ユーザーインタビューの相手ってどうやって見つけるの?
調査会社を使わない7つの方法
ユーザーインタビューを行う時に最初に当たる壁が、インタビュイー集めです。調査会社を利用すると意外とお金がかかるので、自分で探すことになる人も多いでしょう。
そんな方のために、今回は、私たちが実践している無料・格安でインタビュー相手を探せる7つの方法を紹介します。
1. 知り合いづて(機縁法)
広い人脈を持っていそうな知り合い、もしくは対象領域にネットワークがありそうな知り合いを通じて、さらにその先の知り合いを紹介してもらう方法です。専門用語では「機縁法」と呼ばれます。
SNSで呼びかけて相手を集めるのも、この手法の一つといえます。筆者はこの機縁法を最もよく利用します。
2. スクリーニング法
アンケート調査を通してリクルーティングを行う手法です。対象者イメージを落とし込んだ簡易なアンケートな作成し、その項目に反応した人を対象者として選定していきます。
アンケートは、インターネットを介して行うのが一般的です。クラウドソーシングサイトなどを使えば、格安で数百・数千といった母数の中から対象者を探すことができます。
アンケート作成の手間がかかる一方で、機縁法よりも広い範囲から対象者を探すことができるのがメリットです。
3. 社内ユーザーインタビュー・ユーザビリティテスト
社内にいるメンバーの内、ペルソナ像に近い人を選んでインタビューを行う手法です。お金も時間もかからないので、最もコストが少ない手法といえるでしょう。
担当者がユーザーインタビューを初めて行う場合の練習台や、社内メンバーに仮説やプロトタイプを共有するツールとしても機能します。
ただし、コストが低い一方で、気をつけるべき点もあります。
それは、インタビュイーが一般ユーザーよりもサービスへの理解が深かったり、リテラシーが高いメンバーになりがちなことです(下記スライドp.11参照)。
彼らからのフィードバックにはバイアスがかかっており、一般ユーザーの返答とは乖離がある可能性があります。そのため、過度に信用せず、参考程度の情報として扱うようにしましょう。
これらのことを踏まえ、私たちはユーザーインタビュー前のパイロットテスト(練習)と共通認識づくりのツールとして実践しています。
4. ゲリラユーザーインタビュー・ユーザビリティテスト
カフェなどに行き、ペルソナに近そうな人に話しかけてインタビューやテストを行う手法で、ゲリラ手法と総称されます。
コーヒー代やランチ代と少しの勇気だけで完全に初見の人の天然の反応も見れる、とても手軽な手法です。話しかけ方のコツは、下記スライドのp.13以降に私たちの実践している方法を記載しているので、そちらを参考にどうぞ。
ただし、ペルソナと合致していそうかを外見から判断できないサービスの場合、実施できないという弱点があります。
5. クラウドソーシングサイト
より多くの母数の中から対象を選ぶ必要がある場合は、クラウドソーシングサイトでインタビューの案件を掲載することがあります。
ペルソナがきちんと決まっている場合、利用するクラウドソーシングサイトも選びましょう。例えば、女性ターゲットの場合はshuftiやcoconala、IT職やライター職がターゲットの場合はクラウドワークスやランサーズが向いています。
予算としては、一人あたりおよそ500円〜2000円以内で収まる傾向にあります。
尚、ITリテラシーが低い層がペルソナになっている場合、そもそもクラウドソーシングを利用していない・知らないことが想定されるため、違う手法を実施しましょう。
6. マッチングサービス
マッチングサービスも、ユーザーインタビューのツールとして有用です。コストがほぼかからず、非同期でコミュニケーションが行われるためインタビュー以外の業務を邪魔しません。
一方で、マッチングするまでに時間がかかること・相手から返信があるかどうかが不確実であることの2点から、メインツールとして頼るのはオススメしません。他の手法と並行して利用しましょう。
ペルソナがビジネスマンであればyenta、学生であればmatcher、カメラマンやカウンセラーであればTimeTicketなどが向いています。
7. 自社サービスのデータベース
既にサービスがリリースされていてユーザーが存在する場合は、DBや営業の管理リストからユーザーをピックアップして、メッセージを送ってみましょう。
利用規約などコンプライアンスに注意が必要ですが、ほぼノーコストでインタビュイーを獲得できます。
短期的なコツ:実際には、複数の手法を併用する
実践になると、教科書通りに特定の手法のみで完結することはありません。
マッチングサービスでマッチングや返信を待ちながらターゲット層に知り合いのいそうな友人にFacebookでメッセージを送り、スクリーニング法のためのアンケートを作成する…といった具合に、ほとんどの場合は複数の手法を併用してスケジュールを担保します。
リクルーティングが遅れると定性調査そのものが遅れてしまいます。できるだけインタビュー計画・スケジュールを推さないよう、一つの方法に固執したり満足せず機会を探し、手法を検討しましょう。
長期的なコツ:インタビュイーネットワークを構築する
ユーザーインタビューは一時的な手法ではなく、サービスの開発前・開発初期・開発中・開発後・改善フェーズ…どのタイミングでも常に頼れる手法です。
しかし、その度に新しいインタビュイーを探すことには、次の3つのデメリットがあります。
- インタビュイー探しに毎回大きなコスト(時間)がかかる
- 継続的な体験や課題についてヒアリングすることができない
- 利用してもらっている最中の体験をヒアリングすることができない
これらを避けるために、一度ユーザーインタビューを行った人とは、次回以降も話を聞かせてくれたりテストに付き合ってくれるような、継続的な関係を築きましょう。
常に協力してくれるインタビュイーはただのユーザーではなく、サービス開発の仲間という意味でスポンサー・ユーザーと呼ばれることがあります。
インタビューを通して複数のスポンサー・ユーザーを作り、何かあれば気軽に尋ねることのできるネットワークを構築しましょう。
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