“ジャベリンボード”で始める「仮説管理」
検証済みの仮説・未検証の仮説、管理できていますか?
“仮説を管理する”という発想
仮説を作り、検証し、修正してPDCAを回すことは、事業作りやサービス運営の上でとても重要ですよね。
正しい仮説に一度でたどりつくのは難しく、普通、何度も何度も仮説を修正し、徐々に仮説を成長させていくことでしょう。そして大きな仮説修正があった時は、ピボットする。
そうやってプロジェクトが舵を正しい方向を向くよう、誰もが努力します。(そのプロジェクトが大きいものにしろ小さいものにしろ。あるいは、営業にしろ開発にしろ。)
UXデザインにおいても、検証した仮説を修正して正しい方向にプロジェクトを向けるための工程を何度も繰り返します。
しかしたくさんの仮説を何度も検証・修正していく中で、今どんな仮説が存在するのか、どの仮説がどういう状態なのか、どういう変遷で今の仮説になったのか、分からなくなったり混乱してしまったことはないでしょうか?
「今どの仮説を検証中なんだっけ?」
「検証し終わってるのはどの仮説だっけ?」
「この仮説って何でこうなったんだっけ?」
「今この部分ってどういう仮説なんだっけ?」
「この施策ってどういう仮説で実施してるんだっけ?」
そうあなたのサービスについて問われた時、あなたは答えられますか?
もし答えられるならば、それはとても素晴らしく、あなたのプロジェクトは幸福で平和で、効率的にハイスピードで進んでいることでしょう。ブラウザバックして日々の仕事に精を出して下さい。
しかし答えられない場合、仮説をもっと把握しやすくし、その状態を管理できる環境作りをおすすめします。その効能は、複数のレイヤーで機能することでしょう。
例えば意思決定レベルでは選択と集中をより容易にし、プロジェクト全体の進行速度が改善します。あるいは実務レベルでは、メンバー間の認識齟齬や個々人の好みの対立による不毛な議論を防ぎ、各メンバーのパフォーマンスを向上してくれるでしょう。
そして、私たちがおすすめする仮説検証管理のテクニカルな手法が「ジャベリンボード」です。
効率的な仮説検証に、ジャベリンボード
ジャベリンボードは、「3つの課題」「最優先で検証すべき前提仮説」「検証する方法と達成基準」「検証結果及び学習内容」の4要素を一覧化する、統合的でスピード感のある仮説検証フレームワークです。
「3つの課題」とは、
- ユーザー像
- ユーザーの課題
- 自分たちの考えているソリューションの3つの要素
です。
「最優先で検証すべき前提仮説」とは、
上記の「3つの課題」が成り立つためにそもそも必要な前提です。
例えば、「◯◯なユーザーが十分に存在する」など。
「検証する方法と達成基準」は、そのままですね。検証手段(例:ユーザーインタビュー)と、どういう結果が得られればその仮説をOK/NGとするかです。
「検証結果及び学習内容」は、行った検証によって仮説がOKだったかNGだったか、学習した内容は具体的に何なのかです。
上図の、1,2,3…の列を一つ一つのペルソナ(もしくはソリューション)として、最初は縦に、検証が進むと横に使っていきます。1が最も影響度の大きいと思える仮説群、2がその次、3がその次…という風に使っていきます。
最初のペルソナ選定もしくはソリューション検討の際にも便利です。
左側の横長い空欄は、洗い出した仮説・ブレインストーミングで出した仮説をズラズラっと並べる欄です。その中から、最も高い優先順位を選ぶわけですね。
実際に使う際は、およそ5つの工程が存在します。
- 直接の意思決定をする人と実際に作業を行う人をメンバーに選びワークショップを行う(仮説出し・アイデア出し・優先順位付けのワーク)
- 検証を行う(ユーザーインタビューなど)
- 仮説を修正する
- 次(2番目)の欄に修正した仮説を入力する
- 修正した仮説を検証する(以下ループ)
尚、ワークショップについてですが、仮説の優先順位は実際に一覧化するまで整理されていないことが多く、それ故に議論中にかなり変動しやすいです。柔軟に対応できるよう、付箋を使うことをオススメします。
以上が、ジャベリンボードの使い方です。
これで、あなたは
「今どの仮説を検証中なんだっけ?」
「検証し終わってるのはどの仮説だっけ?」
「この仮説って何でこうなったんだっけ?」
「今この部分ってどういう仮説なんだっけ?」
「この施策ってどういう仮説で実施してるんだっけ?」
という質問に、迷わず答えることが出来るようになるでしょう。あなただけでなく、チームのメンバーも同じ認識を持ってくれるようになるかもしれませんね。
また余談ですが、デフォルトのジャベリンボードだと検証の対象に据える仮説の数が少ないため、私たちはリーンキャンバスやリーンUXキャンバスなどから仮説を10個以上追加して使用しています。
翻訳版
有志が上記ボードの翻訳版を作ってくれていたようです↓