講演動画:ニコ技深圳コミュニティ5年間の活動紹介 2014–2019

東大 福武ホールでの登壇

深圳ブームは中国・欧米・日本でそれぞれ別にあった

深圳は、経済特区であり世界の工場としての注目を集めていましたが、イノベーションハブと見なされるようになったのは最近です。
2008年創業のSeeedほか、面白いメイカーたちは以前からいたのですが、中国政府が深圳やメイカーズに注目を始めたのは、2015年からの、「大衆創業・万衆創新」を掲げた一連の政策が始まってからです。
2014年にスタートしたニコ技深圳コミュニティは、中国人からも海外からも注目されない「メイカーの街深圳」に面白みを感じてスタートし、メイカーフェア深圳の運営チームと協力して、メイカー先進国である日本メイカーたちといくつも共同でイベントを(主に日本で)行いました。
「大衆創業・万衆創新」公布後、2015年、中国のインターネット流行語№1が「創客(メイカーの中国語)」になるほどのメイカーブームが起こり、中国全土にメイカーイベントが拡散しました。ニコ技深圳コミュニティは、メイカーフェア深圳の運営チームと協力し、深圳続いて西安、成都などのメイカーフェアに協力し、中国各地でイベントを行いました。

WIREDがきっかけの、海外での深圳ブーム

2016年2月の「メイカーズのエコシステム」刊行時は、「深圳なんて誰も知らないから、書名に入れない方がいい」と言われたものでした。が、この本をきっかけに、2016年は多くの中国専門家、経済研究者などが深圳コミュニティにジョインしてきました。
2016年6月のWIRED Future Cityビデオで、欧米圏での深圳ブームが起こりました。

2016年のWIRED Future Cityビデオ(埋め込んだのは2018年公開の日本語字幕付き)

2017年からの日本メディアでの深圳ブーム

日本でのブーム開始は、2017年からと言えるでしょう。僕にダイヤモンド・オンラインからお声がかかって「知られざる深圳」シリーズが始まったのは2017年1月、東洋経済の深圳特集が2017年3月。そのころから深圳が日本でも「なんとなくみんなが知っていて惹かれる場所」になった気がしています。
ニコ技深圳コミュニティの中国研究者やライターたちは多くの情報を供給し、特に2017年の1年間を深圳で過ごしてニコ技深圳コミュニティの深圳オフィスに毎日何組もの来客を受け入れた伊藤亜聖先生の活動は、多くのメディアに取りあげられました。
僕は2017年転職活動などもあってそれほどアクティブでなく、コミュニティだと相互補完できることを感じました。
そして、深圳情報の集大成として2017年11月に藤岡さんの「ハードウェアのシリコンバレー深圳に学ぶ」が出版され、それまでニコ技深圳観察会という名前で活動していた我々は、ニコ技深圳コミュニティと名称を変更しました。

深圳のメイカーコミュニティとして、ビジネス含めた活動をしていく

ここまで書いてきたとおり、僕たちは深圳に注目が集まる前から、深圳のメイカーたちと活動してきました。「深圳が注目されているから集まった」のではありません。
共同創業者の藤岡さんは、もう16年も深圳で活動しています。
今は藤岡さんのように深圳を舞台にビジネスをしているメンバーも増え、僕の本業(開発製品の輸入代理業、ビジネス開発)もコミュニティの活動と密接に絡んだものとなりました。
2018年以降、僕たちのコミュニティはそうした企業間提携やadvocate活動を一緒になって行うことが中心になり、「深圳という街」から、さらに具体的なものにフォーカスしています。

これからも深圳と日本のメイカーと共に活動していきます。

伊藤亜聖先生のプロデュースで、以下のイベントに登壇しました。

ほぼ満員の会場
ニコ技深圳コミュニティの年表

ニコ技深圳コミュニティはギークの集まりから、中国研究者が加わり、その後起業家なども加わってきて、深圳と共に成長してきました。そういうことについて話しました。

シリコンバレー×深圳 グローバルイノベーションの最前線とコミュニティ
~シリコンバレーD-Lab x ニコ技深圳コミュニティコラボワークショップ~

イベント概要
世界的イノベーションの拠点であるシリコンバレーと、新興都市として注目を集める中国の深圳市。現地動向の解説を超えて、現場で活動している人に話を聞きたい、そう考えている人は多いはずだ。シリコンバレーの直近の技術動向や本質を、特にモビリティとイノベーションの面から発信してきたシリコンバレーD-Labの発起人の1人である森 俊彦氏から、そして深圳の動向を現地に日中+MITやサンフランシスコなどの多国籍でユニークなコミュニティをつくりあげている高須正和氏に解説いただく。D-Labとニコ技深圳は成り立ちは異なるものの、それぞれ自発的に生まれた未知の現象を把握しようとする取り組みだ。なにが現地で生じ、その背景にどのようなメカニズムがあるのだろうか。多様なメンバーでアプローチすることにどのような意味があるのだろうか。グローバルな動きをこの二都市から読み取るのみならず、日本の企業、政策、社会に何を活かせるのだろうか。これらの論点を議論する場としたい。

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