蘇生に続く混乱の表現

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Echoes from Novlet
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2 min readJan 31, 2016

暗闇の中に白い鳥が飛んでいた。オレの視界のちょうど真ん中に、白い鳥が飛んでいた。オレは手を伸ばすが白い鳥には届かない。しばらくすると、その鳥は光り輝いていることが分かった。その光はどんどん大きくなり、暗闇の中の光となってオレの視界に入り込んできた。どんどん、大きくなって――そして空になった。オレは仰向けに倒れていた。
何がなんだか分からないうちに、男は体育着の子供たちに囲まれていた。子供たちは赤白帽をかぶった頭を円にして倒れた男を屈みこんでのぞいていた。
「おい、大丈夫か?」子供の一人が心配そうに男に聞いた。大丈夫か?ってなんだ?
「オマエ、頭をぶつけたんだよ。白目をむいて動かないからびっくりしたじゃねーか」隣の少しやせた男の子だ。
男はまだ仰向けになったまま寝転んでいた。何がなんだか分からない。混乱して動けなかった。
「早く起きろよ!先生がきちゃう――」最初に口を開いた男子が男の手を乱暴に取って起き上がらせようとしたが、他の子供達が遮りながら言った「危ないよ、もうちょっと寝かしておこうよ」
男の子に手を取られて、男は自分の体が一回り……いや、それ以上に小さくなっていることに気がついた。男は回りの子供達と同じ、体育着を着て赤白帽を被っていた。遠くでハチャトゥリャンの「剣の舞」が聞えていた。徒競走などでかけられる運動会の定番だ。

Story by akamakura (Juan Akamakura) · June 2007 · Originally published on novlet.com

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