DroidKaigi 2023年度の活動報告

mhidaka
DroidKaigi
Published in
Dec 29, 2023

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DroidKaigi代表理事mhidakaです。

この活動報告はDroidKaigi実行委員会の2023年の年間活動およびDroidKaigi 2023の参加動向をまとめています。

DroidKaigi 2023 has been held.

DroidKaigi 2023開催概要

・開催期間:2023年9月14日(木)~16日(土)
・セッションと公演資料:タイムテーブル
・動画:YouTube公式チャンネルにて公開中(無料)
・事前登録:約1,500名(Doorkeeper

統計情報のサマリ

カンファレンスへのお問い合わせ:info@droidkaigi.jp

統計情報に関する諸注意

本内容はDroidKaigi 2023の事前登録アンケートおよびYouTube Studioのアナリティクスをもとに作成しています。細心の注意を払って情報を掲載していますが、内容の正確性および完全性を保証するものではありません。

特記のない限り、掲載する情報はDroidKaigi 2023開催を含んだ2023年9月14日~2023年12月13日の90日間で集計しています。DroidKaigi 2023ではセッション動画の公開が30~60日後であったこと、近年は年間を通じてコンテンツを提供していることの2件が背景にあり、集計期間を変更しました。過去の活動報告とは差分がありますが、独自の検証により傾向に差がないことを確認しています。

今年の活動報告では、統計値のみをみても分かりにくい数字が増えているため[統計情報の読み方]で過去実績との比較や解説をまとめて講評します。理解の手助けになれば幸いです。

オンラインでの視聴

DroidKaigi 2023の視聴者数は5,000名超を維持

ユニーク視聴者はYouTube Studioの提供するデータです(視聴者の使うデバイスの種類や視聴回数の中断・再開に関係なく視聴したユーザー1人がユニーク視聴者1人としてカウントします。詳細はこちらから定義のヘルプを参照してください)。

視聴回数と総視聴時間

DroidKaigi 2023はオンラインおよびIn-Person(オフライン会場)のミックス開催です。過去の実績では2021年度にオンラインのみ、2022年度にオンラインとIn-Personのミックス開催をしています。

[統計情報の読み方]

完全オンラインで開催したDroidKaigi 2021と比較して視聴回数で2,000回、総視聴時間で12,500時間分が減少しています。大幅な変化です。

今回のDroidKaigi 2023ではIn-Person参加が1,000名と大きく伸長したため、減少した視聴時間はリアル会場で消費されたと理解しています(12,500時間/1,000名/セッション2Days=1人あたり6.25時間/Day)。

YouTubeライブによる生放送およびセッション動画やアーカイブの視聴傾向です。25歳~34歳の範囲が最もアクティブに視聴しており、視聴回数の過半を占めています。さらに18歳~24歳も10%を超えています。オンラインコンテンツの視聴傾向は若年化が進んでいます。

[統計情報の読み方]

オンラインでの指標のうちユニーク視聴者数5,200人、視聴回数18,000回の2指標は過去開催と遜色がありません(総時間のみが大幅に減少)。さらにインプレッションは25%増加しています。

あわせてDroidKaigi独自の背景があります。In-Personとオンラインのミックス開催は、ボランティアスタッフの作業負荷が非常に高く、50セッション分の動画のアップロードは開催日より約1ヶ月遅延する傾向にあります。これらの事情と先述の統計値を鑑みて、オンラインでの視聴動向を次のように読み取っています。

・オンラインとオフラインの体験が分離しつつある:DroidKaigiチャンネルは学習コンテンツとして認知が進んでいる。カンファレンス開催等のピークとは異なるタイミングでの視聴し、学習に活かしている
・セッションを1本続けてみるわけではなく特定のシーンごと視聴するザッピング型の消費傾向が主流(動画コンテンツの傾向がそのまま反映)

DroidKaigi 2023アンケート結果

次に示す統計情報は事前登録時のアンケートから作成しています。アンケートはすべて任意回答で、強制ではありませんが集計した有効回答率は96%超でした。貴重なご協力、誠にありがとうございます。今後の開催にむけた改善、調査の基礎として利用します。

アンケートの項目には参加者の皆様ご自身のセンシティブな属性も含まれています。そのためDroidKaigiではD&Iステートメント策定の経緯)、プライバシーポリシーを策定しており、これらに基づいて管理し、取り扱います。

今回のアンケート回答数は約1,450件です。DroidKaigi 2021でのアンケート回答数は1,500件であるため微減ですが、これはDroidKaigi 2023のIn-Person会場の運営都合により企業出展の担当者約150名の登録時アンケートを実施していないためです(出展担当者にはエンジニアをはじめHRやDevRelといったコミュニティを支える皆様が含まれます)。あらかじめご了承ください。

後述のアンケートで減少と紹介がある場合、本変更が影響しています(しかしながら全体傾向は、過去のアンケート結果とも整合が取れていると考えています)。

モバイルアプリ開発者の参加比率

事前登録のアンケート回答者(約1,450件)のうち約91%がアプリ開発経験を保有
偏りが少ない参加者層がDroidKaigiを楽しんでいます

アプリ開発経験は、回答者のうち91%が保有しています。開発経験の質問ではいずれの層も10%程度と偏りが少ない結果となりました。新規参加者と経験者がバランスしていると読み取れます。

[統計情報の読み方]

DroidKaigi 2023も過去の傾向と合致していてモバイルアプリ開発に特化したイベントだとわかります。参加者の属性値には特筆すべき点もありますが、後述の職種アンケートに解説を譲ります。

10年以上のアプリ開発者のみ16%(DroidKaigi 2021では10%程度)と伸長しています。これはアンケートで12年以上など区別していないためです。

参加者の職種アンケート

複数回答可のため、総数と有効回答数は合致しません

現在の職種はAndroidエンジニアであるとの回答が950件と多数となりました。この設問は複数回答が可能です。そのため、傾向として掛け持ちでの開発など特定の領域にとどまらない働き方をしている参加者も見受けらます。

モバイルアプリ業界の広がりを感じると共にDroidKaigiの参加者層も多様になっている様子が伺える項目です。

[統計情報の読み方]

エンジニアの実態を理解するにあたって複数の職種をこなしている層が思いの外、多い点に注意してください。たとえばAndroidとiOSを両方担当とする方は100回答ありますし、クロスプラットフォームと回答した場合でも、AndroidまたはiOSどちらかの知識を持ち合わせるエンジニアは180(約220回答中)を超えています。

これらの事例からエンジニアがもつバックグラウンド(職歴やスキル)はさまざまだと理解いただけたかと思います。DroidKaigiでは、これらの多様性を活かした「技術が発展する場作り」が重要だと考えています。

職種以外にもDroidKaigi実行委員会では、新規参加者の参加率をトラッキングしています。たとえば開発経験が浅い層(例えば~2年まで)は約31%を占めており、この数値は過去の開催と変化なく、減少していないことは良い傾向だと考えています。

本アンケートを含むさまざまな観点で意見や統計情報を集め、幅広い層が参加できているか?新規の参加者も歓迎されていると感じるか?を分析しています。これらの調査方針は、多様な属性を持つ参加者に偏りなく参加いただきたいというDEIポリシーに基づいて策定しています。

アプリ開発に限らず、業界そのものへの人材流入が拡大すればエンジニアの地位向上に繋がると考えているからです。DroidKaigiでは、コミュニティへの定着促進や学習機会の創出ができるように日々、取り組んでいます。

あなた自身について / About yourself

性別等の参加者属性はセンシティブな情報です。DroidKaigiではD&Iステートメント策定の経緯)、プライバシーポリシーのもと管理しています。

現在、統計処理した本アンケート結果以外に回答数や詳細を追加公開する予定はありません。また運営改善のためボランティアスタッフが利用する場合でも、今回のアンケート結果と同様に個人が特定されないよう統計処理/加工した後のデータで行います。

カンファレンスにおけるD&Iへの取り組みを確認するためのアンケート項目です。過去のDroidKaigi 2021アンケートと比較すると女性比率が10%から12%へと変化しています。DroidKaigi 2019のIn-Person開催時のアンケートと比較しても5.4%から12%へと増加傾向です。

30歳から39歳の年齢層が一番多く、20歳から29歳が続きます。前回のアンケートと比較した場合、20歳から29歳の構成比率が35%から38%に変化しています。

アジアは日本以外のアジア諸国も含まれています

本統計値はアンケート回答時点での居住地です。国籍を反映しているわけではありません。海外からの参加もあり、日本以外のアジア諸国、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカと多様な分類となりました。

国内居住に限った分布調査

お住まいの地域はアジア居住が最も多く、日本国内居住と回答したアンケートのうち78%が関東地方です。国内地域では最多となっていますが、DroidKaigi 2021のアンケート結果より3%減少しています。

[統計情報の読み方]

本来、DroidKaigiでは属性によらず参加者ひとりひとりが楽しんでいただけることを目的に努力しています。そのためにもDEIが確保された環境(ここでは参加者の多様性があり、誰もが参加しやすくなる環境)が重要だと考えています。参加者属性はセンシティブな情報ですので取り扱いに細心の注意を払って統計情報を役に立てています。

DroidKaigi 2019から比較してDroidKaigi 2023では女性比率が2倍以上、5.4%から12%へ変化しています。アンケート対象者は2019が700人、2023では1,500人ですので、この数年の変化は著しいと実感しています。現時点で十分であるとは考えていませんが地道に長期に渡って取り組んでいく内容だと理解しています。

年齢分布は、40歳から49歳の区分はDroidKaigi 2019では9.8%でした。DroidKaigi 2023では16%と増加していますが、20歳から29歳は39.1%→38%、30歳から39歳が46.7%→41%と各区分でバランスしています。特に20歳台と30歳台で合計8割という比率はモバイル開発の現状を反映しているといえるでしょう。今回は比率で書いていますが、全体の参加者数は増加しているため、いずれの年齢層も絶対値では増加傾向という点に注意してください。

DroidKaigi実行委員会では、学生を対象とした無償スカラーシップを推進しています(本区分では~19歳、20歳から29歳の2つが概ね該当)。コミュニティでも将来を作っていけるように、またキャリアの選択にエンジニアという職業が挙がるように、手助けになればと活動しています。

おわりに

DroidKaigi 2023はオンラインとIn-Personのミックス開催でした。沢山の参加ありがとうございました。オンラインでお楽しみ頂いた方、リアル会場に来場頂いた方、YouTube公式チャンネルを通じて後日視聴頂いた方、さまざまな形で楽しんでもらえたなら、嬉しく思います。

DroidKaigi 2023 Overview🙌

現時点では、今後の予定は確定していません。今はDroidKaigi 2024の開催に向けて休息と準備期間という位置づけです。

DroidKaigi 2024は、めでたい10周年を記念するカンファレンスとなる予定ですが、オンラインは生放送への需要が一段落し、オンラインコンテンツとしての価値提供という新しい課題をどうやって解決するか考えているところです。リアル会場では、1,000人を超えるオペレーションを目指すとなるとボランティアスタッフが更に習熟する必要があり、まだまだ慣れるまで時間がかかりそうです。

オンライン・オフラインどちらの良さも活かした開催内容とし、開発者コミュニティへ貢献できるよう、いろいろな選択肢を検討したいと考えています。あわせてDroidKaigiでは2023年度よりDroidKaigi.collectといった月例イベントを開始しました。全国各地で開発者のみなさんとリレーションを持つために、東京のみならず福岡、大阪、名古屋と各地で実施しています。年次イベントとは違った良さを感じています。こちらについても機会を見つけてまとめようと考えています。

DroidKaigi 2023はIn-Personで1,000人規模、オンラインでは5,000人規模を達成し、大変恵まれましたがカンファレンス運営では至らない点も数多くあったかと思います。しかしながら参加者、講演者、セッションに応募頂いた方々、協賛企業及び関係部門の皆さんのご協力と温かい応援のおかげで無事に開催できました。DroidKaigi実行委員会一同、改めてお礼申し上げます。

一般社団法人DroidKaigi 代表理事 日高 正博

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mhidaka
DroidKaigi

Software Engineerだよ。DroidKaigi Organizer / Androidと組込とRe:VIEW。TechBooster主宰。mhidaka's writings http://booklog.jp/users/mhidaka 技術書典! http://techbookfest.org