ITの未来：サイバーセキュリティなしのセキュアなコンピューティング

Dominic Williams著

原文は CV VC Top 50 Report 2023に掲載

インターネット・コンピュータは、効率的で無限にスケーラブルなパブリック・ブロックチェーン・ネットワークであり、一般的なバックエンドコンピューティングを実行する新しい形の再構想されたスマートコントラクト・ソフトウェアをホストしています。このネットワークを使用すると、Web3ソーシャルネットワークやオーダーブック取引所などを、完全にスマートコントラクト・ソフトウェアのみで構築することが可能となり、新しいフルスタックの分散化パラダイムが確立されます。高度な数学とコンピュータサイエンスがネットワークにこれまでに見られない能力を与えています。

現時点では、このネットワークは主に数百のWeb3プロジェクトの構築に使用されています。ICP（Internet Computerのノードが話す言語であるInternet Computer Protocolの略）テクノロジーが何ができるかを理解する最も簡単な方法は、OpenChatなどの主要なサービスを試してみることです。OpenChatは多数のユーザー、チャットメッセージ、およびメディアをホストしており、そのサービス全体はウェブの言語であるHTTPを直接処理して生成される基本となるスマートコントラクト・ソフトウェアによって、対話型なユーザーエクスペリエンスも含めて、インターネット・コンピュータから実行されています。

これはWeb3の画期的な進展ですが、この記事では、ITおよびコンピュート全般における深遠な影響に注目し、コンピュータセキュリティの革命に着目します。OpenChatのユーザーは、即時のチャットメッセージを使用して他の人に送信できるクリプトを、ウォレットの必要なしにチャットアカウントに保持できます。これはサービスによって保存されているためです。OpenChatサービス内で保持されているクリプトは、明らかにハッカーにとっての誘惑の的ですが、サービスは一切のサイバーセキュリティ保護なしに実行されています。

ブロックチェーン上で動作するスマートコントラクト・ソフトウェアは、常にそのロジックに書かれた通りに実行され、正しいデータを処理することを保証します。スマートコントラクトとその計算およびデータはサイファースペースに存在し、そこでは改ざん不可能な状態であり、ファイアウォールや他のサイバーセキュリティ対策の保護の必要はありません。ランサムウェアから守るためのアンチウイルスソフトウェアさえ必要ありません。OpenChatはスマートコントラクト・ソフトウェアだけから構築され、完全にブロックチェーン上に存在するため、この点においても改ざん不可能な状態にあります。

今日、ITの世界はセキュリティ危機に直面しています。2021年には、コロニアル・パイプラインがサーバーへのランサムウェア攻撃の後に停止し、アメリカの東海岸がガソリン不足に陥りました。最近では、MGMも攻撃を受け、カジノだけでなく、ホテルの宿泊客も部屋に入れなくなりました。こうしたハイプロファイルなサイバー侵害は、今や世界中で何十万件もの事件が毎年発生しています。各事件の平均コストは450万ドルであり、サイバー犯罪の世界的なコストは2025年までに10兆ドルに達すると推定されています。

サイバーセキュリティは、戦争や気候変動のように、現代の重大な問題となっています。しかし、人工知能はフィッシングを容易にし、生体認証セキュリティシステムをだますこと、自動的にハックを実行し、脆弱性を自動的に特定することで、状況をはるかに悪化させようとしています。世界は必死に解決策を求めています。政府は今やハッキング被害者に責任を押し付け、UberのCSOは最近、彼らが受けたハッキングを誤って報告したことで3年の保護観察処分を受けました。幸いなことに、今日のインターネットコンピュータ上で実行されているWeb3サービスは、より良い進むべき道を示しています。

2024年、DFINITY財団は、パブリックネットワーク上に構築する準備ができていない企業や政府に対して、ICP技術を再構築したものを提供する商業イニシアチブを支援しています。これにより、ソフトウェアが改ざんされずに停止できない安全なプライベートクラウドを構築することが可能です。異なるプライベートクラウドは、それらをInternet Computerに登録することで相互運用性を持たせることができます。DFINITY財団では、現代の最も深刻な問題の1つに対処する支援ができていることを誇りに思っています。

今年中に、UTOPIA技術についてさらに詳しい情報のアナウンスを準備しています。UTOPIAは、Unstoppable Tamperproof Open Platform for Independent Autonomyの略で、それぞれがプライベートクラウドです。既存のクラウド上や必要に応じて専用のハードウェア上に構築できます。今年、企業や政府は、次世代のキャニスタースマートコントラクトソフトウェアを使用して、任意の言語で構築され、WebAssembly仮想マシン上で実行される、高度なサーバーレスクラウド環境を構築し始めるでしょう。明るい未来へようこそ！

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