Internet Computer ブロックチェーン上のエンタープライズソフトウェア（日本語訳）

Medium の DFINITY 公式の記事 Enterprise Software on the Internet Computer Blockchain (2022/4/11)の日本語訳です。

あらゆる規模の組織が抱える業務上の課題を解決するオンチェーンソリューションを開発することで、巨大な市場機会を掴めます。

ブロックチェーン技術はすでにソフトウェアを急速に変化させていますが、Internet Computer は特に、Web3 の世界ではあまり注目されていない数十億ドル規模の産業を破壊するのに適した立場にあります。

エンタープライズソフトウェアは、あらゆる規模の企業と組織が、日々の業務を遂行し、デジタル資産を保護するために頼みにしているものです。これらのツールは、給与計算や人的リソース管理から、カスタマーサポート、製造、データ分析に至るまで、あらゆる場面で役に立ちます。

この分野には進化が遅れているソフトウェアソリューションが多く含まれているため、Internet Computer 上で動作するオンチェーンで代替されたソフトウェアソリューションの開発は、膨大な市場機会を掴むことになるでしょう。また、分散型のエンタープライズツールは、単一の当事者のコントロールを越えて、複数のビジネスとプロジェクトにまたがって共有されるかもしれません。（@CoolPineapple18）

Internet Computer の利点

エンタープライズソフトウェアを Internet Computer 上で構築する場合、標準的なSaaS（Software-as-a-Service）モデルとは異なる多くの特有の利点があります。

• セキュリティ： Internet Computer のセキュリティ特性は、データ漏洩、ハッキング、侵入 の攻撃対象領域を最小限に抑えます。
• Web3対応：Internet Computer は、エンタープライズソフトウェアの設計に組み込むことができる DAO や NFT などの Web3 の概念を含む、分散型 Web アプリケーションをオンチェーンでネイティブに実行します。
• ID 管理：Internet Computer 上の Internet Identity は、複数のアプリケーションにまたがる ID の管理をはるかに単純化します。
• Cryptネイティブ：金融取引は、現在の Web2 技術スタックよりも、Internet Computer の台帳上ではるかにシームレスに実行できます。

これらの組み合わさった利点は、業務上の課題に独自のソリューションを提供する Internet Computer 上でのエンタープライズソフトウェア開発に、非常にエキサイティングな機会をもたらします。

エンタープライズソフトウェアの例

ここでは、上記の利点を活かして、現在の技術スタックと対比して、 Internet Computer 上で動作する優れたソフトウェアを実現できる多くのエンタープライズソフトウェアのユースケースを以下で紹介します。

• ディザスターリカバリー：ディザスターリカバリーソフトウェアは、ハッキングやランサムウェアから会社を復旧させるために使用されます。基本的には、会社のネットワーク外に保存されたデータのバックアップです。問題は、このバックアップがハッカーに狙われる傾向にあることです（Colonial Pipelines に訊いてみてください！）。ディザスターリカバリーバックアップを実行し、データを Internet Computer 上に保存すれば、攻撃や崩壊に対するシステムの脆弱性ははるかに低くなります。
• ID 管理：大企業の IT 部門は、複数のアプリケーションにまたがる従業員 の ID を管理するソフトウェアの購入と設定に何百万ドルも費やします。このソフトウェアは、従業員が退職する際にアカウントを削除するなど、アカウント活動の自動化を可能にします。このようなツールは、企業ごとに IT 環境が大きく異なるため、大幅にカスタマイズする必要があります。しかし、企業が Internet Computer 上で動作するアプリケーションに移行するにつれて、ID 管理は簡素化されます。
• 知財管理：企業内で知的財産（Intellectual Property）のような機密情報を管理することは、非常に困難です。社員が安全でない経路で不適切に IP を送信したり、外部からのハッキングや内部破壊工作など、漏れるポイントが多すぎるのです。NFT にラップされた IP ドキュメントを管理するソフトウェアは、ドキュメントにアクセスし不正な複製を減らすための資格情報を扱うようなことが可能です。
• ヒューマンリソース：Workday や UKG のようなヒューマンリソース（HR）ソフトウェアは、混乱の危機に瀕しています。特に従業員の個人情報を暴露するためのハッキングは企業にとってよくある問題です。ヒューマンリソースソフトウェアは、給与計算を実行するために金融のプラグインを必要とし、給与計算を行うためのコストを増加させます。ヒューマンリソースソフトウェアのユーザー体験は、一般的にパフォーマンス管理などの分野で不便です。Internet Computer 上で動作するヒューマンリソースソフトウェアがあれば、下記のような革新的なことができます。
  — 暗号金融で給与計算を効率化。
  — パフォーマンス管理を、毎年の目標設定から、トークンに基づくものへ移行。このモデルでは、従業員は付加価値のある仕事に対して同僚にトークンを与え、これらのトークンを報酬または昇給またはスポットボーナスと交換することができ、真の 360 度業績評価を行うことができます。
  — トークンに紐づけて予算パフォーマンスを向上させます。このモデルでは、ある部門に一定の時間枠の中で自由に使えるトークンが与えられることがあります。
  — 十分に活用できていない非効率なシェアードサービスの部門横断的利用を除去してください。社内の共有リソースをトークン化することで、その配布の効果を飛躍的に向上させることができます。
  — DAO 技術を活用することで、会社の戦略や方針の方向性について、従業員はより大きな声を上げることができます。
• コラボレーション：Microsoft Teams や Slack のようなコラボレーションソフトウェアは、パンデミックの間に爆発的に普及し、リモートワークの体験を向上させました。しかし、この Web2 のコラボレーションソフトウェアは、永遠に遅れをとることになるでしょう。Internet Computer は、複数の方法でより良いコラボレーションを促進できます。トークン化は、チーム内でより多くの信頼と感謝を構築するために使用できます。DAO は、意思決定において適切な声が聞こえるように（専門知識に基づく重み付けによって）、あるいは複数の大きなチームをまたがっての意思決定を促進するのに活用できます。NFT は成果を示すために利用できます。NFT がチームまたは会社間で移転可能であれば、従業員は新しいチームまたは新しい会社でより迅速に尊敬と信頼を得ることができるようになるかもしれません。
• エンタープライズリソースマネジメント（ERP）：ERP ソフトウェアは、企業がそのリソースを計画し、実行するのに役立ちます。製造会社では、これは生産計画と資産活用でしょう。コンサルティング会社では、これは人的リソースと時間の管理でしょう。SAP のような ERP ソフトウェアは、ほとんどのビジネスニーズのためのワンストップリソースになることを試みます。しかし、現在の ERP ソリューションを他の上流・下流パートナー（例えば、サプライヤーや顧客）と安全な方法で統合するのは大変なことです。その結果、高摩擦のユーザーエクスペリエンスと重い IT メンテナンスコストが発生します。ERP を Internet Computer でホスティングすることで、よりセキュアでより簡単な統合が可能になります。また、企業が所有するのではなく、「プラグイン」することで業界全体のソフトウェアアプリケーションを促進できます。
• タイムシート管理：Internet Identity（または他のIDソリューション）を活用することで、ある従業員が他の従業員の代わりに「出勤」するような不適切なタイムシート行為に関連する問題を解決できる可能性があります。
• 境界コントロール：企業は、企業の IT 境界を保護するために、多くの労力と時間、そしてお金を費やしています。VPN やファイアウォールなどのツールを使って、意図しないアクセスをより難しくしているのです。しかし、これらのツールの必要性は、境界の後ろで動作しているすべてのアプリケーションに内在する脆弱性に起因しています。エンタープライズアプリケーションがよりセキュアな Internet Computer に移行するにつれ、境界管理の必要性は減少していきます。これは、企業にとって大幅なコスト削減となり、従業員にとってもより良いユーザー体験となる可能性があります。

結論

エンタープライズソフトウェア企業は、Internet Computer を活用することで、自社の提供するソフトウェアを根本的に革新できます。その結果、仕事体験が抜本的に見直され、従業員の生産性が向上する可能性があります。Internet Computer は、このレベルのイノベーションと価値を提供できる唯一のブロックチェーンです。

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