客と、言葉と、それから結果

同内容のサービスにおける2つの会社と関わって

ふみん
DIARY from JAPAN
3 min readJan 31, 2014

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ある目的を達成するために、価格やサービスの内容を比較して、2つの会社に仕事を依頼することになった。

ひとつめの会社(以後A)は、その業界では老舗と言われているが、正直私はその名を知らなかった。時代の流れから少し取り残されたようなサービス方法を続けている。納期・見積もりは現物を見てから確定、ネットでの注文サービスはなく、窓口対応だ。プロフェッショナル向けのサービスが売りだが、一方で価格もやや高い。

ふたつめの会社(以後B)は、同じ老舗でも、素人の私でもすぐわかる名前。最適化された納期と価格表がネットですぐ検索でき、インターネット発注も可能。イレギュラーが発生しないよう事細かに決められたプランが一瞥できる。価格も安い。

従ってAにはイレギュラー/特殊なものを最低限、Bにはプランを適用できる一般的なものを殆ど発注することになった。

まず、Aの窓口へ行く。30代前後と思われる“クセ”のある青年と、初老の男性。2人だけの窓口カウンター。何度か行ったが、いつもこの2人が出迎える。商品1つ1つを事細かに精査し、価格を安くするためのアドバイス、それに関わる豆知識もくれる。

あるオプションを無料にして、これはサービスね、とその青年が言うと、初老の男性が、カッコいいとこ見せちゃって、このこの、と小突をいれる。うるせぇジジィ、と照れる青年だが、この歳の差でこれだけ仲が良い仕事仲間なんているだろうか。憧れるし、仕事なのにほっこりとした気分に包まれた。

対してBは窓口がない。10:00~19:00の電話対応だ。私の仕事が深夜作業が多いため、電話をするにもやや手間取ったが、ようやくつながった。ネットで注文するからこそ、先にリスクはつぶしたいので、気になるところを質問しようと思ったのだ。対応したのは若い女性。マニュアル通りの挨拶からはじまり、私の質問を促す。質問のどれも、私にとってはさして専門的な内容ではないように思われた。しかし、全てに「確認してから折り返す」との返答だった。

何より、「確認してから折り返す」という判断の前の思考する「間」のようなものを一切感じさせなかったことに私は驚いた。自分の経験の中で同様の質問ケースがなかったか、彼女は考えたのだろうか。また、「ご連絡まではお時間がかかります、大変申し訳ございません」とスルリと感情なく言われた時に、多分彼女は相手が急いでいる時でもこういう反応をするだろうし、早く返答するためにどうしたらいいか、と峻別することもないのだろうと思った。

かくして私は、Aに全てを発注することにした。今後、この案件は長期的に続く予定だ。全てAに相談する。

なんでも便利で最適化される世の中だ。Bが悪いとは思わない。しかし、何かを成し遂げて対価をもらう、という客商売の中には、最適化では割り切れない部分があって、それは長いスパンで見た時一番重要になる部分だと思う。

「売上」を企業の結果とみなすなら、AとB、最後どちらの結果が良いだろうか。私はAの窓口の2人が、忙しくてたまらん、と言いながらお客さんと会話するカウンターを強く願ってやまない。

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ふみん
DIARY from JAPAN

教育と本と音楽に興味がある20代メスの熊が夜な夜な考えたことには。