恵比寿の間取りは面白い!

jir
exploring the power of place
4 min readDec 19, 2019

私は間取り図を見るのが大好きだ。引っ越しの家で多いで育ち、数々の家(物件)を転々としてきたことが影響している。いつしかネットで物件情報を漁るようになり、それを眺めながら「この家に引っ越したらどんな生活ができるだろう」と妄想するのが趣味になった。それから1日10軒ほど物件情報を眺めるのが日課になっている。

ちなみに、個人的に個人的なおすすめ地域は台東区。新築タワマンから築50年の極小一軒家まで、多種多様な物件が並んでいる、いうならば「物件のサラダボウル」だ。毎日見応えのある間取り図がネット上に追加されているので、ぜひ探してみてほしい。

さて、そんな間取り図好きの目線から恵比寿について話そうと思う。

恵比寿はおしゃれなオフィス街がある地域で小綺麗な建物がたくさん並んでいる。その小綺麗さからか、眺めていても無機質で面白みを感じない人もいるだろう。しかし、そんな整った外観とは裏腹に、物件情報で間取り図を見てみると「えっ何この間取り!?どうしてこうなったの?」とツッコミを入れたくなるような奇妙な内装が多い。地価が高い分、限られたスペースにいろいろな要素を詰め込もうとして、思いもよらない奇妙な間取りが出来上がったのだろう。

JR恵比寿駅から徒歩14分/賃料10.8万円/1K

例えばこの物件。

非常に長細い。まるでイタリアのような形をしている。

専有面積が29㎡しかないのに対してこの廊下の長さは、廊下の壁の奥には何が入っているのだろう。この間取り図をはじめて見たとき、この廊下に自分が描いた絵を飾って小さな画廊を始めちゃうなんて遊びができるかもしれない、と思った。

建物全体としては、この縦長の家が横にいくつも並んでいるのだろうと思ったが、入り口の扉が左に向きについていることから、そうでもないことがわかる。一体、どんな形の建物だったらこんな間取りができあがるのか。思わず外観を想像せざるを得ない、そんな間取り図だ。

ハッシュタグをつけるなら「#イタリアの形に沿って暮らす」だ。

JR恵比寿駅から徒歩13分/賃料12.3万円/1K

次にこの物件。

洗面所(脱衣所)の扉を開けるとそこにはバルコニーがある。何があったと言わずにはいられない配置だ。

「洗った服を洗濯機から出してすぐ干せるの楽じゃん」というデザイナーの意向か、「バルコニーの近くで服を脱げ」という筋肉ムキムキで自分の身体を誰かに見てほしいなんて人向けのデザインなのか、はたまたここにしかバルコニーを作れなかった理由があったのか。真相はわからない。考え方によったら、バルコニーへの扉を開けて浴室の扉も開けたらギリギリ露天風呂気分を味わえるじゃないか、なんてことも考えた。

ハッシュタグをつけるなら「#脱衣所はもはや外」だ。

JR恵比寿駅から徒歩9分/賃料29万円/2LDK

最後にこの物件だ。

ひと目見てわかる、ウッドデッキがとにかく広い。

物件サイトには間取り図と一緒に内観写真が載っている(著作権を考えてここでは割愛する)のだが、バルコニーとその手前に映る6畳の部屋とのバランスがおかしい。ただ、ウッドデッキは10人ほどの大人がBBQを楽しんでも余裕がありそうなほど広かった。きっと私がここに住んだら、デッキチェアを置いて毎日夜空の下で寝転がってビールを飲むことだろう。あれ、意外と良いのでは…!一周回ってそのビール一杯のために住みたいと思ってしまった。

ハッシュタグは「#私の家、四捨五入したらウッドデッキです」だ。

このように、恵比寿には探し始めたら止まらないほど面白い物件が多い。まだまだ何十、何百もの興味深い物件が眠っているはずだ。これを読んでいるあなたも恵比寿の物件を調べてみて、そのひとつひとつを眺めながら「こんな家に住んだら、人とは違うこんな過ごし方ができるだろう」と妄想してみてほしい。人によって考えることが違ってくるはずだ。そして、色んな妄想ができるのは、その妄想をさせてくれるだけの余白が用意されているからだろう。その余白こそが、私が見取り図に感じているロマンなのかもしれない。

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