つよく、ゆるやかに

Mei Someya
exploring the power of place
4 min readDec 19, 2019

私の大親友へ

お元気ですか。だいぶ寒くなってきたけど、体調はどうかな。

私たちは、歳が半年しか変わらないし、生まれた頃からずっと一緒だったね。覚えているいちばん古い記憶も2人の思い出だ。お気に入りのおもちゃで一緒に遊んだり、毛布にくるまって夜遅くまでおしゃべりしたり。楽しいことをたくさん分かち合ったし、たくさんぶつかることもあったね。お菓子を食べられて、口を聞かないときもあったし、テレビのリモコンをめぐって、髪を掴み合うような喧嘩もしたね。

私が日本へ来てからは、1年に1回会うか会わないかくらいになったね。あんなに毎日一緒にいたのにね。でも、新しい環境に慣れることで精一杯だったのか、不思議とあまり寂しさを感じなかったんだ。帰るたびに背が伸びていて、大人っぽくなっているのを見て、すごく羨ましかったなあ。その一方で、弱さも見せてくれていたね。「お母さんと話す時にどうしても強い口調になってしまう」って、泣きながら話してくれたときは、私も涙が出て、意味もわからず2人でわんわん泣いていたこともあったね。

この前台湾に帰ったとき、「久々に会った感じがしないね」と言ってくれたけど、私も同じことを思っていたの。短い滞在のなかで、お買い物に連れて行ってくれたり、美味しい屋台を紹介してくれたり、たくさんありがとう。頼もしくてついつい頼ってしまったなあ。だから、今年の1月に、長く付き合っている彼氏を連れて日本へ来てくれたときは、久しぶりに会えたのが嬉しくて、いつものお礼をしたくて、たくさんの場所へ案内しようと思ったんだ。スキー旅行をして、渋谷にもみなとみらいにも行って、少し無理させたかもしれないね。でも、とても楽しかった!

台湾へ帰る何日か前に、恵比寿で焼き肉を食べて、帰りにガーデンプレイスで、お互いに写真を撮り合ったのを覚えているかな。実はあのとき、なんだか不思議な気持ちになったんだ。こんなに仲が良いのに、なぜお互い別れが寂しくないんだろうって、疑問に思っていた。でも、あのとき、前を歩く2人の背中を見ながら、なんとなくわかったんだ。私たちはお互いにどこかで「また会える」って確信しているんだなって。違う道を歩んでいても、会おうと思えばいつだって会えるし、何かあったら、駆けつけてくれるんだって、わかっている。だから、物理的に離れてもいても、寂しくないんだね。

いつの間にか、私たちは大人になったみたいだね。それぞれにやりたいこともわかってきたし、それぞれにやらなきゃいけないことも増えた。もう一緒に住んでいないし、常に連絡を取り合っているわけでもない。それでも私たちはずっと、いとこであり、姉妹であり、大親友だ。

そういえば、来年台湾に帰ることにしたんだ。まだ日程は確定していないから、また連絡するね。じゃあ、また。風邪を引かないようにね。

めい より

私のいとこは、私よりも半年だけ年上で、身長は20センチ以上高い。キャビンアテンダントを目指していたと思いきや、突然歯医者へと大きく方向転換したり、付き合いが悪いように見えて、実は身内を誰よりも大切にしている。思い切りがあって情を大事にする、そんな素敵な大親友。

私たちは、好きな音楽のジャンルも、好んで着る服のスタイルもぜんぜん違う。得意としていることも、生活習慣もぜんぜん違う。でも、彼女が悲しいときは私も悲しいし、彼女が嬉しいときは私も心から嬉しい。

ほとんど顔を合わせないし、メッセージでのやりとりも頻繁にはしない。それでも、誕生日が近くなると、「今年はなにをプレゼントしようか」と考え、好きだと言っていたものを見ると、「今度一緒に来たいな」と顔が浮かぶ。いつもは自分たちの目の前のことにめいっぱい取り組んで、ときどきふっとお互いを思い出す。「最近元気?」と連絡をし、2から3ラリーでやりとりが終わる。

そんなふうに、つよく、ゆるやかに繋がっている。

2019.01 恵比寿へ行く前日。気づいたら同じことをしてた私たち。

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