのMTGでは公開された議事録やホワイトボードを使い、話した内容を記録したり、難しい言い方を単純な言い方に直したり、図にしたりします。

これを議論の外部化と呼ぶのですが、Jamボードを使えば、この外部化をオンラインMTGでも行うことが出来ます。

(MiroやFigmaでも可能ではありますが、最初の共有や使い方の説明がとても面倒なんですよね。)

ワークショップを、紙もペンもホワイトボードも無いただのカフェで。

Jamボードの強みは、アドリブできることにもあると個人的には感じています。

先日、予定していた議論の内容が予定していた方法では進まなくなってしまった会がありました。

進めるための議論の進め方は思いつきはしたものの、そのやり方は付箋をたくさんつかったワークショップ。話していたのは普通のカフェ(たしかタリーズ)だったため、ホワイトボードなんてありません。

ボードはおろかペンも付箋も持ってきていなかったので、そのまま何も進まない議論が続いたままお開きムードになってしまいました。

そこで取り出したのがJamボードです。

一度全員に休憩を宣言し、空のJamボードのURLを渡して5分後に席に戻るよう伝えました。

この5分の間に、話すべき内容と議論に使うフレームワークの枠をJamボードに書き、ワークショップをスタート。

2時間かかっても解決しなかった議論は、その後30分でカタが付きました。

翌日には大量の付箋が書かれた2枚のボードと詳細な構想案の図が書かれた1枚のボードを参照しながら、テキストでの清書とTODOへの着手を進めることができました。

このように議論の外部化は生産性を高めてくれますが、Jamボードは外部化された議論とその可能性を持ち歩いているようなものです。

動くプレゼンテーション

1枚絵を使った説明では分かってもらいづらい内容のプレゼンテーションを、Jamボードで動かすことによって説明しました。

プレゼンといっても小さな会議室で見知った人たちに構想を共有するレベルの、ラフな会です。

Figmaで清書した構想図を画像にして中央に置き、その周囲に説明で使う付箋を置いておき、説明の際はモニターに画面を映しながら、手元のタブレットで付箋を動かしたり手書きしたりという使い方をしました。

その後のフィードバックも同じJamボードに付箋で追記していくことが出来て、プレゼン資料でありつつ議論を外部化するツールとしても働いてくれました。

また、当時は深く考えず直感でJamボードで持っていきましたが、今考えるとkeynote等でアニメーション設定する手間を省けたよい選択でしたね。

ニュースレターへ移行のお知らせ

当ブログは別媒体へ移設・移行されました。新たにニュースレターとして運営いたしております。フォロワーの皆さまにおかれましては、下記から無料購読くださいますと、引き続き情報を入手できます。

移設先のメディア:https://uxman2020.substack.com/

--

--

Yuki Yoshinaga
デザラボ

UXマン。UXデザイン・リサーチ, ファシリテーション, コーチング。株式会社SUIHEI 代表 / An UX Designer. CEO of SUIHEI,Inc.