「私が本を書いても良いのでしょうか?」

果たして、この言葉の根っこにあるものは何でしょう。

一説によれば、米国人は誰もがベストセラーを書けると考えているそうです!
なるほど、米国のKindle作家の多さと、作品の多さを見ていると、きっとそうなんだろうと頷いてしまいます。

それでは、日本人はどうでしょう?
タイトルの言葉どおり、全く逆の考え方だと想像できます。あくまで、本は読むものであり書くものではない、そう考えているのだと感じられます。

事実、知り合った方に、「本を書きませんか? 」と問いかけると、
「私が本なんて、どんでもない!」
という言葉ばかりです……。

それでいて、ブログや、Twitter、Facebookなどでは、自分の文章を臆することなく公開する人たちが増えています。また、LINEやメール、チャットなどでも、日常的に文章のやり取りを楽しんでいます。

この数年で、時代の変化を最も感じさせてくれるのは、街中でスマートフォンに心を奪われる姿が定着したことです。眺めるだけではなく、忙しく入力する指先の早さは、文章をつくるのが苦手とか、嫌いといったレベルには到底思えません。

それがペンなのか、電子メールなのかの違いがあっても、文章を生み出す思考回路の働きに違いはないのです。

ですから、文章を書けない訳ではないのです。むしろ、LINEなどの普及を見れば、書くことに積極的とさえ言えるでしょう。

しかし、それと、「本」を書くこととは、どうも違うようです。

読み書きが当たり前の時代になり

義務教育のおかげで、日本では読み書きで苦労する人は少ないでしょう。また、本に対する意識も高く、本=知的レベルが高いという価値観を国民全体が共有しているように感じられます。

内容を少し引用してみますと、

専門家や、知識人たちが、TVの取材で自分の書棚を背景に話している姿をよく目にします。どのTV局も同じパターンなので、見た瞬間にイメージを効果的に伝える演出として、その効果は立証済みなのでしょう。これは、本棚に並ぶ本の数が多いほどその人は知識人であり、きっと優秀に違いないというステレオタイプが、社会に定着していることを物語っています……

だからこそ、「変なものは書けない」という思いが、書こうという気持ちを封じてしまう自己否定にも似た独特の感覚を形成することになったのでしょう。裏返せば、本を出版する人は特別な人、優秀な人という思考へのバイアスがかかるようになったのです。

話せるけれども、書けないという人

話し言葉と、文章に用いる言葉の使い分けが必要だからでしょうか?
これは、一昔前なら、慣れとか、練習あるのみとして、片付けられてしまった問題かもしれません。

しかし、スマートフォンの普及で、劇的に変化しそうです。なぜなら、スマートフォンの音声入力によって、話したことをテキスト変換できるようになったからです。

まだ、試したことのない方は、論より証拠、一度やってみてください。驚くほど簡単に、しかも実用レベルで口述筆記ができてしまいます。今後は、「話せるけど書けない」は、説得力の弱い共感されにくい言葉になっていくでしょう。

物心がついたときからスマートフォンに話して記述する、デジタルネイティブな10代にとって、「話せるけど書けない」は、何のことを言っているのかさえ分からない不思議な言葉として認識されてしまうのです。

「私が本を書いても良いのでしょうか?」

はい、あなたは、もちろん、本を書いても良いのです!

日本では、2012年10月以降(※1)、電子書籍を自由に出版できる仕組みが整いました。あなたは、書きたいことがあるのなら、伝えたいことがあるのなら、電子書籍を自由に電子出版できるのです。

※1:Amazon Kindleストアの日本オープンと同時に、電子書籍の自己出版(Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング)のサービスが開始。

スマートフォンという、最もパーソナルな端末で読まれる電子書籍は、紙書籍より分かりやすい表現や、話し言葉に近い文体で書かれた方が好まれる可能性を持っています。

それは、通勤時間、昼休み、休憩時間といった隙間時間に、読まれることが多いからです。また、目の前の人に語りかけるような文章の方が、よりスマートフォンの文化にフィットしやすいでしょう。

今(2016年7月)の時期、既にMediumに参加している、文章好きなあなたなら、読み応えのある文章の方を好ましく感じるでしょう。

しかし、スマートフォンの所有をきっかけに、電子書籍から読書の世界に足を踏み入れる人たちにとっては、平易な表現や、分かりやすい文章の方が、パーソナルな感覚に馴染みやすいでしょう。

もし、そうなら、目の前の人に話しかけるようにスマートフォンで口述筆記した電子書籍が、デジタルネイティブの心を捉えるのかもしれません。

誰もが、ベストセラー作家になれるチャンスがやってきたと、私は思っています。

そしてそれは、もちろん、あなたにも。

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