ユーザーテストとユーザビリティテストの違い
まったく違う2つのテスト
プロダクト開発や運用において、より良いUIを作るためユーザビリティテストを行うことは、ここ最近とくに一般的になってきました。
ところで皆さんは、被験者にUIを触ってもらうテストのことを「ユーザビリティテスト」と呼んでいますか? それとも「ユーザーテスト」と呼んでいますか?
私たちの場合、用語の厳密さが重要でない時をのぞき、できるだけ「ユーザビリティテスト」と呼ぶようにしています。
なぜなら「ユーザビリティテスト」と「ユーザーテスト」は言葉が似ているだけで全く違うものだからです。
皆さんは、この2つの違いをご存知でしょうか?
チェックする対象の違い
まず、ユーザビリティテストはその名の通りユーザビリティ、つまり使いやすさを見極めるためのものです。
一方ユーザーテストは、そのプロダクト自体がユーザーに受け入れてもらえるかを見極めるのが目的です。
まったく違う目的であることが分かりますね。
用意するものの違い
用意するものもまったく異なります。
基本的にユーザービリティテストでは、実際に触ってもらうインターフェース(プロトタイプや既存のプロダクト)と、テストのシナリオを用意します。
一方ユーザーテストでは、必ずしもインターフェースを触ってもらうことはありません。
ユーザー仮説から作られたインタビュースクリプト、そして被験者により強く利用シーンを想起してもらうための、コンセプトやソリューションのイメージが湧く資料などを用意します。
やってもらうことの違い
ユーザビリティテストではシナリオにしたがってインターフェースをさわってもらい、後半でテスト中の行動についてヒアリングを行います。
ユーザーテストでは、主に会話や観察を行います。想定している利用シーンや課題仮説、価値仮説について深く掘り下げるインタビューやワークを行います。
やるタイミングの違い
ユーザビリティテストを行うタイミングは、当たり前ですがプロトタイプが出来てからになります。
新規プロダクトの場合はメインフローのプロトタイプが出来てから、プロダクト改善の場合は要改善ポイントのプロトタイプが出来てからです。
一方ユーザーテストは、アイデアを思いつき、ユーザー仮説が出来た段階で開始します。
成果物の違い
ユーザビリティテストの結果生まれるのは、もちろんユーザビリティに配慮された、有用なUIデザインおよびプロトタイプです。
一方ユーザーテストでは、コンセプトやソリューション、ペルソナがアップデートされ、インサイト・ペイン・ゲインなどが明文化されます。
そしてそれを形にした初期のプロトタイプを作って一連の流れが終わり、ユーザビリティテストに引き継がれていきます。
まとめ
ユーザビリティテストは使いやすいか?をチェックするもので、ユーザーテストは使ってくれるか?をチェックするものです。
用語を厳密に使い分ける必要はありませんが、ユーザビリティ以外の面でもユーザーとのコミュニケーションをとるべき機会があることは憶えておきましょう。
ユーザビリティテストしかやったことがないという方は、今後ぜひユーザーテストも実施してみてくださいね。
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