さよなら、スペースワールド。

Yusuke Haga
4 min readJan 10, 2017

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2016年12月中旬、twitterを眺めていると衝撃的なニュースが目に入ってきた。

「スペースワールド閉園へ」

北九州市八幡東区にある遊園地、スペースワールドが2017年12月いっぱいで閉園することが発表された。かなり衝撃的なニュースにデマなのではないかと思うほどだった。当然、僕の友人も驚きのコメントを寄せていた。信じられない、悲しい、寂しいなど、やはりどれも名残惜しさを感じるコメントばかりであった。

スペースワールドは一度2005年に経営破綻したが、運営を他の会社が引き継ぐことによってまだ運営されている。2005年当時、年末年始に親族が集まったときに、「閉園にならんでよかったねぇ」と話をしていたのを思い出す。そのときは私が小学4年生だったこともあるが、僕の周りで話題にしている人は少なかったイメージであった。しかし、今回は違う。twitterやFacebookで「閉園しないでほしい」という声を多く聞く。

僕も高校への通学にスペースワールド駅を毎日のように利用していたのもあるが、スペースワールドは身近にあった。土日の部活帰りにジェットコースター「ヴィーナスGP」に乗る人の甲高い声がこだましていた。僕は絶叫マシンが得意ではないので、絶叫している声を聞くと身がこわばる感じがした。

高校3年間ほぼ毎日のように使ったスペースワールド駅

僕とスペースワールドとの間で一番思い出に残っているのは、初めてスペースワールドに訪れたときの出来事だ。小学校4年生のときに毎年行われていた理科見学で訪れた。スペースワールドは文字通り宇宙をテーマにしているので、ちょうどこの頃小学校では星座のことを教えていたといったこともあって訪れた。午前中は、スペースワールドのスタッフの方から園内を案内してもらい、宇宙についてのことに学んだ。僕は、そのあと用意されている自由時間にしか目がなかった。お昼を食べ、いよいよ班行動で自由に園内を楽しむ時間がやってきた。激流くだりのアトラクションである「惑星アクア」、二人乗りのボートに乗って水面ダイブを楽しむ「ツインマーキュリー アドベンチャークルーズ」と誰しもが楽しめるアトラクションを楽しんだ。しかし、ここで当時の私にとって懸念していた事態が起きてしまう。絶叫マシンに乗ろうという流れになったのだ。それもそのはず、スペースワールドの売りは絶叫マシンだ。絶叫マシンの全国ランキングトップ10入りしているジェットコースターたちが待ち構えている。僕も含めて班員5名中2名が絶叫マシンが苦手だったので、全国トップ10レベルのジェットコースターに乗ることはなんとか回避できたが、ジェットコースターには乗ることになった。乗り終わったあと、苦手だった友人が腰を抜かしていたのが一番印象的だった。

きっと、北九州に住む多くの人が何かしらのスペースワールドとの思い出を持っているだろう。様々な思い出が詰まった場所が突如なくなってしまうという事実。それによって今各々が感じている虚無感こそがスペースワールドが北九州市民にもたらしていた影響と比例しているのかもしれない。観光都市北九州を目指すのであれば、なんとか市としても閉園を食い止める措置を取ってほしいと思うが、そこは大人の事情があるのかもしれない。

そんなことを思いながら、家からスペースワールド駅までの通い慣れた街並みを歩いた。久しぶりに見てみるとその立地の良さに気づく。周りにはイオンなどの商業施設、いのちのたび博物館や北九州八幡ロイヤルホテル、さらにはJRスペースワールド駅が徒歩数分圏内にある。さらには、イルミネーション映えしそうな広場も最近できた。素敵な場所にあるのに、お客さんも増えてきているのにもったいない気がしてならない。 考えれば考えるほど、もったいないと感じた。

スペースワールドとイオン

今後この場所がどうなっていくかはわからないが、 この場所がこのまちにとって素敵な場所になっていってほしいというのが個人的な想いだ。あと残り1年しかスペースワールドがスペースワールドとしては動かないかもしれない。しかし、最後の1年も多くの人の思い出やドラマが生まれる場所であってほしい。

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