戦略の語り手として意識していること — Start with Why

この記事は eureka Advent Calendar 2018 25日目の記事です。


こんにちは、エウレカCTOの @kaneshin です。CTOに就任してから二年が経過し、常にPairsの事業戦略に基いた技術戦略やオンラインデーティングサービスならではのマッチングデータをどのように活用していくかのデータ戦略に思考を巡らせています。

また、Pairs事業を滞りなく推進させるためにプロセス基盤の強化も併せて遂行しています。

2018年の前半は技術戦略の策定やエンジニア組織の組成としてマネジメント方面に振り切り、後半は技術戦略の策定やマネジメントだけではない、CTOとして開発も半分以上出来るようなエンジニア組織を確立していくことに注力していました。

そんな2018年も間もなく終わりを迎え、本日は2019年に向けて待ったなしのAdvent Calendar最終日となるクリスマス🎄です。最終日のeureka Advent Calendarでは、マネジメントや戦略を伝える側が必ず意識すべきことについてお話します。

戦略に共感し、行動を促す

これを読んでいる人の中には、戦略策定者として事業やチームの責任者である人も多いと思いますし、これからそのような役割となる人もいると思います。
自分が戦略を策定しただけでは意味がありません。まず、戦略に共感してもらい行動につなげていかなければなりません。どんなに最高な戦略を策定したとしても、共感や方向性を示さないで行動を促すことは不可能です。

不確実性の多い事象を予測可能な課題へ

プロジェクトマネジメントの不確実性と似ていますが、タスクやスケジュールに対する不確実性ではなく、会社の持つビジョンに対して2、3年後に最速で近づくため、先の見えない将来に対して『何をすべきか』を予測可能な範囲にまで戦略に落とし込むことです。

つまり、会社が持つ経営戦略に対して、エンジニアリングが阻害要因とならないように1年後、半年後、3ヶ月後にどうあるべきかについて、常に思考を巡らせること。これは技術面の知識に限らず、経営戦略の背景理解はもちろんのこと、その先にあるリスクを少ない情報の中からどれだけ瞬発的に見出だせるかが重要になります。

また、思考を巡らせるときに『悩む』のではなく『考える』こと。考えるとは、最終的に答えが出るという前提のもと、自身の思考を構造的に組み立てて結論を見出すこと。ただ悩み続けて答えが出ないのは考えていないことと同義です。

多角的に物事を考える癖をつけたい人には、イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」をおすすめします。

ビジョナリーに語るための背景理解

ーなぜ、この戦略を実行するのか

人は「行動」をするときに、「価値観」に基づいた直感的な判断基準を動機付けとしています。この「行動」に当たる部分が “What” です。

戦略を策定後、 “What” = 『何をすべきか』を計画しますが、この “What” に “Why” となる『なぜやるのか』をビジョナリーに語り続けなければなりません。これは人の思考のプロセスとしては本能に沿った流れになるのでこれがなければ相手に理解してもらうことは到底不可能です。

“Start With Why” by Simon Sinek

また、自分が常にビジョナリーに語ることで新しい “What” が出てきても元にあった戦略を忘れずに思考や行動に移すことができます。

意思決定に重要なリスク・アセスメント

ーなぜ、この行動は実施すべきではないのか

不確実性の多い事象を確実なものにするために、様々な情報を収集して実行に移すと思います。この情報収集は誰もがやりますが『やるべき理由』しか集めていないのはどのような戦略であっても信頼するに足りません。

例えば、初めて登山をするにあたり『登頂して景色を楽しみたい』という目的にも関わらず、上級者コースを選択して怪我をしてしまっては元も子もありません。目的に沿ってそれを達成するにための障壁となり得るリスクを適切に評価して、それらを鑑みた意思決定をする必要があります。

技術においても細分化されたタスクの開発をするのはそこまで難しいことではありません。それこそ、ダニング=クルーガー効果の初期の自信を勝ち得たときは身につけるべき技術を身に着けたと勘違いすると思います。

しかし、エンジニアはそこから長期的に開発可能な設計であったり、障害をそもそも起こさないために事前に検知する仕組みやリカバリする手立てを十分に考慮に入れてプロジェクトの計画を行っています。
それと同じで、経営の意思決定においても、何かが起きてからでは遅いので、それが起きないように事前に起こり得る事象の洗い出しが必要になります。

視点=主語を意識して会話をする

今、自分はどのような立場で物事を議論・会話しているのかを常に忘れないこと。相手の理解度を高めるために、自分の視点を調整して会話をし続けること。

どれだけ “Why” を重要視して会話をしていたとしても、それが相手が現在所持している知識レベルから乖離していたら伝わるものも伝わりません。高校の先生でも、理解しやすい先生とそうでない先生がいたと思います。それぞれが相手の知識レベルを慮っているかどうかに差が出ているためです。

思考は事前にすべて終わらせる

会話をしている最中に物事を考えることは不可能だと思っています。思考は一朝一夕で終わるものもあればそうでないものもあります。戦略を語るのに話しながら考えることができたら天才以外の何者でもありません。

マネジメントでもそうですが、中途半端に回答を曖昧にして、その場で答えることが出来ずに持ち帰りとなるのは避けるべきです。もちろん、回答を持ち合わせていなければ持ち帰りはしょうがないですが、中途半端に回答をしてしまうことは相手に失礼です。

本来の目的を置き去りにしない

「どのようにやるのか」「何をやるのか」といった会話をしていると、当初の「なぜやるのか」から外れた “What” や “How” が出てくることがあります。これは無意識的によく議論の中で発生してしまうことなので、全員意識をすべきです。

「ランニングでいい結果を出すために軽いランニングシューズが欲しい」といった動機付けがあったときに、ランニングシューズを買う計画をしているのに、「今度テニスをやるからテニスでも使えるシューズの方がいいね。」のように、当初の『いい結果を出す』といった動機付けからそれてしまうことです。

おわりに

戦略を伝えるのは、事業を達成するのはもちろんのこと、企業を発展させていくために必要なことになります。
そして、ひとりでは戦略を推進していくことは不可能です。不可能なので、エウレカにいる全員で推進していくことで何倍もの速さで達成ができると信じています。

しかし、曖昧なまま戦略を伝えてしまうことは行動を促したとしても、ただ推進力を落してしまうことになります。口伝者は必ず、「なぜやるのか」から背景を適切に伝え続けなければなりません。

どんなに忙しくても、 “Start With Why” 「なぜやるのか」その行動は “Why” に結びついているか、点だけではなく線として物事を捉えることができているかを伝える側としてもしっかりと定めていければと思っています。

How great leaders inspire action by Simon Sinek