「文章がうまく書けない学生」の原因と対策を思いつくままに列挙してみる

嘆くよりも行動しよう

Kazuo NAGATA
EdGeek
4 min readDec 6, 2017

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語彙(単語/語句/慣用句/言い回し)が少ない。文章の「型」を知らない。

いわゆる「インプットが少ない」状態でしょうか。私はこの筋の専門家ではないのですが、この問題は「良質な文章を読む/見る/聞く」ことが遠回りなようで一番近道かなと。

近年、学生さんはテレビを見なくなっています。主たる情報源はスマホ。それもきちんと推敲されたニュースサイトを読んでいれば良いのですが、往々にしてスラング的な日本語を見る機会が多いように思います。

私もテレビはあまり見ませんが、漫才やコントは好きでよく見ます。ちゃんと笑えるネタは、日本語がちゃんとしている。そうでないと聴き手にちゃんと伝わらないのです(見た目のインパクトで勝負する系のネタは除く)。良質なネタを意識しながら見聞きするというのは良いかもしれません。

私が最も楽で良いと思うのは、ラジオを聴くこと。言葉だけで情報を正確に伝えなければいけないラジオの出演者は、その多くが正しくわかりやすい日本語を正しくわかりやすい発音で話します。それを毎日のように聞いていると、なんとなく正しく伝わりやすい喋り方が染み付いてくるような気がします。

読書?それができるならそれが一番良いです。しかし、書くのが苦手という人の多くは読むのも苦手なので、いきなり読書量を増やせというのは酷。大人ができることは、「読書の作法」を教え、「読みやすい本」を教えてあげることかもしれません。私自身、「小説とか一字一句漏らさずに読まなくてもいいんだよ」ということを知ってから、読めるようになった気がします。

文字を書くことが苦手で苦痛

鉛筆/ペンで長文を書いていたら手が疲れます。でも、最低限の筆記動作は身につけているので、「疲労」するだけです。

高専の学生さんは、5年間かけて高校生から大学生の年代になります。大人に近づいていくわけですから、現代の大人が「書く」といえば、すなわちパソコンを使ってテキストをタイピングすることを指すと言えるでしょう。

タイピングの基本動作を身につけていなければ、文章を書くということは「苦行」でしかありません。キーボードを見て目当てのキーを探し、画面に目を移してかな漢字変換を確認し、なんてやってたらしんどいのは当たり前。早急に、鉛筆/ペンより高速に文字を綴れるレベルのタッチタイピングを身につけるべきです。

「でもどうやって?」

キー配列を覚えるために e-typing のような入門ツールで練習したのち、キーボードを絶対に見ずに文章を入力する訓練をするのが良いと思います。ただし、この段階では自分で作文しながらタイピングしても練習量が稼げないので、何かの手本を写していくのが良さそうです。あるいは、仲の良い友達とチャットで喋るのも良いです。

ライティングの「作業手順」を経験していない

原稿用紙を目の前に、1行目を書き出せずに困っているような状態です。文頭から文末までをシリアルに書くのは至難の技。大まかな「起承転結」や「章立て」や「5W1H」で骨組みを作り、そこに少しずつ肉付けをしていくようにするのが基本ですが、意外とこの作業を意識的にやったことがない学生さんが多いように思います。

タイピングができるようになったらアウトラインプロセッサを使ってまとまった文章を書くような経験をするのが良いかもしれません。

そして、そもそも文章を書く機会が少ない、アウトプットの場が少ないから、作業手順を訓練できないのかもしれません。TwitterやLINEの「短文世界」で生きている彼ら。長文を書く機会は、大人が意識的に与えてあげないといけないのかもしれません。

教員がレポートを添削およびフィードバックする時間的および体力的な余裕が少ない

我々が長年抱えている問題です。しっかり見てあげたい気持ちもあるものの、雑務²もあり、研究もあり、そして家庭もある。時間も体力も有限で、睡眠時間を削ると負のスパイラルに堕ちていきます。

数十ページあるレポートを1クラス分まとめて相手にするのは大変。レポートを課すならページ数の上限を1〜2ページと決め、その中に収まるように簡潔に書く訓練をさせた方が、学生と教員の双方にとって幸せなのかもしれません。

Google Classroomのようなシステムを使えば、提出→添削→返却→再提出→添削→返却…というサイクルをより低い負担で回せそうな気がします。

今日のところはここまで。

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Kazuo NAGATA
EdGeek

熊本高専 情報通信エレクトロニクス工学科 准教授(Mediumへの投稿文は個人としての表現であり、所属先の総意ではありません。ICTを利用した授業手法、業務改善、学生さんのネットとの付き合い方などについて、アイデアをアウトプットする場として利用しようと思います。)