ブランドを創る2つの方法を提案。「アート」と「エンターテインメント」はどちらが正解?

Syoma Funakata
edism -エディズム-
7 min readJan 27, 2016

こんばんは、各々の領域でウェブメディアの運営に関わる3人が、独自の視点でメディアについて書き綴るメディア『edism』にようこそ、水曜日担当を務める、VOYAGE MARKETINGの船方翔馬です。

早速ですが、メディアを愛してやまない私が独断と偏見で、好きなメディアを1つずつ紹介していく企画『ヴァイタイヲシエール』の第二段を始めましょう!

第二回のヴァイタイヲシエールは…紙媒体の『MOUTAKUSANDA!!!magazine』です。

http://moutakusanda.com/

MOUTAKUSANDA!!!magazineは、いわゆるカルチャー誌。

みなまで言うつもりはないので、ひとつだけ。

僕は、下記のような語り口調にはなにか“グッ”とくるものを感じるタチで、どこか小馬鹿にしているようで温かみがある口調についつい同調したくなります。

「あ、わかるかも!」

と思ったそこのあなた。ウェブサイトを訪れて独特な世界観を体験してみてはいかがでしょうか。

「なぁ、どうだろうか?君も読んでみないか?」

MOUTAKUSANDA!!! magazine(モウタクサンダ!!! マガジン)] は、
(必ずしも)旅に出ない旅行雑誌だ。信頼すべきセンスを持つ君たちが薄々感づいているように、“感覚の旅”は日常のあらゆる場所に潜み、こちらの準備が整うのを待っている。

つまりこれは、旅の途中のようにフレッシュな感覚で日々を再発見するアイデア集。「つまらないと言い訳をして生きるのはモウタクサンダ」「タクサンであることは素晴らしい」。

そんな最悪に愛おしいライフスタイルを獲得する実験装置として、新しい雑誌を創刊する。

俺たちはこの本を作りながら嫌というほど楽しませてもらった。次は他でもない、君が人生を楽しむ番だ。

閑話休題。

過去数回に渡り、発信してきた私の数々の意見、読んでくれたあなたにとって何か特別な気づきを与えられていると信じ、今日もまたキーボードを叩きます。

今回のテーマは「ブランドの作り方」

世の中にものすごい数の情報があふれた昨今。

喉から手が出るほど欲しいと思うモノがなくなり、資本主義の根幹である消費活動が冷え込んでいます。

そんな市況の中、あたりを見回すと未だに買われているものに共通するのは物理的な価値だけではなく「なんとなくいい」「好き」といったように、心理的なものを含んだものではないでしょうか。

モノやサービスを提供する側は、顧客に「なんとなくいい」と思ってもらうために、様々な工夫を凝らしてきました。

ここで一つ質問です。

あなたの思う「ブランド」を一つ頭の中に思い浮かべてください。思い浮かびましたか?

人それぞれブランドという言葉への理解は違えど、おおまかに分解すると共通項として、以下の要素があげられると思います。

  1. ブランドが創設されてからの経過時間が長い
  2. 顧客を裏切らない(顧客は“忠義”を果たし、ブランドと“誓約”している)
  3. 特定の領域で一定層の人が知っている
  4. 「なんとなくいい」と感じる

上記4つの定義をブランドと表現するとして、今回のテーマである「ブランドの作り方」に移ります。

アートとエンターテインメントの違い

「ブランド」の作り方には二つの手法があると考えます。

  1. アート
  2. エンターテインメント

上記の2つが、ブランドを創る時の方法としてあげられます。

例えば、伝え方を例にすると。

アート → 表現

エンターテインメント → 印象

と言い換えることができます。

何が言いたいかというと、アートは自分の内側から出てきたもの。エンターテイメントは、外側から求められているもの。言うなれば、需要があるっぽいものか、あんまりなさそうなものか。

例えば、作り方の方法を例にすると。

アート → ジブリ

エンターテインメント → ピクサー

ジブリの作品の作り方は、天才の異名を持つ宮﨑駿が、頭のなかに思い描く「画」をアニメとして宮﨑駿以外のメンバーが具現化していく。つまり、最初から最後まで、宮﨑駿の存在が欠かせません。

宮﨑駿は、人が現実世界で見た画をアニメとして表現しているのではなく「人が見たいと思う構成」になっている画を創りだす天才だそう。

例えば、子供の頃にみた飛行機は物理的に大きいだけでなく、心理的にも大きく描写されるはず…なので、実物の採寸よりも大きく描写する。などなど。

かたや、世界的に有名な映像制作会社ピクサーの作品の作り方は、複数人でみんなが面白いと思うものを創りあげます。自分以外の他者の意見を取り込むことで、作品の可能性に幅をもたせ、結果的に「誰が見ても面白い」作品を創ることに成功しています。

もっというと

アート → 主観

エンターテインメント → 客観

僕の好きなラッパーにZONE(昔:ZORN THE DARKNESS)というアーティストがいますが、彼は次のように言います。

「今までは正直『俺が面白いと思ってりゃいいだろ』って思ってたんですよね。自分の表現欲求があって、それをやりたいように表現するっていう。それを評価したり、聴いてくれる人がいたっていうのは、本当に嬉しいことだと思うんですけど、今回はそうじゃなくて、聴く人を意識して作るっていう方向でしたね。そういう気持ちにシフトしたのが、アルバムの原点にありました」

更に言い換えると

アート → パーソナル

エンターテインメント → マス

言葉のとおり、エンターテインメントは大衆向け。アートは、個人向け。エンターテインメントは誰にでも好かれたい人。アートは、わかる人にわかってもらえばいい人。

ブランドの作り方として「アート」と「エンターテインメント」の2つの手法を紹介しました。

誰にも媚を売らず、自分がやりたい事をやるアートなのか、媚こそ売らないものの徹底的な調査の元に築きあげられた、人が求めていることを行うエンターテインメントなのか。

果たして、どちらが「正解」なんでしょうか。

まとめ

最終的には、どちらも正しいといえます。

なぜなら、ブランド作りを行う業界によってはアートの手法で攻めることが正義とされる場合もあり、エンターテインメントの手法で戦うことが良しとされる場合もあるからです。

つい先日、NHKのプロフェッショナルの流儀にて放送された、女性誌VERY の編集長 今尾さんは、最年少編集長であるにもかかわらず、このご時世に圧倒的な発行部数をもってして、VERY編集長という仕事を全うしています。

プロフェッショナルの流儀では、VERYが売れた秘訣を具体的な手法こそ紹介しないものの、見ていれば一つの事実に気づきます。

いままでの雑誌の編集長の印象といえば、なんとなく「アート」よりの価値観の人が多いと感じている人が多いのではないでしょうか。私も、そう思っていた一人でした。

ただ、今尾編集長は違いました。これ以上はネタバレになるので、興味ある方はご覧ください。目からうろこな情報がたくさんつまっています。

「ローマは一日にして成らず」

という言葉があるように「ブランドも一日にして成らず」です。

私が思うに、ブランド作りにおける最も大事なことは“顧客と誓約し、裏切ることなく価値を提供し続けること”ではないでしょうか。

ブランド作りを仕事にされている人のお役に立てた?(笑)と思いながら、筆を置きます。

さーて、次はどんな切り口で何を書こうかな。

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Syoma Funakata
edism -エディズム-

1990年産まれ、ミレニアル世代ライター。ルポルタージュ、ドキュメンタリー好き。