Eightサポートデスクの理想は、問い合わせを必要としない世界

Chika Murakami
Eight Blog
Published in
9 min readJun 29, 2018

Eightをもっと身近に感じてもらいたい。そんな思いから始めたのがこの企画「Developer’s Voice」です。裏側で日々サービスをつくっている社員の声をお届けしていきます。【Developer’s Voice】

ミーティングの風景。左:サポートチームリーダー 小父内、右:サポートチーム 阿部

名刺のサービスをつくる会社の人って、何となく真面目でお堅いイメージがありませんか? その一方で、ITベンチャーと聞くと仕事に熱く活気に満ちたイメージもありますよね。私は1年半前に中途で入社しましたが、感想としてはいずれにも当てはまりました。

Eightをつくる人は、キャラクターの違いはありますが、根は真面目で熱い人が多いと感じます。この企画「Developer’s Voice」は、そうしたメンバーの思いや人となりをユーザーの皆さまに知ってほしいという思いから始めました。「こんな人がいるんだな」と少しでもEightを身近に感じていただければと思います。

初回は、社内で一番ユーザーと接点の多いサポートデスク。メールの向こう側にいる彼らが、普段どのようなことを思いながら働いているのかを紹介していきます。

社員プロフィール

小父内信也
Eightサポートチームのリーダー。ラッパーからキャリアをスタート。社員数が50名未満の時代にSansanにジョインし、名刺をデータ化するオペレーション部を立ち上げる。2016年、Eightのファンを増やすべくFan Makersを結成。その後、Fan Makersとサポートチームが合併しリーダーに就任。事業部のお父さん的存在で、若手メンバーを厳しくも温かい目で見守っている。

阿部
初期からEightのサポートチームを支えるメンバー。和菓子屋の店長や、建設現場の監督補佐の経験を生かし、新しいサポートメンバーをビシバシ鍛えている。面倒見が良く、プロダクトの仕様について質問すると裏紙に図を書きながら教えてくれる。たまにお菓子をくれることがある。

返答しきるのに苦戦した、1人体制の時代

初期からEightのサポートチームを支える阿部。とにかく責任感が強く仕事に厳しいが、疲れたときに甘いお菓子をくれる一面も。

──2017年の3月に小父内さんが入るまで、サポートは阿部さん1人でしたよね。当時はアプリ画面の大幅なリニューアルがあり、問い合わせが多かったと記憶しています。人手が限られたなかで、ユーザー一人ひとりに寄り添った対応をするのは、かなり難しかったのではないでしょうか。

阿部:正直なところ、とにかく問い合わせに返答しなければ、ということだけに集中していたので、どうしても機械的になってしまうことがあり心苦しかったです。機械が打ったのかと自分でも思うほど、感情がこもっていない文章で…

小父内:機械的な対応を変えたいと思っていても、行動に移す余裕がなかったよな。人手がないなかで、できる限りのことをやろうという判断だったと思っている。

阿部:ただ、ユーザー一人ひとりに寄り添えていないことが申し訳なくて、人手がないなかでも、相手の言葉づかいや状況に合わせて、ちょっとした表現を工夫するように心がけていました。

──阿部さんと小父内さんの2人体制になってからは、一つひとつの問い合わせに集中できる環境が整ってきていると思いますが、具体的にどのような改善をしましたか?

小父内:一番の課題は、問い合わせに対する返答がどうしても遅かったこと。だから、とにかく返答を速くするために毎月採用して、新しく人が増えるたびに阿部さんが鍛えている。

阿部:日々の対応に追われてなかなか手をつけられなかったことが、小父内さんが入ってくれて徐々にできるようになってきました。例えば、ヘルプページのレイアウトが、ユーザーにとって分かりにくいんじゃないかという課題感がずっとありましたが、ようやくその辺りが改善されつつあります。

小父内:懐かしいね。300個くらいあるヘルプページを5、60個減らす対応もしたよね。

Eightのヘルプページ。ユーザーが迷わないよう、できるだけ項目を絞りシンプルにまとめた。

──ヘルプページの数を減らしたのは、どのような意図があったのでしょうか?

阿部:ユーザーが検索するときに、似たような項目がいくつもあると分かりにくいですよね。だから、例えば、名刺情報の編集方法と削除の方法は同じページにまとめました。

小父内:あとは、サービスを改善していくうえで、ユーザーがどのようなことで困っているのかを知る必要があって、問い合わせの分析もしたね。地味だけど、ユーザーの目線を知るうえでは一番重要なことだから。

自分の頭で回答を考える力が大切

──阿部さんは新人のトレーニングにかなり注力している印象ですが、サポートの業務を教えていくうえで、一番大変なことは何ですか?

阿部:最低限のヒントで、ユーザーへの正しい案内を考えてもらうことが、すごく難しかったですね。なかなかうまくいかないときには、いい加減お互いに疲れてくるのですが、10個くらいヒントを出すこともありました。

──答えは言わないんですね。

阿部:言いません。サポートで一番大変なのは、似たような問い合わせだとしても、ユーザーによって回答すべき内容が違うところなんですよ。ひとつの答えを教えるのは簡単ですが、それだけが正解だと思い込んでしまうと考える力が身につかないので、自分の頭で考えながら覚えてもらっています。

──ときには、意図せずユーザーが求めていない回答をしてしまうこともあると思いますが、どのようにフォローしているのでしょうか?

阿部:今はある程度しっかりしてきているけれど、最初はどうしても難しくて、かなり厳しく言っていました。たまにユーザーが求めていない回答をしてしまったときには、まず一緒に考えてみます。「何がよくなかったんだろうね」ということを振り返ったうえで、どのように回答するのが正解だったのかを尋ねます。自分自身で改善点に気づいてもらってから、改めてユーザーに丁寧な回答と、謝罪の文章をお送りします。とにかく考えてもらうことが大切ですね。

小父内:今までは阿部さんだけだったからよかったんだよね。ただ、新しく人が増えていくなかで、問い合わせに対する回答の質を、チームとして一定のレベルまで引き上げる必要が出てきた。この1年はチーム力の底上げに相当力を入れてきたね。

理想は、サポートデスクすらいらない状態

チームの枠を超えて、若手を温かく見守っている。仕事で苦戦していると、こっそり励ましのメッセージをくれることも。

──先ほどから、小父内さんから「地味な改善を重ねてきた」という表現が何度か出てきましたが、サポートチームは、営業のように売上を達成して喜んだり、それによって評価されたりすることは少ないかと思います。だとしたら、サポートメンバーはどのようなポイントで評価されるのでしょうか?

小父内:そうなんだよね(笑)。だからこそ、前期は、問い合わせをもらってから返答するまでの時間を速くしようという、数値で測れる目標を立てたんだよね。それを達成して、社内に周知できたのは大きかった。ただ、難しいよね。例えば、退会するユーザーが減ったとしても、僕らの影響かどうかは分からない。やって当たり前という見られ方をする。成果に直接結びつきにくいから、社内ではどうしてもコストセンター(※)として見られることが多くて、そうした意識をまずは変えていく必要がある。

阿部:一発回答率(ひとつの問い合わせに対して、一回の回答でユーザーの問題を解決する割合)が高くて、返答も速いことが自慢。ただ、一発で回答できるような問い合わせをよくもらうということは、もしかしたらユーザーが自己解決できることも多いんじゃないかと思っています。理想は、できるだけサポートを必要としないサービスをつくること。だから今後はさらにヘルプページの改善に力を入れて、問い合わせの数を減らすことが今期の目標です。

小父内:ユーザー自身で解決できるプロダクトであることが、やっぱりユーザーにとって一番だから。問い合わせをする手間さえかからないのがベストな状態だよね。

問い合わせをもらってから返信するまでの時間。4か月前(2018年2月)の実績と比べると約18時間分、返信が速くなった。

※ 費用だけが集計され、利益が集計されない部門のこと。ここでは、事業への貢献度を低く見られがち、という意味合いで使われている。

──最後に、仕事をしていて嬉しいと思うことや、やりがいを教えてください。

阿部:ユーザーからの「解決しました!ありがとうございます!」という言葉が嬉しいです。

小父内:僕はマネジメントをする立場なので、阿部さんがこうして喜んでいることが嬉しい。返答時間を速くする目標を達成して、それをみんなに伝えられていることもすごく嬉しいわけですよ。普段、そうした達成感を味わうシーンは少ないから。さっき説明したように、サポートはやって当たり前の仕事だと思われがちだけれど、黙々と作業をこなすだけだと辛いよ。メンバーが目標に向かって自走して、楽しくやれたら最高だよね。彼らがそうした働き方をできる環境をつくることが、僕の役割だと思っている。

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Chika Murakami
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Eight事業部 コンテンツストラテジスト