“Immersed VR” でディスプレイごと作業環境を持ち運ぶ
この記事は「Eureka Advent Calendar 2023」18日目の記事です。
前回は BI Team Yu Sakamoto による「新卒1年目data engineerがdbt×Dagsterでオーケストレーションしてみた」でした。
こんにちは!いつもVRの記事ばかり書いている Web Front-end Team のBOXPこと竹内( @b0xp2 )です。
今回もまた業務とは直接無関係な内容の記事となりますので、あらかじめご了承ください。
はじめに
今年の前半まで続いていた COVID-19 による影響も落ち着きまして、今年は少しずつオフィスでの業務が増えてきた年でした。
しかし、二年以上にも渡るリモートワークで作業環境を整えていたためか、オフィスでの作業が増え始めた頃にはどうオフィスでの作業環境とどう向き合っていくか、四苦八苦していた記憶があります。
そんな中でも悩んでいたのがディスプレイまわりで、弊社ではとても品質の良いディスプレイ ( 例えば Apple Studio Displayなど ) を利用できるのですが、自分は複数ディスプレイを使ったマルチディスプレイ環境でいつも作業をしており、その環境に慣れていました。
そんな背景からオフィスでも同じようにマルチディスプレイ環境にしたいと考えてはいたのですが、さすがにオフィスを広々と占拠してまでたくさんのディスプレイを並べる気にはなれない…そう思いつつ妥協していました。
しかしそんな中、そもそも物理的なモニターを使用せず、 VR 機器をマルチディスプレイ代わりにする事ができる Immersed VR というソフトウェアの存在を知りまして、これを使えば自宅でもオフィスでも同じマルチディスプレイ環境を持ち運ぶ事ができるのでは?と期待が沸いたことから、実際に今年の 7 月頃から使いはじめました。
今回の記事はそんな Immersed VR についての紹介です。
Immersed VR とは
Immersed VR はアメリカのベンチャー企業 Immersed 社 が開発するソフトウェアで、 Meta Quest シリーズや Pico 4 などの単体で動作可能な VR 機器と、PCを接続する事で VR 機器が PC のディスプレイ 1~ 5 枚分の代わりの働きをしてくれるソフトウェアです。
実際には VR 空間上でアバターになって他の人とディスプレイを共有して協業する機能など他にも様々な機能があるのですが、詳細については先述の紹介ビデオや公式 HP を参照頂くとして、特に強調したい特徴は以下の二つです。
① ゲーミング PC でなくても利用できる
驚くべき事に、 Immersed VR は Windows/Linux/Mac のどの OS を搭載したどの PC でも利用でき、かつ高性能な GPU を搭載していない PC でも問題なく利用できます。
例えば、筆者は CPU 内臓の GPU しか搭載されていない ThinkPad X1 Carbon Gen 10 を普段使用していますが、最大のディスプレイ 5 枚では少し厳しいもののディスプレイ 3 枚程度までであれば快適に利用する事ができます。
これは本当に素晴らしい事で、一般的にこの手の VR 専用ソフトウェアはハイスペックなゲーミング PC でないと動作しない事が多いのですが、 Immersed VR に関しては VR 機器と何かしらのノート PC があればすぐに利用する事ができます。
② VR 空間に没入しながら作業するモードと、現実空間を見ながら作業するモードを切り替えることができる
Immersed VR では、物理的なディスプレイの代わりに VR 空間上にディスプレイを配置してそれを見ながら作業する事になります。
しかし、Meta Quest シリーズや Pico 4 など、最近の単体で動作する VR 機器にはパススルー機能 ( VR 機器に搭載されたカメラに映る映像を VR の映像と一緒に表示する機能 ) が搭載されており、 Immersed VR ではこの機能を使って、あたかも現実の視界の中にマルチディスプレイが設置されているかのように利用することもできます。
この機能はいつでも手のひらに現れるインターフェースを反対の手の指やコントローラーでタップする事でワンタップで有効 / 無効にすることができます。
この二つによって、 Immersed VR を使うと一般的なノート PC と VR 機器を持ち運ぶだけであたかも 1 ~ 5 枚のディスプレイを設置した作業環境を丸ごと持ち運んでいるような体験が得られる事になります。とてもロマンがありますね!
と言うわけで、ここからは実際に試してみた話へ移ります。
実際の使用感
この動画は、実際に自分がいつも Immersed VR で使用している Meta Quest Pro 内臓の録画機能で撮影したもので、エンコードによりかなり画質が落ちてしまっていますが、現実空間の映像の上に 3 枚のディスプレイが設置されている様子がわかると思います。これらは実際の視点ではもう少し解像度の高い 1440x900 の解像度で表示されており、現実の1080pのディスプレイには流石に敵わないものの無理なく文字を読める程度の解像感で表示できています。
ちなみに、このディスプレイの 1440x900 という解像度は ThinkPad のGPU性能に合わせて自分が下げたものであり、標準は 1080p で M2 Mac 等の環境であればおそらく 1080p のまま運用できると思います。
結論、 Immersed VR で表示できるディスプレイは自分にとっては十分実用的なものに思えて、実際に完全に仕事道具になっていますし携帯性も良くかなり満足しています。
最後にもし Immersed VR を使い始めてみたい場合にはどうすれば良いかについて簡単にまとめておきます。
Immersed VR を使い始めるには?
Immersed VR を利用するためには、接続する PC と VR 機器の両方に専用ソフトウェアの導入が必要です。この記事では細かい手順は説明しませんが、 Immersed VR 公式ページ の “DOWNLOAD FOR FREE” から PC のソフトウェアを導入でき、あとは PC のソフトウェアの指示に従って行けば問題なく利用できるはずです。
また、もしまだ対応する VR 機器を持っていない場合、基本的には 2023/12/18 現在 Meta 社の最新機種である Meta Quest 3 を購入するのがおすすめです。他の機種に比べて価格も安く、パススルーの画質や解像度などほとんどの性能が現行最高クラスの性能になっています。
駆け足ではありましたが、自分の一押しソフトウェアの Immersed VR の紹介でした!
既に VR 機材を持っていれば試して損はないと思いますので、ぜひ一度お試しいただければと思います。
それでは、よいお年を!👌