エンジニアのキャリア設計で重要な3つのポイント

この記事は、eureka Engineer Advent Calendar 2017 24日目の記事です。
23日目は恩田さんの「SREチームのミッションを体現するシステム設計思想」でした。

皆さん、メリークリスマス🎄🎅🎁
エウレカ社内でエンジニアだということを忘れられて久しい、元CTO、現CEOの石橋です。
2016年のアドベントカレンダーに引き続き、イブの夜の記事をお届けします。

今年のテーマは「エンジニアのキャリアについて」です。
ITエンジニアという職種自体が、まだまだ歴史が浅く、ロールモデルも明確ではありません。この先、ますます混沌としていく社会をエンジニアとして腕一本で生き抜いていけるのかという不安を持たれているかたも多いと思います。私自身も18歳でWebエンジニアとしてこの世界に入ってから、キャリアを積んでいく中でさまざまな葛藤がありました。
そんな私が、エンジニアが自身のキャリアを考えるにあたって重要だと思う3つのポイントを記したいと思います。

1. キャリアとはConnecting the dots.

ビジネスを遂行する上で大事だと言われている、逆算思考という考え方があります。たどり着きたいゴールから逆算してマイルストーンを設定し、そのマイルストーン達成の課題とソリューションを考えることで、確実に目標達成をするという手法ですね。
エンジニアはロジカルにものを考える癖が身についているので、逆算が得意であり、逆算思考でキャリアを考えている人もいると思います。
しかし、僕はキャリア設計において逆算思考は適さないと思っている派です。
理由は二つあって ①人の視座はキャリアを積むにつれて上がっていくもの、②逆算して設計するには人生は長すぎる、からです。

①はメタップスの佐藤さんのブログがわかりやすいです。視座ではなく能力の話にはなっていますが根本の考えかたは一緒で、最初に自分が目指したいと思っていたゴールが数年たったらもっと大きなことができるようになるのでは無いか、とかもっと重要なことがあるのではないか、と思えるようになる現象です。
②は経営でもそうですが、実際どんな優れた経営者でもせいぜい2–3年先くらいしか見えないと言います。

つまり、最初から逆算思考で10年、20年先のキャリアをしっかり設計するということは、その人の人生において相対的に視座が低い時期に設定したゴールにおいて、変数が多すぎる不確実な予測をすると言うことになるのです。
結果的にはゴール設定もプロセスも大きくずれてきて、それにまた悩むことになるので、それであれば初めからしないほうが良いという考えかたです。

なので、せいぜい2–3年先どうなっていたいかくらいだけ考えて、その理想像から足りないスキルとかマインドセットを仕事やプライベートの勉強を通して鍛えていくの繰り返しが、Connecting the dotsとなり、結果的によいキャリアを形成していくことにつながるのではないかと思います。僕自身も、その時々で自分がなりたい像を2–3年単位で定めて逆算してコミットしての繰り返しで、エンジニアリング、ピープルマネジメント、ビジネス、マーケティングなど様々なスキルを身につけて、今このポジションにいます。振り幅があまりに広いキャリアだったので道半ばで自分がどこに向かっているか一瞬わからなくなることもありましたが、結果として身につけてきたスキルやマインドセットは全て今の仕事に活きていると感じています。

つまり逆算思考でキャリア設計をするのがダメというより、長期スパンで見すぎることは返って自分を苦しめたり、可能性を潰してしまいかねない、ということですね。
逆に言えば短期での逆算思考、つまり2–3年先くらいは具体的に考えていないと、なんのスキルアップ、マインドセットの向上もできないまま2–3年を過ごしてしまうことになりかねません。あくまで短期スパンではしっかり目指すべき姿とそこに辿りつくための逆算をしていくことが重要です。

2. ビジョンと大局観

先ほどビジョンから逆算的にキャリアを積むのは難しいという話をしました。
今度の話は一見それと矛盾するようですが「ざっくりどこに向かいたいのかの長期的なビジョン」と「ざっくり見てそこにちゃんと向かえているかの大局観」がないと、人はフラフラしてしまいがちという話です。
2–3年ごとに逆算して生きていくと、2–3年ごとくらいにキャリアを考えることになります。そのタイミングで、ビジョンがない人はバズワードやなんとなくイケてそうな会社が魅力的に見えてしまい、フラフラする傾向にあります。そういう時に、そもそも自分はどこに向かえばよいのか、とか今やっていることとこれからやれることの延長線にその”向かうべきところがあるか”を見極められると、フラフラせずに、地に足のついたキャリアを歩むことができると思います。

エンジニアであれば、パッと思いつくだけでも様々なビジョン設定ができると思います。
GoogleやFacebookで働けるレベルのプロフェッショナルエンジニアを目指す。エンジニアリング・マネージャーとしてVP of Engineeringのようなポジションを目指す。ビジネスとテクノロジーを融合させた考え方を持つCMT(からのCEOとかもありえる)になる。それとも技術やエンジニアリング手法を使うことよりも知って広めることが好きでエバンジェリストになる、などなど。
ここで重要なのはビジョンは別に変わってもよいということです。大局的にキャリアを見て、地に足をつけて生きていくためにとりあえずでも設定しましょう。そのビジョンを目指していく過程で、ビジョンが変わることもあれば、ますますそのビジョンに傾倒していくこともあるでしょう。
だから、本当はどうなりたいのか?と、そこまで深く考えずに、まずはこれを目指そう、そこに向けて直近2–3年だけ足りないことが何かを考えていけばいいのかなと思っています。

3. テクノロジー・トレンド

Connecting the dots的考えでの直近2–3年の逆算、ビジョンと大局観、これに加えてエンジニアとして生きていくのにテクノロジー・トレンドのウォッチは欠かせません。

僕がテクノロジー・トレンドを見る時に一番参考にするのは、ガートナーが発表するテクノロジー・トレンドに関するプレスリリースです。
最新の発表を見て、僕は今大きく4つのカテゴリに分けてテクノロジーを見ています。そしてそれぞれのカテゴリがエンジニアのキャリアにどのように関わるか、我々のビジネスにどう関わるか、という2軸で見ています。ここでは主にキャリアについての影響を記します。その結果、少し乱暴な区分け&考察をしていますが、悪しからず。。

  • New Interface / Business Platform
    多くのアプリ開発エンジニアが影響を受けて、またキャリア形成に関わりやすいはこの分野だと思います。AR/VR/立体ホログラフィック・ディスプレイ/ヒューマン・マシン・インターフェースなどが該当します。
    またBusiness PlatformはそのInterfaceを利用した電子商取引のプラットフォームを指します。iPhone/iPhoneアプリというInterfaceに対して、AppStoreはBusiness Platform、のような形ですね。Amazon Echo/Amazon AlexaというInterfaceに対して、AlexaスキルストアというBusiness Platformがあるのも同様です(まだ課金等の機能は無いようですが)。
  • Under the hood
    Under the hoodはInterfaceと対になる”中身”という意味合いで僕は使っています。
    機械学習、深層学習、ブロックチェーンなど、プロダクトの各プロセス上のどこにでも介在するような技術をさします。XXX (is) everywhere的な技術とも言えます。
    やはり、この分野はコンピュータサイエンスの基礎、数学の基礎がしっかり備わっている人が強いです。インターネット界隈のソフトウェア・エンジニアの中には、理系出身ではない人も多いと思うので、そういう人は”この分野は得意な人に任せる”という判断もありだと思います。また、データ量や実装をハードに試せる環境などが無いと深みを出しにくい部分でもあるので、仕組みをしるためにちょっと試すくらいならよいと思いますが、中途半端な環境で深入りしてもその時間がスキル・経験の伸びに比例しないこともあります。
  • Infrastructure
    これは、量子コンピューティングや5Gとかですね。
    ここはもうこの分野の専門家に任せて、これらのテクノロジーよって”何がもたらされるのか”に注視していきましょう。
  • Package
    複数の技術を組み合わせたものです。4Dプリンティング、自律走行車とかですね。これは、これ自体がビジネスになるので、このビジネスをやりたいという人がコミットすべき領域かと思います。

こういったトレンドを見て、自分のキャリアに対して、それぞれのテクノロジーがどういう意味を持つのかを考えていくと、将来への漠然とした不安は和らいでいくと思います。

番外編

最後に、これは新卒向けとかの話ですが、キャリアについて考えすぎる前に、まずはしっかりベースの力を身に付けようという話です。
これについては僕がCTOの時に書いた記事「新卒エンジニアが心がけるべき5箇条」があるので、そのままそのリンクを貼りたいと思います。

という感じで、eureka Engineer Advent Calendar 2017「エンジニアのキャリア設計で重要な3つのポイントについて」でした。あくまで私個人の持論ではありますが、年末・年始はキャリアについてゆっくり考える時間でもあると思うので、その際に少しでも参考にしていただければ嬉しいです。

明日はいよいよ最終日!弊社CTOのkaneshinによる記事をお届けします。お楽しみに!