2015年、相次ぐ雑誌休刊から読み解く出版社のこれから(前編)
VOYAGE GROUPのメディア担当者がメディアについて書き綴るメディア『edism』にようこそ。コンテンツメディア事業本部の渡辺です。
普段の業務ではメディアの編集やブランディングをメインに担当しています。
edismでは(ほぼ)毎週月曜更新を予定していますので、お楽しみに。
飽きないようにみなさんコメントとかいただけると嬉しいです笑
2014年に引き続き、新しいニュースが多かった2015年WEBメディア業界
WEBメディア界隈では、MERYや4meee!などのキュレーションメディアが躍進した2015年。ローラさん出演の「萌え袖フゥフゥ~♪」のテレビCMも、年末年始は見ない日が無かったと言っても過言ではないですよね。また、ソーシャルメディア周りではTwitterやFacebook経由での広告配信が活発化。思えばinstagramがブランド広告の配信を開始したのも2015年でした。
出版業界では老舗雑誌が相次いで休刊
しかしその影で、時代を彩ったいくつかの雑誌がひっそりと休刊したり、デジタル化という大きな転機を迎えています。筆者も読者としてお世話になっていた雑誌がチラホラ。。。ここでは2015年にニュースとなった雑誌を、時系列順に並べてみました。
2015年に休刊した雑誌一覧
週刊アスキー
・1997年創刊(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス)
・老舗PC誌の筆頭
・今後に関しては「完全ネット/デジタル化」を推進とコメント
CHOKiCHOKi
・1999年創刊(内外出版社)
・人気読者モデルを「おしゃれキング」と名付け、奈良裕也・千葉雄大など数多くの著名人を排出
・休刊原因は「発行部数の落ち込み」
「宝島」「CUTiE」
・「宝島」1974年(宝島社)
・「CUTiE」1989年創刊
・「 定期雑誌という形では役割を終えた」とコメント
R25
・2004年創刊(株式会社メディア・シェイカーズ)
・フリーペーパーブームの立役者
・今後は「Web主軸に刷新」
ピチレモン
・1986年創刊(学研プラス)
・宮崎あおいや長澤まさみが歴代モデルを務める、ローティーン向けの老舗雑誌
・「部数の伸び悩み」が大きな要因
Gina
・2011年創刊(ぶんか社)
・「JELLY」を卒業した読者向けにスタート
DRESS
・2013年創刊(株式会社gift)
・編集長は「美魔女」などの言葉を生み出した、元STORY・美ST編集長の山本由樹
・今後は「コミュニティ運営に力を入れる」
雑誌業界ってどうなってんの??
「そんなに雑誌の売上って落ちてるの?」ここまで来た読者の方々なら、誰もがそう疑問に思いますよね。ここからは、日本雑誌協会が公表する「印刷部数公表」より、雑誌の発行部数の推移を調べてみました。カテゴリはViViやnon・noなどに代表される「女性ヤング誌」を一例として調べてみました。
※集計期間・・・2012年1–3月期~2015年7–9月期
※参照URL ・・・一般社団法人 日本雑誌協会
雑誌発行部数推移
ざっと表を左から右に見ていくだけでも、ここ3年で大きく部数が落ち込んでいることがわかります。さらに視覚的にも捉えやすいように、以下にグラフ化してみました。
グラフからも一目でわかるように、各社右肩下がりのグラフとなっています。ここ1年の成長率を平均すると85%となっており、平均して100%を超えている雑誌は「JJ(光文社)」の1媒体のみという結果になりました。逆に「JJ」にはどんな秘密があるのでしょうか(笑)そちらも機会があれば調べてみたいところ。
2020年末には10万部を超える雑誌はゼロ?雑誌読者はどこへ。。。
もしこのままの成長率で推移していくとすれば、2016年末には発行部数20万部を超えるメガ媒体は1誌もない状況です。また、オリンピックを迎える2020年末には10万部を超える雑誌はひとつも無くなっている状況です。
WEBサービスに奪われ続ける可処分時間
考えられる大きな要因は、前掲の通りWebサービスに代替されていると考えるのが妥当でしょう。身の回りに消費可能なコンテンツが溢れているデジタルネイティブ世代にとっては、価格はもちろんのこと、分厚い雑誌を手に取り持ち歩くことは、なかなかハードルが高いですよね。
これからの出版社の動きはいかに
まさに転換期だったと言える雑誌業界。次回のブログでは、各出版社の対応と今後のビジネスモデルの可能性についてさらに考察してみたいと思います。