採用広報担当がエンジニアと信頼関係を構築するための5ステップ

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9 min readMay 30, 2016
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エウレカで採用広報を担当している庄田と申します。


今日は、採用広報担当者が社内のエンジニアと信頼関係を築くには?という問いに対しての庄田の回答をお伝えしたいと思います。

そもそもなぜ採用広報担当者とエンジニアは信頼関係を築く必要があるのか

一見、エンジニアと採用担当者はコミットすべきKPIも違い、専門性にも大きな乖離があるので、信頼関係を築く必要がない、もしくはとても難しいと思われがちかなと思っています。
ですが、エンジニアが必要不可欠な企業(プロダクトを要する等)においては、採用広報担当者とエンジニアの信頼関係はとても重要だと感じています。
その理由は以下の3点です。

現場と広報、採用上のミスマッチを防ぐ

採用担当は、プロダクトに携わる社員全員にとってのメリットを候補者様に伝える必要があります。エンジニアとその担当業務に対しての深い理解がなければ、100%仕事のメリット、魅力を伝えることはできません。

優秀なエンジニア社員からのリファラルリクルーティング

エウレカでは、現状の採用の80%が社員紹介になっています。
この状況を作り出すには、言わずもがなエンジニアとの信頼関係とそれに依拠したコミュニケーションが必要です。
プロダクト、開発にコミットしたいエンジニアの方々が大半である中で、積極的に採用活動にコミットしてもらうためには、会社への当事者意識と採用の重要性の理解が必要だと思います。そしてそれをうまく引き出す責任者は採用担当なのではないかと思っています。

採用の質とスピードを高める

事業の技術文脈での広報にはエンジニアの協力が必要不可欠なのは言うまでもありません。
優秀なエンジニアの人たちが勝手に集まってくるような企業があればそれは本当に素晴らしいですが、通常はそんなに簡単にはいきません。会社の魅力を適切に広報していくことが必要で、それは採用担当者一人では絶対にできません。
世の中の技術潮流を理解しつつ、適切にコンテンツを作り、配信をしていく。そのためにはエンジニアとの効率的なコラボレーションが必要です。




上記の三点の理由から、採用担当者とエンジニアの信頼関係が求められると感じています。
それでは、ここから信頼関係を効率的に作るためのプロセスを、庄田の実例を交えてご説明したいと思います。
これはあくまで一つの考え方ですが、現状のエウレカでは信頼関係が担保されているという前提に立ってお伝えしようと思います。
皆様に有益なものになれば幸いです。

採用広報担当者がエンジニアと信頼関係を構築するための5ステップ

1.お互いのミッションを理解する

上記でも触れましたが、採用広報担当者とエンジニアのミッションは全く異なります。採用担当者はシンプルに企業広報と採用がミッションですが、エンジニアの人たちには多岐にわたるミッションが存在します。担当領域(アプリケーション、インフラ、ネイティブ、フロント、アルゴリズム)でも違いがあるのはもちろん、担当プロダクト、さらに細かくいえばチケット単位で違います。


また組織上の役割も存在し、アーキテクチャ自体まで責任を持つテックリード的なポジションのエンジニアもいれば、マネージャーとして教育にもコミットしているエンジニアもいます。


彼らのミッションを具体的に理解し、あるべき人にあるべき依頼ができるかどうか、これは1ステップ目としてとても大事です。
例えば、簡単な例で言うと、Pairsのアーキテクチャについてのインタビュー依頼を頂いた際に、Androidアプリの特にUI実装を担当しているエンジニアだけにインタビューを受ける依頼をするのは、ちょっと違うかもしれません。


また、プロダクト全体として実装の負担がかかるタイミングは変わってきます。大きな機能改善のリリースタイミングにはインフラエンジニアの工数をもらうのは厳しいでしょうし、iOSのアップデートに対しての対応が急務なタイミングでiOSエンジニアに大量に依頼はできません。
そういった機微を感覚的にでも理解できることが必要です。


また、業務内容とは別に、めんどくさいオペレーション周りや、予算、会社との調整はすべて当然のように採用担当者がやる、エンジニアしかできない部分を理解し、依頼するということは大前提として忘れてはいけません。

2.密にコミュニケーションをとる

これは1に含まれることかもしれませんが、1の理解に基づいたコミュニケーションをとることが必要であるという意味でステップ2にしています。
信頼関係はコミュニケーションに依存して作られることは自明なので、コミュニケーションをとることは当然なのですが、いろいろな採用担当の方々と話をしていて思うのは、ここが足りていない人が多いのでは?ということです。


例えば、広報観点でどのタイミングでどんなコンテンツを配信すべきか、どんなイベントを打つべきかを考える際に、密なコミュニケーションなくして適切な判断はできません。
以下のような会話があれば広報もとても効率化されるのではと思います。

庄田:最近なんか新しい技術の導入とかしてみたの?
エンジニア:RXJavaをAndoridアプリに導入してみました、結構便利でした!
庄田:お、じゃあそれ記事書いてみてよ!

とか

庄田:Go界隈って最近ちゃんと盛り上がってるんですかね?
エンジニア:んーはじめようかなーと思っている人は多いと思うけどなかなか機会がなくて手を出せない人がおおい印象ですね
庄田:じゃあもくもく会うちでやってみますか。

みたいな感じで採用広報担当者としても社員の開発の現状だけではなく、世の中の技術潮流についてもキャッチアップができ、世の中のニーズを汲み取ったアウトプットができるようになると思います。


最初はランチに行きまくるでも飲みに行きまくるでもよいので、少しずつコミュニケーションを増やしていきましょう。

3.自ら技術トレンドをキャッチアップする

ここはとてもハードルの高いことかもしれません。ステップ2.でも触れましたが、技術トレンドの理解がなければ、世の中のニーズにあったイベント、コンテンツは作れないし、採用担当者の知識だけでそもそも価値のあるイベントを企画できるとは思いません。


具体的に実践していることは、エンジニアと密にコミュニケーションをすることに加え、

  • ATND,connpass等をウォッチして、どんなイベントが多いのか研究する
  • RubyKaigi,Go Conference,DroidKaigiなど、大きなカンファレンスの登壇内容、登壇者を観察する
  • 他社さんが実施している一社開催のカンファレンス等のレポートを読む
  • 自分で何か作ってみる(iOSアプリとか、Node.jsを使ってチャットを作ったりなどしました)
  • エンジニアとBotとか、APIを使って戯れてみる(昔は学生とYo APIを叩いて戦っていました。w)

のような内容です。
これらを通して、一瞬で枠が埋まるようなエンジニア向けイベントとか、支持される記事はどんなものなのかを自分なりに考えること、そしてその考えを持ってエンジニアの人たちと話をすることは信頼関係の構築にとって、とても大事です。


採用広報担当者はWeb系のスタートアップ、ベンチャー企業にはそこまで多い人数いないことがしばしばです。弊社も現状は庄田一人で担当しています。
そんな採用広報担当の仕事内容に、エンジニアが興味を持ってくれたら嬉しいのと同じく、エンジニアの人たちも興味を持って技術を学ぶスタンスを持っている人には好意的になってくれるはずです。

4.一緒に技術広報にコミットする

上記をすべて実践しつつ、タイミングを見てミッションが別の状況ではなく、共通のミッションを持って、一緒に目標達成をする部分を作る必要があります。
ここまで来てエンジニアと培った信頼関係をもって具体的な価値を作るタイミングに入ってくると思います。


そしてここで重要なことは、定量的に図れる目標を共有すること。エンジニアはファジーな依頼や、完了条件が規定されていない依頼は好みません。
お互いに議論を重ね、納得感があってかつ、計測可能な目標を持つようにする必要があると思います。


例えば、エウレカでは、広報上とても重要なTechBlogのKPIをエンジニアと採用広報担当で共有しています。
そして、計測可能な目標にするために、指標を設けています。
その指標は、PV数でも、UU数でもSEOパワーでもなんでもよいですが、エウレカでははてぶを採用しています。


採用した基準は、

  • エンジニアへの広報上意味のある指標であること
  • 全員が統一して貢献ができる(記事を書けばいい)こと

の二つです。


現状では現場のエンジニアマネージャーと採用担当でTechBlog編集部を設け、その組織で月間はてぶ数の目標を追っています。
あくまでも全社の目標ではあるが、責任は編集部(採用担当+マネージャー)で持つという状況を作っています。


この形を作ったことで、エウレカでは定期的に一定数の記事が作成され、広報にとても役立っています。
また、全社的な目標を掲げ、それを達成することを持って、会社全体の成功体験となり、根底の信頼関係を作ることにも大きく寄与しています。

5.一緒に人材採用のKPIにコミットする

最終形はこの状況です。この局面までくると、逆に一程度の信頼関係が担保されているはずです。
具体的には、月間の採用人数、エントリー数に一緒に目標を持ちます。
エンジニアの方々が真剣に採用にコミットしている状態は本当に理想です。
でも自分の仲間を探すのだと考えたら当然っちゃ当然なのかもしれません。


そしてその達成というさらに大きな成功体験をもって大きな信頼関係と文化を作るまでが採用担当者としてやるべきステップです。

最後に

上記でご説明させていただいた内容はあくまで僕の主観であり、絶対ではありませんし、他にも正解はあるかもしれません。ご意見いただければ幸いです。
また、エンジニアの方々はもっとこうしてほしい等アドバイスがあれば是非お待ちしています。


ただ、5ステップなんて書いて色々述べましたが、採用担当者が最もコミットし、結果を出すことにこだわるスタンスが実際には一番大事であることは間違いないと思っています。

アウトプットを出す、結果を出すことが信頼関係を作る上で何よりも重要であることは、ここに追記させていただきます。


以上何かお役に立てば幸いです。

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