サービス開発者・起業家なら知っておきたい、顧客開発の3段階
顧客開発にもフェーズがある。あなたのサービスはどのフェーズ?
サービスを開発する時や新規事業を起こす時に必要になる1つが、顧客開発です。
顧客開発とは?
『リーン顧客開発』では、顧客開発は次のように書かれています。
顧客開発とは、ビジネスが成立するための大前提について、仮説検証を繰り返すアプローチです。 —『 リーン顧客開発』
抽象度が高すぎて、なるほど、という感じですね笑
もう少し詳しく書くと、顧客開発とは、人々が生活や仕事をする上でやっている行動は何なのか、その時起きている課題は何なのか、その課題をどう解決しているのか、どういう価値やソリューションがあれば課題は解決されるのかを発見するサービスデザイン手法の総称です。
逆説的ですが、今チームや会社が思っているターゲット像やユーザー仮説について「本当にこういう人たちは存在するのか・彼らはこのサービスを使ってくれるのか」を確かめる方法でもあります。
しかし一口に顧客開発といっても、その中身は常に一定なものではありません。顧客開発は自分たちがどのフェーズにいるのかによってその姿を次の3つに変容させます。
- 顧客・機会発見
- 顧客実証
- 顧客開拓
そして、上記それぞれのフェーズで行われる顧客開発は、目的も採るべき手法も異なるのです。以下では「顧客発見」「顧客実証」「顧客開拓」のそれぞれについて説明していきます。
顧客発見
顧客開発の最初の段階が、顧客発見です。その名の通り顧客が誰なのかを発見します。
具体的に顧客発見が必要なフェーズは、「アイデアがまだ無い」「まだアイデアだけ」「まだ仮説だけ」といった時です。
顧客発見の目的は、「誰が」「何を達成するために」「何を使って」「どういう行動をしていて」「そこにはどういう悩みがあるか」 を発見すること。即ち、新たなビジネスチャンスを発掘することです。その意味で、機会発見とも呼ばれます。
顧客発見のために使う手法は、構造化されていない定性的手法が主です(構造化された手法=アンケート等)。
具体的には「ユーザーインタビュー」「行動観察」など、ユーザーの日々の生活や仕事での仔細な行動に接触する手法をとります。
顧客発見の結果生まれるのは、「◯◯な人たちは、△△を達成するために今は✕✕を使って□□を行っている。でも実は〜〜なサービス・製品を欲している」という学びです。
顧客実証
顧客発見が終わったら次は、顧客実証です。
顧客実証ではその名の通り、発見した学びをサービス・製品として興した時に、彼らは本当に顧客になってくれるのか、いくら払ってくれるのかを確かめ、実証していきます。
顧客実証が必要なフェーズは、「課題を持っている人が誰か大体分かっている」「課題を解決できそうなアイデアがある」「代替ツールは課題を解決する最適な方法ではない(という仮説がある)」といった時です。
顧客実証の目的は、「彼らはこのサービスを使ってくれるのか」を確認し、サービスの形を最適化すること。即ち、売れるかどうかを判断することです。
顧客実証のために使う手法は、作ったものを使ってもらいながら話を聞いたり、売ったりする手法が主です。
具体的には、「プロトタイピング」「ユーザーテスト」「日記調査」「βテスト(お試し販売)」などです。
顧客実証の結果生まれるのは、「◯◯な人たちはこのサービスのユーザーになる(ならない)。さらに、△△な要素が必要」という学びです。
もしこの段階で「あとは投資する人やお金を増やせば伸びる」となったら、次へ進みます。
反対に、捉えるべき顧客を間違えていたりソリューションを間違えていることが分かったら、ピボットして顧客発見に戻ります。
顧客開拓
顧客実証が終わったら、次は顧客開拓です。
ただしここでいう顧客開発は新規顧客開拓や販路開拓のことではなく、顧客にリーチする方法を検証することを指します。
ここまで来ると、製品・サービスは顧客の課題を満たす製品になっており、あとは規模や投資を拡大するフェーズが見えてきます。そして、顧客開拓は、その投資の拡大を効率よく行うための前準備です。
つまり、顧客発見や顧客実証で明らかになった顧客層に製品・サービスを広めていく方法を検証していくフェーズです。
これまでにユーザーインタビューなどで集めた情報を参考にしながら、営業チャネルやマーケティングチャネルに少しずつ投資し効果の良いリーチ方法を選びましょう。
顧客開拓の結果生まれるのは、「このサービスのターゲットである◯◯層には、△△を使って広めていくのがコスパが良い」という学びです。
まとめ
顧客開発はその名の通り、顧客となる人を開発する考え方です。その中には、顧客である人と機会を発見する「顧客発見」、彼らに接触し売る「顧客実証」、効率的に広めていく「顧客開拓」があるのです。
ベンチャー企業やスタートアップでは、必ずしも資金や人的リソースが潤沢にあるとは限りません。そこで、ニーズがあるかどうかを確認し、徐々にお金を使う形で進めることで、リスクを低減しつつ事業を成功に導く。それが「顧客開発」です。