音楽をどう買い、どう楽しむか

Yuhei FUJITA
devinker
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9 min readFeb 12, 2018

SonyのWALKMANやAppleのiPodが発表されるたび、音楽の買い方や楽しみ方は大きく変わってきた。

そして今、CDという一つの歴史も終わりを迎えようとしているかもしれない。

そんな中、これから音楽をどう買い、どう楽しんだら良いのか、改めて考え直してみた。

“A red neon reads “No music, no life” against a dark background” by Simon Noh on Unsplash

音楽との出会いと、関係性の変化

他の人がどうかは知らないが、おそらく僕が音楽を好きになったのは周りより遅かったと思う。

また、生活環境の変化とともに自分と音楽の関係性も徐々に変化していった。

本題とは話が逸れるし、かなり長くなると思う。でも語らずには言われないから、どんなに長くなっても書こうと思う。

初めて音楽に興味を示したのは中学時代

僕が音楽というものに興味を示し始めたのは中学時代に見たYouTubeのとある動画だった。

その動画は、今話題のMONSTER HUNTERシリーズの一つでもある「2nd」の動画とBUMP OF CHICKENの「天体観測」を使った、いわゆるMADというものだった。

もう今となっては削除されて見ることも出来ないし、著作権を侵害している動画だったことも今ではわかっている。

でも、それまで音楽に全く興味のなかった自分にとってはワクワクしたし、それがきっかけで音楽を聴くということに興味が湧いてきた。

でも当時のお小遣いは月2,000円程度、シングルでも1枚1,200円くらいするCDはホイホイ買えるものじゃなかったし、そもそもCDプレイヤー自体持っていなかった。
だからレンタルショップ(今でもある近所の店)でCDをレンタルして、リビングにある家族共用のノートパソコンで聴いていた。

高校進学、音楽は携帯電話で

高校に進学すると、お小遣いも月5,000円くらいに増えてCDもレンタルじゃなく買えるようになった。そして、携帯電話を持つようになって、自分の中の音楽に自由が生まれた。

当時はまだiPhoneが日本でも発売されたばかりくらいで、スマホなんて珍しかった。周りにはiPodやWALKMANを持っている同年代の人もいたけど、数万円もするミュージックプレイヤーはそう簡単に買えるものじゃなかった。

だから僕は、携帯電話に音楽を入れて聴いていた。
MP3が非対応でWMAに変換しないといけなかったり、ちゃんとしたフォルダに手動で保存しないといけなかったりと、かなり面倒だったのは今でも覚えている。
でもまぁ、そういった事があったからパソコンに興味を持って、今こうしてプログラミングを学んでいるのかもしれないと思うと、良い思い出だと思う。

初めてのミュージックプレイヤー、WALKMAN Xシリーズ

僕が初めて買ったミュージックプレイヤーやWALKMAN Xシリーズだった。

こいつは凄かった、あの小さい体にいろんな機能が搭載されていた。

  • 音楽再生
  • ノイズキャンセリング
  • 動画再生
  • ワンセグ視聴&録画
  • 簡易ブラウザ
  • Podcast
  • ボイスレコーダー(外付けマイク)

これだけ使え約て4万円、とにかく興奮した。
もちろん欲しかったのはミュージックプレイヤーだが、マシン大好きな男子らしたら、こんなのテンション上がらないはずがなかった。

4万円というのはなかなかに高い買い物だし、買うと決心するには時間もかかった。結局はXシリーズの生産終了の発表と、店頭在庫残り1台と知って思い切って買ったのを思えている。

それからは、今まで以上に音楽を気楽に楽しめるようになった、今までみたいに面倒な作業は要らないからだ。

  1. CDを買ってくる
  2. パソコンでXアプリを起動する
  3. CDを取り込む
  4. パソコンとWALKMANを接続して、転送されるのを待つ

たったこれだけで、自分の好きな音楽を好きな場所・好きな時間に聴くことが出来る。それはもう最高だった。

初めての海外だったアメリカも、こいつと一緒だった。片道12時間の飛行機旅、こいつのお陰で退屈することもなかった。

2台目はWALKMAN Zシリーズ

そして大学の進路が決まった頃、2台目のミュージックプレイヤーとして買ったのはWALKMAN Zシリーズ、初めてWALKMANがAndroidを搭載したモデルでもあり、僕にとっても初めてのAndroidだった。

これに関しては「新しいWALKMAN凄い」って感じよりも「これがAndroidか」って感想が強かった。

正直、音楽聴くだけならもっと小さくて良いし、実際このあとXシリーズに戻ったりもした。でも楽しかったことは間違いない。

Google Play Music、日本でも公開

ここからしばらくはWALKMANが続いた、しかしそれも終わりを迎えた。

そう、Google Play Musicが日本でも公開されたのだ。

これをきっかけにWALKMANと歩んだ音楽体験は終わりを迎えた。今までは音楽を聴こうと思えばWALKMANかパソコンだった、これだけでも十分便利だと感じていた。それがGPMで大きく変わった、もっと自由になった。

それまで「WALKMANがあれば音楽を聴ける」だったのが「WALKMANがないと音楽が聴けない」に変わった。
WALKMANを手にした時を自分の「第一次音楽革命」だとすれば、今回は「第二次音楽革命」といっていい。

これで「ネットに繋がれば音楽を聴ける」ようになった、もう端末なんてなんでもよくなった。データもクラウド上にあるから、アップロードさえすれば音楽データの管理そのものも簡単になった。

そして今、Google Homeがやってきた

そして今、音楽が再び我が家に帰ってきた、スマートスピーカーによってだ。

今まで音楽はどちらかと言うと外出時、つまり家の外で聴くことが多かった。それがGoogle Homeなどのスマートスピーカーによって再び我が家に帰ってきたのだ。僕にとっては、それこそ中学卒業以来だから10年ぶり近い帰還になる。

おかえり。

これから音楽とどう接するか

これだけ書いただけでも、音楽とのふれあい方は大きく変わってきた。

でも今、音楽との「出会い方」も大きく変わろうとしている。

それはレコードが過去のものになった時と同じ、もしかするとそれ以上の変化かもしれない。

CD・ダウンロード・ストリーミング

その大きな変化として、「どうやって音楽を買うか」だ。

今まで「音楽を買う=CDを買う」だった。でも最近は別の手段がある、それがダウンロードやストリーミングで音楽を買うという手段だ。

ダウンロードはもう何年も前からあるものだし、イメージし易いと思う。
ストリーミングはここ数年で出てきた方法で、日本ではまだマイナーな方だと思う。

つまり、音楽を買おうと思ったら物理的に何かを買うのではなく、データという目に見えない形で買うという手段が生まれた。

サービスを買うという感覚

新しい物が浸透するにはどうしても時間がかかる、それが形のないものだと尚更だ。

今までは「購入=物が手に入る」というのが、音楽以外でも当たり前の感覚だった。それが購入対象がサービスとなると、そもそもの感覚からして大きく違ってくる。

そしてそれは不安感も同時に産んでしまい、受け入れられるには時間がかかると思う。

ただ、それも時間の問題だと思う。実際こうしたサービスは便利だしラインナップも増えればきっと主流のものになってくる。

音楽の価値

そんな中、今年になってすぐこんなツイートが少し話題になった。

販売媒体によってアーティストにいくら収入が入るか、というものだ。

単位も販売方法も違うので単純に比較することは出来ないが、実際アーティストへの収入は芳しくないんだろうな、くらいは素人でもわかる。

昔は「音楽は買わないと触れられないもの」という感覚が強かったが、インターネットが普及した今、別に音楽は必ずしも買わなくても触れられるくらい近い存在になった。

それ自体は喜ばしいことだが、あるのが当たり前になると価値としては低く感じてしまいがちだ。

音楽を生み出す時間も労力もセンスも、その全ては昔からそこまで大きく変わっていない。
いくら手軽になって安くなっても、やっぱりそこを忘れちゃいけない。

それでも僕は、まだCDを買う、今はまだ

実は、GPMを契約しているからCDはそこまで買わなくても大抵の曲は揃っている。それでもCDを買い続けているのにはいくつか理由がある。

  • アーティストへの応援
  • 特典
  • ドキドキ感

1つ目に関しては、純粋に好きなアーティストに頑張って欲しい。応援メッセージを送るのも確かに簡単でも、やっぱりお金がないと活動を続けられない。ファンが出来る1番簡単な方法がCDを買うことだ。

2つ目はわかりやすい、CDでないと手に入らない特典が欲しいからだ。一般的にもこれがCDでないとが生き残っている1番の理由だと思う。

そして3つ目が、あのCDを買ってきてパソコンに取り込むまでのドキドキ感、それは今でも変わらない。

つまり、既にCDという媒体が音楽を聴くためのものじゃ無くなってしまっている。確かにCDで音楽は聴けるけど、取り込んでしまえばもうCDを使ってわざわざ聴くことなんて年に何回あるだろか?
もはや特典こそCDを買う価値があっても、音楽を聴きたいのであればCDというのは面倒なだけと感じる人のほうが多いと思う。CDなんて買ってもパソコン無いって人もいるだろうし。

そう考えてみると、CDはもう本当に終わりを迎えようとしているのかもしれない。

いろいろ変わっても、音楽そのものは変わってない

こうやって振り返ってみると、音楽を取り巻く環境はここ10年でも大きく変わってきたし、これから更に変わろうとしている。でも、音楽そのものが何か変わったわけじゃない。

むしろ音楽の表現の幅はどんどん進化していっている。VOCALOIDの登場なんて、ホントに音楽への壁をぶち壊したと思う。なろうと思えば、今この瞬間にでも音楽を作る側に誰でもなれるのだから。

そして聴く側も手軽に、いつでも聴けるようになった。今となっては中学生でも持っているスマホがあれば、いつでも音楽を聴くことが出来る。これって当たり前のようで凄いことだと思う。

でもそれらが「当たり前」になりすぎて、音楽の凄さが感じられにくくなってしまっている。

今、どんな曲でもいい、音楽を好きになったときを思い返して、好きな曲を聴いてみて欲しい。
そして、音楽にどっぷり使って欲しい。

音楽って最高。

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Yuhei FUJITA
devinker

プログラミングを勉強しつつフィルムカメラにハマっています