売れるブランドメディアを作るのに必要な組織体制

Jun Ito
edism -エディズム-
6 min readJan 29, 2016

VOYAGE GROUPのメディア担当者がメディアについて書き綴るメディア『edism』にようこそ。金曜日担当の伊藤です。

記事メディアをやっていくにあたってきっと多くの方が思うのは「ブランド広告」を取りたい、ということ。

なぜブランド広告を出してもらいたいのか

簡単にいうと、バナー広告などだけではメディア運営が難しいからです。

バナー広告のチューニングを結構頑張っても、1pVあたり0.3円くらいを超えるとなかなか伸ばすのが難しくなってきます。例えば月間1000万PVあったとしても売上は300万円…。

これではコンテンツにお金をかけてより良い情報をたくさん出していくスパイラルに持っていくことは難しいですね。

VOYAGE GROUPで運営している記事メディアでも、ブランド広告をいかにして獲得できるかは重要命題ですので、議論する機会も多いです。

そこで今日は、僕の思う「ブランド広告を出してもらえるメディアになる方法」を組織の視点から書いていこうと思います。

女性向けブランド広告の予算はほとんどAntennaとMERYに流れている?

ちょっと話はそれてしまうのですが、先日たまたまお会いしたPR会社の方が「女性向けブランド広告の予算はほとんどAntennaとMERYに流れている」と興味深い発言をされていました。

もちろん誇張表現も含んでいると思うので、本当に「ほとんど」ではないと思いますが、この2メディアはブランド予算をかなりとれているという話はいろいろな方から耳にします。

キュレーションメディアで言えば、AntennaよりもSmartNewsやGunosyのほうが少なくとも3〜4倍のユーザー数がいるのに、Antennaに予算が流れている理由は何なのでしょうか。まずはそこを紐解いていきましょう。

なぜAntennaが売れるのか①:ブランドカバー

上記の方とは別のPR会社の方に「Antennaって何であんなに売れるんですか?」と聞いてみたことがあるのですが、「『とにかく綺麗に出せるから』に尽きる」とおっしゃっていました。

例えばAntennaの人気メニューに「ブランドカバー」というのがあります。

出展:antenna媒体資料

Antennaは、アプリの起動時に全画面まるまる1コンテンツの画面がヘッドラインとして表示されるのですが、ブランドカバーはここにタイアップ広告を表示できるメニューです。

キュレーションメディアのメインの画面が、各種メディアの情報を一括で見られる記事リスト画面だとしたら、そこに至るまで一枚画面を挟むことで記事閲覧率は間違いなく下がるでしょうし、UIの原則からも外れる実装だと思います。実際に僕の周りのユーザーやデザイナーの方にも、あまり好評でなかったことを覚えています。

ですが、このメニューが「売れている」んです。

その理由は「綺麗さ」に尽きるでしょう。

ここでいう「綺麗さ」というのは画像やUIのデザインだけの話ではありません。

このブランドカバーを見ているユーザーの目に、競合商品や他の面白そうな記事が映ることは絶対にありません。スマホというパーソナルな画面の完全に100%を占めることができる、こういう点も含め「綺麗」という言い方をされていました。

なぜAntennaが売れるのか②:動画メニュー

また、Antennaの記事リストを見ていただくと、サムネ画像が動画になっている記事がちらほら見られるのが分かると思います。

これも、Antennaの人気メニュー「ブランドムービー」です。

出展:antenna媒体資料

このメニューが売れている理由は、「CMがそのまま使えるから」という点が大きいと思います。

企業のブランド予算のほとんどが使われるテレビCM、これを再利用する形でその後のインタラクションも期待できるスマホ面に出せることが、ブランド担当者にとってかなり嬉しいであろうことは想像に難くありません。

クライアントニーズを知っている人間が設計に入れる組織を

長くなってしまいました。

もうお分かりかと思いますが、Antennaにブランド広告が入っている理由として大きいのは、ブランド広告担当者のツボを心得たメニューがうまく用意されているところが大きいです。

メディアの原義は「媒介」

ユーザー・広告クライアント・広報など、メディアの周りには様々なステークホルダーが居ます。

SmartNewsやGunosyがとにかくユーザーを向き、使いやすさ・快適さを追求してユーザーを獲得したのに対して、はじめから広告クライアントの方も向いて、ブランド広告を出しやすい面・機能を追求することで効果的な収益化を実現したAntenna。対照的ですね。

記事メディアにおいて、サービス担当者と収益化担当者は別であるケースが多いようです。

ですが、タイアップ広告などの形で、コンテンツと収益化が切り離せなくなっていく中で、「サービス担当者が作った媒体を、収益化担当者が売ってくる」というモデルではなく、「サービス担当者と収益化担当者が一緒にメディアを設計し、協力しながら拡大・収益化していく」というモデルに近づけていく必要があるのではないでしょうか。

VOYAGE GROUPの記事メディアチームでは、コンテンツ&サービス担当(渡辺、伊藤)と収益化担当(船方)が毎週定例ミーティングを行い、お互いのKPIの進捗状況を見ながら方向性を決めています。3人で1チームという感覚ですね。(実はこのedismもそこから生まれたメディアだったりします。)

動画の次は、3D、VRなど、新たなメディア形式が広告市場として生まれていくはず。そこに対するクライアントニーズをいち早くキャッチし、そのニーズを満たせるメディアを作っていく動きができればなと思っております。

補足:この記事でのブランド広告の定義

一般的にブランド広告とは「直接のコンバージョンではなく認知の拡大やブランドリフトを目的とした広告」のことです。

2016年現在のウェブ業界では、タイアップ広告や動画広告の形式をとることが多いので「ブランド広告≒タイアップ記事広告」くらいの意味で書いてしまっていますが、「ブランド予算か否か」は「目的」の話、「バナーかタイアップ(記事広)か」は「形式」の話なのでちょっと乱暴な言い方ですね。すみません。

バナー形式でブランド広告を出せる、PMPなどの出稿方法が一般的になれば、また状況も変わってきそうです。

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Jun Ito
edism -エディズム-

VOYAGE GROUPでウェブメディアのデータ解析やSEOをやっています。