本の電子化で不便さが増している

Yuhei FUJITA
devinker
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6 min readMar 12, 2018

今、アナログからデジタルへのシフトが様々なところで行われている。電子書籍はその中でも生活に近いものの1つだと思う。本来これは便利になっていくはずなのに、電子書籍は不便と感じる面がとても多いと感じる。

“Person holding Kindle electronic reader displaying text outdoors” by James Tarbotton on Unsplash

電子書籍のメリットも有る

実は今からちょうど1年ほど前に電子書籍に関する記事を書いたことがある。あれ以来本を買う時は電子書籍で買うことが多くなったが、確かに持ち運びなどの面で便利になった面もある。

実際、最近こんな記事もあった。電子書籍自体は着実に浸透していると思うし、今後は電子書籍が主流になっていくかもしれない。

デジタル化による不便さが無視できない

しかしながら、紙の本では無かった不便さも電子書籍にはある。そしてそれはよくある「慣れていないから」という利用者が慣れれば解決していく問題ではなく、システムが改善しないと解決しない問題だ。

デジタル化は様々な面で便利になる事が多い中、電子書籍に関しては不便になることの方が多いように感じる。

本が散在する

まず第一に、電子書籍はその電子書籍を購入したサービスに依存する。そのため、本棚も購入したサービスの数だけ増え、操作性なども当然バラバラだ。「あの本が読みたい」などと思った時などに検索機能が利用できるのは紙にはないメリットのはずだが、これのせいで意味が無くなっている。

これがどれくらい面倒かというと、同じ学校の友だちなのに「こっちはLINE、こっちはMessenger、こっちはメール、こっちは…」といった感じだ。

貸し借り出来ない

これはサービスにもよるが、電子書籍となると今までのように気軽に友達に本を貸す、ということが出来ない。

僕はKindle本を通常買っているが、友達にKindle本をかそうと思うとアカウントごと貸すか、端末ごと貸さなければならない。実はKindleのヘルプにこんな記事がある。

しかしKindleのどこを探してもこの機能が見当たらないので昔問い合わせてみたが、その時の回答はこうだった。

「本の貸し出し」機能につきましては、Amazon.com で購入した Kindle 本のみとなり、日本ではサポートしておりません。(2017/03/15)

ちなみに現在も貸し出し機能はサポートされていないようだ。仮にこのような機能をサポートしていたとしても、貸し出す相手も自分と同じサービスを利用している必要性がある。

自由に所持できない

最初にも書いた通り、電子書籍はそれを買ったサービスに依存する。そのため、便利そうに見えて管理が面倒だったりする。

これはDRMというものが関係していたりするが、この辺りは鷹野凌さんやyoshinonさんが詳しく書いてくれている。

そのため、管理面で便利になったのは「物理的なスペースが不要」というくらいしか無いように思う。

強い制限は悪い方向に進む

そして何より問題だと思っているのが、こうした不便さというのは新たな問題を生みかねないということだ。

もしこの状態のままデジタル化が進むと、ユーザーはどうしたいと思うか?答えは自明で「サービスの対応よりも自力でなんとかしよう」と思い出す。そしてそれが、新しい不正ソフトを生み出しかねない。

これは提供側にとって不都合なだけでなく、ユーザー側にもいずれ不都合なことになる、誰も得をしないことだ。

電子書籍だけの問題ではない

今回ここに挙げた問題は、別に電子書籍に限られた問題というわけではない。

DRMに関しては、今まさに問題になっている「違法アップロードされた書籍配信サイト(実名は伏せます)」など、コピーが容易というデジタル媒体の悪い面が大きく関係している。そしてそれは電子書籍に限らず、今後デジタル化されていくであろう様々なコンテンツにも言えることだ。

このデジタル化の波は今後更に進んでいくことは誰もが感じていることではあるが、こうした問題が本来便利にするはずの技術によって不便になってしまうのは本当に勿体無いし、悲しい。

こうした問題を解決できるサービスが今後生まれること、そしてユーザー自身も正しく利用できるようなデジタル化が進んで欲しい。

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Yuhei FUJITA
devinker

プログラミングを勉強しつつフィルムカメラにハマっています