【すべての子供たちにDQを】8つのデジタルスキルとは

この記事はYuhyun Parkさんが2016年9月6日に投稿された8 digital life skills all children need — and a plan for teaching themという記事の和訳である。もちろん、翻訳の許可は本人から頂いている。

ちなみに私は現在アメリカに留学中であるが、帰国子女でもなんでもないので、多少の誤訳はお許しいただきたい。

以下、本文である。

一世代前を思い出してほしい。ITやデジタルメディアを扱えるスキルは、どちらかというとニッチなものであった。今、それらはあらゆるキャリアで成功するために欠かせない能力となっている。

そんな時代背景の中で、デジタルスキルは教育という側面において重要な一部分を占めるようになっている。国家レベルでのデジタル教育が確立されていないと、テクノロジーを使いこなせるかどうかに偏りが生じ、いわゆるデジタルデバイドを広げてしまう

あなたのDQはどのくらいか?

教育者に求められているのは、デジタルメディアが至る所にある今の世界で、生徒たちがオンラインとオフラインの両方を扱える能力や自信を、どのように育てられるか考えることである。

我々が普段から使うIQやEQのように、個々のデジタルメディア運用能力は計測可能である。私たちはこれをDQ(Digital Intelligence)と呼んでいる。そして、なんといってもDQは身につけることができる知力である。

DQは大まかに3つのレベルに分けることができる

レベル1:Digital citizenship(デジタル・シティズンシップ)
デジタルテクノロジーやデジタルメディアを、安全に、責任をもって、効果的な方法で使う能力

レベル2:Digital creativity(デジタル・クリエイティビティ)
デジタルツールを用いて新しいコンテンツを創ったりアイデアを形にしたりすることによって、デジタルエコシステムの一部となる能力

レベル3:Digital entrepreneurship(デジタル・アントレプレナーシップ)
グローバルな視野での問題解決や新たな価値の創出のために、デジタルテクノロジーやデジタルメディアを使う能力

なぜ我々はデジタル・シティズンシップを軽視しがちなのか?

近年、ますます多くの学校が、子供たちにメディアリテラシーやコーディング、そしてロボットへ触れさせる機会を与えようと試みている。なぜなら、これらは将来の雇用や仕事創出に直接的に関わってくるとみなされているからだ。そういった意味では、3つの中で、デジタル・クリエイティビティは最も無視されづらいだろう。学校にとどまらず、アメリカのcode.orgからアフリカのIamTheCode.orgまで、プログラミング教育に積極的な教育機関は多数存在するからだ。

また、デジタル・アントレプレナーシップについても、特に高等教育の中で積極的に促されてきている。世界のトップ大学では、テクノプレナーシップ(technopreneurship)や起業家のハッカソンといった、イノベーションを促す授業や新たな取り組みが存在する。私たちは子供たちに社会起業家精神を育てる世界的な動きも目の当たりにしている。メンター付きのプログラムであるMara Foundationや 学校のようなAshoka Changemaker Schoolなどがいい例だ。

しかし、教育者とリーダーたちはデジタル・シティズンシップの重要性を見落としがちである。テクノロジーを使い、デジタル世界に生きるという根本的な能力が欠かせなくなっているにも関わらず。デジタル・シティズンシップは子供たちがかなり小さい頃から必要とするものである。子供たちは、できる限り早く学び始めるべきである。理想としては彼らがゲームやソーシャルメディア、デジタルデバイスを進んで使い始めた時点であろう。

子供たちが学ぶべきデジタルスキル

教育者は、子供たちがこのようなスキルを彼ら自身で習得する、またはこれらのスキルは家庭で教育されるべきと考えがちである。しかし、親も先生もそれらのスキルを十分に教授する方法がわからない場合が多いのが現実だ。

小さい子供たちはみな、テクノロジー中毒やネットいじめといったサイバーリスクにさらされている。また、彼らは対人能力にマイナスな行動様式を取り込んでしまう可能性もある。そして、ほとんどの子供たちがそのような困難に直面するわけだが、マイノリティであったり、経済的に不利であったりする弱い立場の子供たちにとって、その問題はさらに大きくなって降りかかる。彼らはより頻繁にリスクにさらされるだけでなく、より厳しい現実に直面する傾向にあるのだ。

さて、デジタル・シティズンシップを育むために、我々は子供たちにどんなスキルを教えるべきなのか?この件に関して私たちは調査をし、特に8つの要素が重要であると考えた。

デジタル市民のアイデンティティ(Digital citizen identity)
オンラインとオフラインにて、健全なアイデンティティを誠実に構築・管理する能力

スクリーン時間の扱い(Screen time management)
画面を見ている時間や並行作業、オンラインゲームやソーシャルメディアを、自制心を持って管理する能力

ネットいじめの扱い(Cyberbullying management)
ネットいじめの状況を検知し、それらに賢く対処する能力

サイバーセキュリティの扱い(Cybersecurity management)
強力なパスワードを使うことで自身のデータを守り、様々なサイバー攻撃を管理する能力

プライバシーの扱い(Privacy management)
自身や他人のプライバシーを守るために、オンラインに共有される全ての個人情報を、分別を持って管理する能力

批判的思考(Critical thinking)
オンラインにて、情報が真実か虚偽か、コンテンツが無害か有害か、人とのつながりが信頼できるものか怪しいものか、区別する能力

デジタルでの足跡(Digital footprints)
デジタル世界の性質やそれらの現実世界での帰結を理解し、責任を持ってそれらを管理する能力

デジタルでの共感(Digital empathy)
オンラインにて、自他のニーズや感情に対して、共感を示す能力

デジタル教育はどうあるべきか

質の高いデジタル・シティズンシップは、評価とフィードバックの機会を含むべきだ。そのような評価は、フィードバックを与える手段として機能すべきだ。子供たちに彼らの強みや弱みをよく理解してもらい、彼ら自身の成功を手助けできるようにしたい。

間違いなく、国のリーダーはデジタルリテラシーの基盤として、デジタル・シティズンシップの重要性を理解する必要がある。教育分野のリーダーたちは、全般的なDQ教育の一環として、デジタル・シティズンシッププログラムを最優先事項とすべきだ。

最も重要なのは、個々人がそれぞれ影響を及ぼしている範疇で、デジタル・シティズンシップ教育を先導すべきということだ。親は家庭で、先生は授業で、そして、リーダーはそのコミュニティにて、できることをする。

待っている必要はない。実際、もう待っている時間はないのだ。子供たちはすでにデジタル世界にどっぷりと浸かっている。彼らはこれから、明日の世界がどのようになっているのかに影響を与える存在なのだ。彼らが正しいスキルを身につけているかを確認するのも、彼らがデジタルとうまく付き合っていく環境を整えるのも、今の私たちにかかっているのではないか。

文中の「8つのデジタルスキル」の資料に関して、ご自由にお使いいただいて構わないようです。よりよい日本語訳があればご連絡いただきたいと思い、私の名前も入っていますが、消して使用してくださって問題ありません。

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