視聴画面の向こう側のハイブリッド配信未経験者が経験した一年
Eureka Advent Calendar 2023 の 19日目!
こんにちは。Pairs の Back-end Engineer の buzzです。
最近の勉強会やIT Conferenceではオフライン回帰が活発になってきたと思います。しかしcovid 19で外出が自粛ムードになっていた時の、リモートからURLを叩くだけで簡単に参加体験を得られるあの手軽さも捨てがたく、ハイブリット開催を求める声がとても高まっていると感じています。
僕はちょうどハイブリット開催の需要が出始めた頃に配信に携わり始め、1年弱が経ったというところです。
そこで、本エントリでは配信未経験の自分が1年間かけて注力した配信とその魅力に関して書きたいと思います。
配信との出会い
配信との出会いはちょうど1年前に開催された、CloudNativeDay Tokyo 2022の運営メンバー募集のツイートを見かけたことです。
CloudNative Daysは、クラウドネイティブコミュニティの有志が主催するカンファレンスです。コミュニティ自身がクラウドネイティブを実践しながら、イベントプラットフォームの開発・運用と動画配信を行っていることが特徴です。私がJoinした2022年は新たな試みとして、初のハイブリッド開催会を行い、ソフトウェアによるオンラインとオフライン体験の統合・変革に向けた一歩を踏み出した会でした。
応募した理由は二つあります。
- エウレカへの転職が、SRE NEXT経由でのnari, ogadyからのリファラルだったこともあり、外との繋がりを持っておくことは重要性だなと思っていた。
- 社外の優秀な方と仕事して良いところは学んで、日常の自分の仕事に取り入れたいと思っていた。
当時のCloudNative Daysでは以下の6つのチームの募集を行っていました。
Contents:CloudNative Daysセッションを中心に、コンテンツ全般の企画・設計
Dreamkast:イベント基盤システム(Dreamkast)の開発・運用
Broadcast:配信システムの構築・運用、自動化などの技術検証
Observability:カンファレンス活動全体の可視化、Garafanaダッシュボードの開発:
Promotion:対外的な情報発信チャネルの開発・運用(Twitterアカウント、ブログ執筆、プレイベント等、将来的にはサイト構築も視野に)
Creators:CloudNative Daysのクリエイティブな制作物のデザイン(ロゴ・グッズ・ウェブサイト等)
元々はインフラ基盤開発・構築で手を動かしたいなという思いからDreamkast, Observabilityチームを希望していました。
しかし応募が殺到して満員になったのと、当時のBroadcastチーム(通称:EMTEC)のプレゼンターをしていた jacoさんのプレゼン中にあった「CloundNative Daysでは自前で用意した最先端の配信プラットフォームを活用したチャレンジングのある配信環境がある」という言葉に興味を持ち、EMTECにjoinすることになり、私の配信活動が始まりました。
EMTEC発足の歴史や詳細はこちらに書かれているので是非ご覧ください。
配信を始めた当初
話している言葉が全然ワカラン\(^o^)/オワタ
って感じでした。半分冗談ですが半分本当ですw
EMTECチームは定期的に配信アーキテクチャの検証会を行っているのですが、チームにJoinした当初は話している言葉がナンモワカラン状態でした。
上記は極端な例ではありますが、普段のエンジニア業務では登場しない特有の言葉が多く、少し困惑しました。ただ都度優しく教えてもらえたのですぐに慣れることができましたね。
普段の業務でも新しい技術領域を触る際に知らない言葉はたくさん出てくるので、知らない言葉や略語に対する耐性はあったのかもしれません。
配信ができるようになるまで
そんな配信初心者の僕が、どのようにして配信ができるようになったのかを振り返ると「実際に構成を組んで有識者にフィードバックをもらうことを繰り返した」ことが一番デカかったです。
具体的には、
- 以下の図のような配信の構成図を渡される
- 自分主体で組み立て始め、途中で不明点が出てきたら有識者に質問してをもらいながらも作りきる
- 実際に組んだものがあっているか答え合わせをしてもらう
1〜3を何回も繰り返すことによって自分で組み立てられるようになってきたと思います。
ただそもそもの話ですが、普通の人だと
- 機材を揃えるコスト面での障壁
- 配信を教えられる人材がそもそもいないという知識面での障壁
が高いかなと感じました。
なので僕の場合は、決して安くはない大量の機材を自由に触れられる環境とそれらをわかりやすく教えてくれる知識豊富なメンバーに囲まれた という環境面でのハードルがほぼなかったことがとても大きかったなと感じています。
配信始めて1年経った今はどうなの?
なかなか現場によって使う機材も変わってくるので一概にはいえないのですが、以下の配信図で言うと中身を理解して配線することは一人でできるようになったと思います。
一方で、最近メインで使い始めたビデオスイッチャーである、ローランドのVR-6HDという機材はまだまだ。1台でビデオスイッチャーにも、オーディオミキサーにも、エンコーダーも担える逸材なんですが、機能が多すぎる分、まだまだ使いこなせていないです。
ローランド Direct Streaming AV Mixer VR-6HD
他にも配信の度に新しい機材を使ったり、プラグイン開発してソフトウェアでのコントロールを試みたりとかしているので、毎回楽しみながらキャッチアップしている感じです。
それで言うと、ベースの知識はついてきたのでキャッチアップは簡単になりましたが、配信の構成が毎回変わるので都度勉強しながらついて行っている状態ですかね。
配信ができるようになってあったいいこと
大きく二つあります。
- ガジェットやテクノロジーへの興味が大きくなった
- 人との繋がりが広がった こと
1に関してですが、探求心や好奇心駆動での新たな学びの欲求が大きくなったと感じました。構成を組んでて上手くいかない際は「なんで思う通りに動かないんだ!」という気持ちになるのですが、試行錯誤を経て上手くいった時のアドレナリンがやばいです。「もっと複雑な機器や触ったことのない機材を触ってみたい!」といった欲求が強くなります。
テクノロジーに対する探究心や好奇心が強くなることはエンジニアにとってはいいことだと思っており、業務中でも新しい技術に興味が出たりといい好循環をもたらしたと感じています。
ただ、好奇心に正直になりすぎて今年1年でビデオスイッチャー、音声ミキサー、カメラ×2、レンズ×4、車などと色々買い過ぎてしまいました。現実を見るのが怖いので深く考えるのはやめときますw
2に関してですが、今年はPlatform Engineering Meetupでの配信の依頼を受けたり、SRE NEXTやLoungeでも配信のお手伝いをするなど多方面でお声がけもらうことが多くなりました。
去年までの勉強会の参加は、移動コストがない分業務の調整も効きやすかったので、楽な方に流れてオンラインでの参加がほとんどでした。
一方配信担当だと自分が現地に行かないと勉強会の開始自体ができないため、無理矢理業務を調整してでも現地に向かうことが多かったです。
ただ現地に行けば行くで、色々な方と直接話して交流ができるので、結果的に多くの方と関わる機会が増えてよかったです。
いずれにせよ元々自分が勉強会に求めていた、外部との繋がりが広がったので配信にチャレンジしてとても良かったと思います。
まとめ
配信スキルを身につけられたお陰で、それが技術コミュニティに還元され、都合が合わず現地に来れなかったオンラインの視聴者の元に映像と音声が届く。ことはとてもいい流れだと感じています。
現に僕も一参加者として現地に行けなかった時にパッとURLを開くだけで視聴できる恩恵を受けることも多いです。
だからこそ今後は関東圏だけでなく地方での配信ももっと増やしたいなと思っています。カンファレンスは関東圏で開催されることが圧倒的に多いですが、地方の取り組みもとても面白いものが多いです。
実際に今年もCloudNative Days Fukuokaで福岡の取り組みを全国に向けて配信したのですが、登壇したいがカンファレンスだけのために関東に来れない人も多いと思うので、そのような方に登壇の機会を用意するだけでなくそのノウハウを全国の人に聞いてもらい、この業界をもっと盛り上げていきたいなと考えています。
それでは。良いお年を!