大切なひとと、大切な時間

予備校で出会い、同じ大学に入った大切な友だちがいる。

初めて彼女に出会ったのは夏期講習だった。見聞を広めることに貪欲で、キラキラした目で物事を見て吸収し、考え探求する姿勢にとても驚かされた。それでいて、みんなと過ごす時間は本当に楽しそうに笑顔で会話をする姿を見て、好きだなあと感じた。

彼女が春から同じ大学に通うと知ったときはこれからの未来にわくわくした。クラスやサークルこそ違ったものの、お昼を一緒に食べては、たわいもない話でけらけら笑いあった。

先日、久々に彼女と夜ごはんを食べに行った。久々になった理由は私が会う約束をドタキャンしてしまったから。直前でどうしても外せない用事ができて、約束を2度も断ってしまった。私が彼女の立場であったらどれだけ悲しくて、いやな気持ちになるかを想像すると泣きたくなった。その日の用事が終わって、帰り途中に、謝りと別日にどうか会ってほしいという旨を伝えた。彼女は悲しかった思いを素直に伝えてくれて、次に会う約束をしてくれた。ここ数ヶ月は忙しい日が続いて、なかなか友だちと会う時間を優先できなかった。だったら約束するなよ、という話なのだが、彼女には定期的に会いたくなってしまう。色んな話をしたいし、聞きたいし、何より、一緒にいる時間が楽しいから。

大学に入って友人関係でこんなに冷や汗をかいたことはなかった。大抵のことはうまくやり過ごせていたし、相手にどう思われようと、一緒にいてくれるひとと過ごせればいいと思っていた。だけど、彼女は違った。彼女にいやな気持ちをさせてしまった後でも、仲良くしていきたいひとだった。

恥ずかしくて忘れてしまいたいような恋愛話、美味しくてほっぺたがおちるような食べ物の話、美しいと感じる芸術の話、将来の話、風情のある町並みやお店の話、彼女とそんな話をすることがとても好きなのだ。

夏に訪れた鎌倉の甘味処にて

そんな彼女が私に休学をしようと考えていることを告白した。私は「えっ、、」とごはんを運ぶ箸を止めた。「休学をして自分の挑戦したいことに時間を費やしたい」と言った。彼女はそんなことを考えていたのか、はっとさせられた。

少し迷いを浮かばせながらも、やってみたいんだという意志を伝えてくれた。決して楽しいと感じることばかりではないだろうけど、あるものごとに挑戦しようとする姿勢、好奇心がとても素敵で、うらやましいと思った。

その時ふと、研究会の先輩に「人生でどれだけの余白を持てるかって大切なことなんだよ」と言われたことを思い出した。私の中でも「余白」を選んで良かったと思えた経験がある。それは予備校で過ごした時間。その「余白」は私にとってかけがえのないもので、そのときに学び得た経験がいまの私を形作っていると思う。だからこそ、自信をもって大切なひとが選ぶ「余白」という時間を応援したいと思った。

会えない間に彼女はまたひとつ変わっていた気がする。彼女に感化されて私もこうでありたい、こういうことがしてみたいと思うことがたくさんある。彼女にとって私もそうでありたいと思った。そして、いつでも味方でいたいと感じた、そんな夜であった。